22年度の世界の衛生用紙は3%の成長だった:
世界的にICT化とディジタル化が進み、インターネットに圧倒されて印刷(紙)媒体が衰退し、紙の需要が停滞する中にあって衛生用紙の需要はCOVID禍によって促進され、増設ブームが加速していた。
衛生用紙は段ボール原紙と共に紙パルプ産業界の中の数少ない成長品種だった。特にCOVIDの感染によって、人々の衛生に対する意識が高まり、マスクなどと並んでペーパータオル等への需要が促進されていた。こういう背景の下に衛生用紙市場は成長を遂げていたのだった。その辺りをRISIのAnnual Review of Global Pulp and Paper Statisticsから世界の衛生用紙の状況を概観しよう。
*世界各国の生産量:
この品種でも第1位は中国だった。以下アメリカ、日本と続くのだが、20位までの諸国を取り上げて見ようと思う。(単位:000トン、%は対前年比)
上位20ヶ国の生産量:
1.中国 12,600 3.2%
2. アメリカ 8,604 0.9%
3. 日本 1,874 4.3%
4. イタリア 1,700 0.4%
5. ブラジル 1,485 4.1%
6. ドイツ 1,481 0.1%
7. メキシコ 1,425 3.6%
8. インドネシア 1,285 6.6%
9. トルコ 1,106 15.3%
10.ポーランド 898 11.3%
11位以下はフランス(3.7%)、スペイン(3.9%)、ロシア(2.4%)、カナダ(△0.8%)、英国(6.8%)、韓国(△1.6%)、アルゼンチン(3.4%)、スウェーデン(3.5%)、コロンビア(3.0%)、エジプト(9.7%)。20ヶ国の平均の成長率は3.1%となっていた。
*私が興味を持つ各国の1人当たりの消費量:
ここで、意外だったというか衝撃を受けたことがあった。それは、生産量では第3位にある我が国が27位に沈んでいた事。第1位の中国がこのリストに登場しないだろうと予測していたが、まさか我が国が上位30ヶ国までを見ないと入ってこないとは想像していなかった。ここでも、上位10ヶ国までは数量を掲載してみる。(単位:kg)
1.アメリカ 27.09
2.香港 24.19
3.バーミューダ 22.12
4.カナダ 21.80
5.ニューカレドニア 21.20
6.オーストリア 20.76
7.スウェーデン 20,22
8.ベルギー 19.24
9.イスラエル 19.07
10.ノルウェー 18.91
以下、11位がマカオ、バーレーン、アイルランド、スイス、バルバドス、デンマーク、オーストラリア、ポーランド、フィンランド、クエートとなっていた。21位以下はドイツ、英国、マルタ、スロベニア、ポルトガル、アイスランド、日本(16.73kg)、オランダ、スペイン、キプロス(16.21kg)の順だった。
日本は生産量こそ4.3%と上位20ヶ国の平均値を上回っていたが、1人当たりの消費量では27位だったという次第で、何となく意気上がらない(テンションか?)統計を紹介することになってしまった。
参考資料:紙業タイムス社刊 FUTURE誌 24年10月14日号