「正論とは」:
第102代の総理大臣になられた石破茂氏は、屡々「石破さんは常に正論ばかり言われるのだが」と批判されてきた感がある。今回も「日米地位協定を改正したい」と総裁選中からも主張しておられた。これに対しては「正論だが、アメリカは肯んじないだろう」という否定的なことを言う人もまた多い。
そこで、先ず「正論とは」を広辞苑を見れば、いともアッサリと「道理にかなった議論」とだけ出てきた。他の資料には「道理に適った正しい意見か議論」と「意見」を加えた解説もあった。即ち、「誰からも後ろ指をさされない筋の通ったこと」であるという指摘もあった。
私は石破総理が主張される「日米地位協定の改正」は「道理にかなった正しい意見であり議論であるし、誰もが否定しにくい筋が通った議論である」とは思うが、現状では「実現が極めて困難な正論であり理想論でもあるのではないのか」という気がしてならない。
既に、アメリカ側では「安全保障条約に影響する」との否定的な見解を示している筋があるとの報道もあった。その次元にまで話が及ぶと「我が国は安保条約によりアメリカの核の傘で守られている庇護国である」との主張をされた高名な評論家がおられたのを想起させられた。アメリカ側でも「石破は正論を吐くが」とでも言っているのだろうか。
ところで、長い間英語の世界にいたが「正論」に当たる表現は思い浮かばなかったので、調べてみた。“fair argument”か“sound argument”というのが多く出てきたし“right theory”もあったが、どれも聞いた記憶が無かった。文章にした表現では“You’ve got a point.”とあった。
何れにせよ、どれもが初めて聞く表現だった。アメリカ人はpractical、即ち「実際的で実用的な」事を好むから、正論は吐かないのだろうか。
事の序でで「地位協定」は何と言うかと確認したところ“The Japan-U.S. Status of Forces Agreement”だった。複数形だから「軍隊」の地位のことか。「石破さん、一所懸命にやってください」と応援すべきだろうか。