新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

恥ずかしながら

2024-10-09 07:32:49 | コラム
危うくアメリカ製のフィッシング詐欺に:

フィッシング詐欺とは「インターネットのユーザから経済的価値がある情報(住所等の個人情報、パスワード、クレジットカード情報など)を奪うために行われる詐欺行為である。典型としては、一般的に信頼されている主体になりすましたEメールによって偽のWebサーバに誘導することによって行われる。インターネット上で様々なサービスが提供されるにつれ、年々増加と高度化の傾向が顕著である。」

とWikipediaにある。

私が襲われた場合には内容が非常に巧みに構成されていて、ワシントン州のthe Seattle Timesからweb版の記事が送り込まれていると思っていた。数ヶ月前からGoogle Chromeを起動すると、直ちにスクリーンの右下にシアトルタイムスの記事の見出しと記事の一部が現れるようになっていた。

それも、NY Timesのような全国のニュース、シアトル市周辺の出来事、私の好むところのフットボールやバスケットボールのニュースをNCAA関連の最新のニュースまでという広範囲に及んでいた。だが、丁度私が作業にかかる時間帯なので、偶にしか全文を読むことはしなかったが「何故、在職中には読む機会もなかった私に送ってくるのかな」と不思議には感じていた。

実は、シアトル市が増加する一方のホームレスの問題で悩んでいるという事も、これらの記事から知るようになっていた。それが、一月ほど前から記事に興味があるので開こうとすると、その上に「最初の4週間を特別に$1とするから予約購読を」という勧誘が被さって、全文が読めないようになった。そこまでする意志はないので放置したし、記事を読むのも放棄した。

するとどうだろう、今月になってEmailが入ってきて「再三提示した4週間が$1ではなく8週間で$1という条件を提示するので、24時間以内に予約購読を」と言葉巧みに強硬に勧誘してきた。ここまででは「流石にアメリカの新聞で、強烈なことを言うな」程度の解釈で、まさかフィッシング詐欺だとは疑っていなかった。

こういう分野に暗いというか、コンピュータ世界のリテラシーに乏しい超後期高齢者は、愚息にその勧誘のEmailを転送して診断して貰うことにした。彼は直ちにシアトルタイムスのホームページを開いて、そこに記載されているEmail addressと私に送られてきたEmailのアドレスが違っていることを発見、フィッシング詐欺であると断定した。

私は恐れ入って、そのEmailには反応しないこととし、不正のアドレスに「貴紙は外国の人にもweb版の購読を廉価で勧誘するか。日本時間24時間以内の返答を」と照会することにした。愚息は「恐らく反応してこないだろう」という見解。同時にシアトルタイムスにもほぼ同文で紹介してみた。

何れからも今日に至るも返答はない。そして、シアトルタイムスの記事も入ってこなくなった。矢張りフィッシング詐欺だったと判明して、難を免れた格好。愚息に感謝したし、不慣れな高齢者だったと恥じ入っている。でも、数ヶ月もの間、巧みに罠をかけて落とそうとする手口には感心している場合ではないが、驚かされた。

それにしても、詐欺グループはどのようにして当方がカモだという認識して、照準を定めて狙ってきたのだろうか。外国人だとまで承知しているのだろうか。「流石はCIAがある国だ」と感心している場合ではないだろう。我が国でも他に狙われている方もおられるかも知れない。

なお、この件を元の同僚に照会してみると「近頃では彼等詐欺グループの手口は非常に洗練されてきた。シアトルタイムスのような言わば公的な存在である企業のサイトの記事をコピーして、如何にも本物のような良い条件を出すか、脅迫めいた事を言うのである。今回は息子さんの眼力を褒めたい」と言ってきた。要するに、アメリカでもこの手のフィッシング詐欺が横行しているようだ。

もう一件、恥を曝せば「フィッシング詐欺」など自分には縁がないと思っていたので、fishingでは魚釣りだから、詐欺犯は甘い餌を撒いて釣り上げるのかとばかり思っていた。だが、phishing scamであって、「詐欺」の部分がfraudではなくてscamだと知った。Oxfordにはscamとは「a clever and dishonest plan to make money」とある。確かに「巧妙で不正な企み」だった。