新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

5月6日 その2 イチロー君の会長付特別補佐契約

2018-05-06 17:37:56 | コラム
不可解な点もあるが解りやすい契約:

突如として結ばれたイチロー君の契約については解りにくい点が多々あると見えるが、私独特の深読みから考えて見ようと思う。

所謂専門家やMLB通の方々が色々と解説してくれてはいるが、全ては推量か推察であり、イチロー君の記者会見のコンニャク問答のような語り以上の内容にまで踏み込んだ説明はなかったと思う。私はこの斬新なというか前例がないと言われる契約の報道を聞いた瞬間に思い浮かべた言葉は「諭旨退職」と「諭旨退学」だった。もっと簡単に言えば「マリナーズは彼の打者としての限界に見切りを付けたので、如何にして彼を傷つけることなく退職させるかに意を用いたな」と感じたのだった。

しかも、容易に理解できず納得の出来ない点があった。それは「今季は選手として試合には出ないがテイームには帯同して練習を続け、来季は時と場合によっては試合に出ることもある」という契約条項だった。今季は使わないとする選手が1年間試合に遠ざかった上に、来シーズンは試合にだすこともある」というのは異例であろうし、非常に現実的ではないと思わせてくれた。深読みする専門家は「来年の幕開けの試合を東京でやるから、その時に使って客寄せにするのか」と観測して見せたが、これとても非現実的に過ぎると思う。

私はかの偉大なるイチロー君の打者としての選手生命はフロリダ・マーリンズに移った時点で終わっていたと見ていた。それは偶にしか試合にだして貰えず、3割が打てなくなったイチロー君にはMJBのシーズンの安打記録を作った当時の力が消えかかっているのでは、彼自身が50歳までやると意気込んで見せても、守備が極めて上手く送球が素晴らしいだけの守り専門の外野手になってしまったかとすら思わせていたからだった。

彼のようなアメリカ人(と言うか南アメリカ出身者)にも珍しいような大選手の引き際というのは非常に難しいと思わずにはいられない。長嶋茂雄のように潔く「巨人軍は永久に不滅です」とアッサリ引退してしまうか、野村克也のように「生涯一捕手」としてボロボロになるまでやってから監督業に専念するかの二択しかないように思えるのだ。イチロー君は監督業を選ぶとは思えない気がするが、「生涯打者と守備専門家」の道を選んだかのように思える。その辺りを「自分がどうなるかを見極めたい」と表現したようだ。

私はこの辺りで選手業から身を引いたとすれば賢明な選択だと思っているし、シアトルマリナーズの Dipoto(なんて発音するのだろう)というGMもイチロー君に対して十分な敬意を払い且つ尊敬して優遇したのは適切ではないかと思って見ている。私はイチロー君はアメリカに渡って「功成り名遂げた」のである以上、MLBの十分な年金も貰えるのであるし、十分な蓄財も出来たであろうから、資産さえあれば非常に優雅な生活が送れるアメリカ永住などは羨ましいような引退後の生活が待っていると思う。

それに聞くところによれば、シアトルで最高級の住宅地であるマーサーアイランドに豪邸を買ってある由だから、こことフロリダで季節によって棲み分けも可能ではないか。その間に後進の指導にも当たれるだろうし、会長付特別補佐としての仕事にも従事できるのではないか。自分の実力で生きる道を切り開いた場合には、アメリカほど暮らして行くには素晴らしいところはないだろう。イチロー君はその日本人として希有な成功者の一人だ。

彼に野球を離れる気がないのかも知れないが、自分で切り開いた運命を活かしてアメリカ暮らしを楽しむのも一方かと思うのだ。私は何度か「ただ単に野球や他の競技の選手として優れているからとか、多少英語が解るからといって迂闊にアメリカに出て行かない方が良い。そこには予期していなかった文化と思考体系の違いが待っていて、意外な苦労を強いられるのだから。そこに順応して適応できるまでが大変だ」と言ってきた。かれはもうその辺りを突破しているだろうとは思っている。イチロー君が Land of dream の国で成功したことには敬意を表したい。


トランプ大統領の実績を考える

2018-05-06 08:28:36 | コラム
着々と成果が挙がっていると見る:

私は昔の同僚たちと米国の事情に精通した友人たちと、トランプ大統領の統治能力に疑問を呈してきた部類に入ると思っている。その一方では藤井厳喜氏や産経の古森義久記者のように反トランプのfake newsを集中的に流してトランプ大統領の評価を低くしているアメリカ東部の有力地方紙の報道に依存している我が国のマスメディアを厳しく批判し、トランプ大統領を正当に評価すべきだという確固たる論陣を張っておられる所謂専門家もおられるのだ。だが、私は我が国の多くの国民はその種のfake newsに惑わされていると思っている。

今日までのトランプ政権と言うべきかトランプ大統領独特の言わば独断専行とも見える選挙公約を中心に掲げてきた政策を、単純素朴にして強引とも言える手法で「アメリカファースト」と「アメリカを再び偉大に」を旗印にして実行されてきたやり方は、毀誉褒貶相半ばするとは申せ、確実にその歩みを進めていると見る方が適切だろうと思っている。但し、その推し進め方がやや強引であり、我がW社ジャパンOBで私如きが遠く及ばないアメリカ通の長老がいみじくも

「トランプ大統領は本当は何かもかも承知でありながら、何も知らないかの如くに装っているのか、あるいは知らぬが故の強みで未だ嘗てどの大統領にも出来なかった難題を次々に実行しているのかが、遺憾ながらこの俺にも読み切れない」と指摘されたように、あの単純明快な実行力と強引とも見える政治手法は買えってアメリカという国の事情に精通されている人ほど読み切れないような事態を招いているのである。

私自身もその説に与していたが、「ビジネスという面では不動産業界だけで長年過ごして来られたトランプ大統領には、如何に努力されようと就任以来の短期間に政治・経済・軍事・外交・貿易の世界の現状と歴史を把握されて、適切な政策を打って行かれることは難しいのではないか」との懸念は抱いていた。だが、実際に就任以来強引とも見えるやり方で打ってこられた政策は特に経済面では着実に実を結びつつあるのだ。

特に選挙キャンペーン中から唱えてこられた「金正恩との会談も辞さない」という一見無謀のような外交政策は着実に実現の方向にあるのだ。これを「功績」か「実績」と言わずして何が成果かとまで思わせられるのだ。だが、敢えて留保条件を付ければ「その会談でCVIDを完全に金正恩委員長に納得させ、過去にあったような騙される結果にならないという保証は未だ無い」辺りになるだろうか。私はトランプ大統領は十分な理由を以て成功させる自信がおありだと推察しているが。

ここで一寸、トランプ政権と文在寅政権が誕生後の外交面における世界の情勢の変化が、極めて大きく且つ早くなったことに注目してみたい。私は多くのと言うか一部の専門家たちは「文在寅大統領はただ単に左傾しているだけで、南北統一がその悲願で何れはアメリカの庇護の下を離れて核なき朝鮮半島のリーダーの一人として習近平の傘下に入っていくのではないか」との声が聞こえていた。

だが、実際に文在寅大統領が働きかけ且つ実現に限りなく近いところまで持って行った実績はと言えば「兎に角金正恩委員長との南北首脳会談を実現させ、世界でなければ北アジアの情勢に大いなる変化をもたらしそうな南北融和を実現させ、更にトランプ大統領と金正恩委員長とのそれこそ歴史的な会談の下準備を整えたと言って誤りでは無い」と思う。私は敢えて反省すれば「文在寅大統領を過小評価は出来ない」ことがあると思っている。

現実にはトランプ大統領と金正恩委員長の会談は未だ日取りと場所がどうやら内定した段階にあるようだし、トランプ大統領が当面する課題である中間選挙やロシア疑惑と女性とのスキャンダルの解決は今後の展開に待たねばなるまい。だが、私は思うところでは、果たしてトランプ大統領が就任前から思い描いておられたのかどうかは上述の長老の嘆きが示すように読み切れないが、トランプ大統領の強引と見える解りやすい諸政策が結実していけば、世界は変わって行かざるを得ないだろう。

問題だと長老も私が疑問に思わざるを得ないことは「果たしてトランプ大統領は何もかも読み切って、あれほど積極果敢な政治・経済・軍事・外交・貿易面での政策を打ってこられたのか」なのである。その大きく投網を打ったような政策の先にある大命題は「中国との関係」であろう。決定的に対立して抑えにかかるのか、互恵的な関係を確立することを視野に置いておられるのかが、我が国に対する影響が極めて多きなるだろう辺りが、私の関心事であり寒心事でもある。

安倍総理との間の関係は他国の首脳と比較しても極めて親密かそれ以上にも見えるが、自国と自らの利益と安全を第一義に考えているアメリカ人であるトランプ大統領が何処まで同盟国であり親友でもある安倍総理との関係を尊重して行かれるかにも、私は重大な関心があるのだ。少なくともFTAを推進しようとされる動きには疑問を感じざるを得ないのだが。