※画像縦方向が(緯)・横方向が(経)
製作地 日本・沖縄県 八重山
製作年代(推定) 19世紀後期(~20世紀初頭)
素材/技法 糸芭蕉、天然染料 / 平地、経緯絣
サイズ ①11cm×16.5cm、②11.5cm×15.5cm
日本の沖縄県八重山で19世紀後期に手掛けられた芭蕉生成地・経緯絣裂。
本品は経にS甘撚、緯に無撚の芭蕉糸を配し(※掲載画像は縦方向が(緯)・横方向が(経))、赤茶と濃藍の二色の染め・経緯絣の技法により、”グジリゴーシ(崩れ格子)””ウシヌヤーマ(牛の農耕具)””ミヂィフム(水雲)””カシトーニー(豚の餌箱)””ハサン(鋏)”の小文柄が、御用布”御絵図柄”のデザイン様式により緻密に織り描かれたもの、糸の細さ・柔らか味も際立っており、19c(~20c初頭)当時の相当上質な部類の芭蕉布と位置づけられる作例です。
上質ぶりを裏付ける要素として、布地が全体にわたり滑らかで織りが均質かつ目が詰んでいること、二枚の裂中に明らかな糸績み(結び)箇所と判別できる盛り上がり(凸凹)が確認できない点で、これは極めて高度な手技により、布表面には現れないカタチでの繊細な機結びを行なったもの、或いは八重山上布と同様の”撚継ぎ”がなされている可能性を指摘することができます。
糸作り・括り・染め・織りのミニアチュールな手技・世界観に惹き込まれる八重山芭蕉布です。
※画像縦方向が(緯)・横方向が(経)
●参考画像 八重山芭蕉布(御用布)使用と考察される尚王家衣裳
※上画像は河出書房新書刊「図説 琉球の染めと織り」より転載いたしております
●本記事内容に関する参考(推奨)文献