製作地 日本・兵庫県
製作年代(推定) 19世紀 江戸時代後期
素材/技法 木綿、絹、天然染料 / 平地、絹・木綿交織、縞格子
裂サイズ 幅:16.5cm、縦:43cm
この丹波布は、江戸後期に織られ始め、輸入木綿の紡績糸と機械織の布が市場を席巻する明治半ば頃までの比較的短い期間に丹波国佐治村(現兵庫県)で製作されたローカルな織物ですが(昭和初期の民藝運動期に復興される)、手紡ぎ木綿の中に手引きの”絹つまみ糸”(引き始めの繭表層の荒糸)を加えて生み出す、素朴ながら染め色と交織パターンに繊細な味わいがある独自の織り表情は、京・大阪の町人を中心とする庶民層の間で愛好されたものとなります。
江戸時代後期は、国産木綿の生産・流通が日本全国に広まり、庶民層の間で縞木綿の使用が隆盛を極めた時期で、織物殖産の各地で特徴ある”縞木綿”がつくられましたが、この絹入り縞木綿”丹波布”は、素材・意匠・技巧それぞれに新鮮味と完成度の高さが備わる織物として人気を集め、また絹織物を大っぴらに使用できない庶民層の需要を喚起したものと考察されます。
手紡ぎ木綿の一糸一糸、手引き絹の一糸一糸に愛おしさが感じられるような江戸縞織物です。