製作地 インド南東部 コロマンデル海岸エリア
製作年代(推定) 17-18世紀
素材/技法 木綿、天然染料 / 手描き、媒染、防染、片面染め
裂サイズ 幅:60cm、縦:65cm(最長部)
本品は細手の手紡ぎ糸を素材に目の詰んだ平滑な織りがなされた上手木綿地に、カラムカリ(手描き)の媒・防染染めによって手の込んだ絵柄が表わされたもの、イスラーム様式(アラベスク模様)を香らせるデザイン構成の作品で、インドネシア・スマトラ島ランプン交易向けのインド更紗として知られるものとなります(※ただし同手でトラジャ交易向けや日本交易向けも確認される)。
茜媒染染めの赤・紫・黒及び藍染めの縹(空藍)の色味の力強さ、カラムカリによる緻密な絵付けが見事、更に2百数十~3百年の時を経て色褪せず深くかつ鮮麗に残る色彩の堅牢度は驚嘆に値するもので、いまも生命を失わない色・柄の意匠とその完成美に目と心を奪われます。
江戸時代初中期の日本にももたらされ、大名・貴族・茶人等に愛玩された手のもの、歴史の浪漫を薫らせる古渡りインド更紗の名品裂です。