砧打ちにより光沢が付けられた藍木綿(上)と通常の藍木綿(下) 赤ちゃん負ぶい布より
木綿の糸づくり、藍建てから始まるトン族の”藍木綿”づくりは、木槌でひたすらに叩き上げる砧打ちを最終工程に、光沢の美しい”亮布(トン布)”としての生命が授けられます。
日々の藍甕・藍液の管理、数十にのぼる回数の浸染・洗い・干しの繰り返し作業、夜明けから深夜まで何万回・何十万回に及ぶ木槌の振り下ろし、それにより一着分のトン族伝統衣装の藍木綿、まるで漆のような深い色と光沢を有する布地がやっと完成に至ります。
日常の野良仕事着に、祝祭時の盛装着に、赤ちゃんの負ぶい布に... 生活のあらゆる場面に用いられてきた”亮布(トン布)”とは、豊穣・平安・健康・長寿等の願が掛けられた、トン族の”祈りの象徴”の染織作品と言えます。
村内に響く砧打ちの”トントン”という音は、子供たちや犬たちにとっての子守唄でもあります。
(写真 中国・貴州省 黎平県及び従江県にて)