アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

19cラーンナー様式 木造・仏立像

2010-10-05 06:30:00 | 技巧・意匠・素材








製作地 タイ北部 ラーンナー地方  
製作年代(推定) 19世紀

楕円形のお顔、弓形の繭、下向きに閉じられた眼、おちょぼ口を感じさせる唇、蕾型の肉髻、腕長のすらりとした体躯... 後期ラーンナー仏の形状上の特徴を有する木造の仏立像です。

本作品で目を惹かれるのは、体は朱漆、お顔は黒漆を使った色の塗り分け、そして寸足らずとも思わせる衣の裾となります。

下半身だけを見ると、クメールの神仏像を感じさせるような衣と足のバランスですが、この仏立像が、神々しさとともに、どこかコケティッシュな親しみ深さを薫らせる由縁は、お顔の表情と漆の塗り分け、そしてこの衣の裾と足にあるように思われます。見飽きることの無い仏様です。




●ブロンズ製仏立像
タイ北部ラーンナー地方 17世紀

※上画像はRVER BOOKS刊「The SACRED SCULPTURE of THAILAND」より転載いたしております