製作地 ウズベキスタン・ヌラタ
製作年代(推定) 19世紀後半
素材 木綿地、絹刺繍、天然染料
上の画像は、ウズベキスタン・ヌラタの地で19世紀後半に手掛けられた礼拝用刺繍布”ジョイナモッシュ”、一つの布上に刺し描かれた花モチーフの数々となります。
この”ヌラタ(Nurata)”は、ブハラとサマルカンド、歴史に名を刻む二大オアシス都市に挟まれるナヴァーイー州、その北部に位置する街であり、街の名前では位負けしますが、刺繍に関しては、ブハラ・サマルカンド・シャフリサーブス等と並び称される優れた作品が生み出されました。
上に並ぶ花刺繍は、手紡ぎ・手織りの木綿布をベースに、天然色染めの絹糸で刺されたものとなりますが、花のデザインがそれぞれ異なるとともに、花や茎葉の色についても、良く見ると、一つ一つとても繊細に色彩(染め色)の変化が加えられている様子を確認することができます。
ヌラタの花刺繍は、ムガル帝国(インド)で手掛けられた刺繍や更紗のデザインの直接的影響を受けたものであるという説があります。説の真偽については判りませんが、この瀟洒に完成されたデザイン様式と色彩表現は、ブハラやサマルカンドの作品とは異なる、独自の血脈の存在を伺わせるものであることは確かなように感じます。
手描きインド更紗
製作地 インド西部(ムガル帝国) 製作年代 17世紀
(東京国立博物館所蔵品)