令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

赤人編(8)繩の浦ゆ

2010年02月16日 | 赤人編
【掲載日:平成22年2月12日】

なはの浦ゆ 背向そがひに見ゆる 沖つ島 漕ぎる舟は つりしすらしも

船は 内海うちうみを行く
人麻呂の  歌の数々
思い出し  反復し
うたいし 人麻呂の心を思う航海が続く

〔島が  舟が 釣り人が 見える〕
なはの浦ゆ 背向そがひに見ゆる 沖つ島 漕ぎる舟は つりしすらしも
《縄の浦 そのこ見える 沖の島 漕いでる船は 釣りしてるらし》
                         ―山部赤人―〔巻三・三五七〕 
〔あの船  都へ戻るのであろうか〕
武庫むこの浦を 漕ぎ小舟をぶね 粟島あはしまを 背向そがひに見つつ ともしき小舟
《武庫の浦 漕いでく小船こぶね うらやまし 淡路背にして 都へ行くよ》
                         ―山部赤人―〔巻三・三五八〕 
旅心たびごころ 懐かしごころ
阿倍あべの島 の住むいそに 寄する波 なくこのころ 大和やまとし思ほゆ
《阿倍島で  磯にしょっちゅう 波寄せる ひっきりなしに 大和が恋し》
                         ―山部赤人―〔巻三・三五九〕 
潮干しほひなば 玉藻め いへの妹が 浜づとはば 何を示さむ
《潮たら 綺麗な藻刈り 持ち帰ろ 家で待つ妻 土産はたら》
                         ―山部赤人―〔巻三・三六〇〕 

陸路おかみちなら 泊まり先で こう云うことに 出くわしたやもしれぬ〕
秋風の 寒き朝明あさけを 佐農さぬをか 越ゆらむ君に きぬさましを
《佐野の岡  越えてくあんたに 服貸そか 秋風寒い 夜明けやよって》
                         ―山部赤人―〔巻三・三六一〕 
名乗藻なのりそか 浜娘子おとめに うたいかけるも一興〕
みさごゐる 磯廻いそみふる 名乗藻なのりその 名はらしてよ 親は知るとも
海草かいそうも 言うてるやんか 名告なのりやと あんたも名告り 親に露見ばれても》
                         ―山部赤人―〔巻三・三六二〕 
みさごゐる 荒磯ありそふる 名乗藻なのりその よし名は告らせ 親は知るとも
荒磯あらいその なのりそみたい 名告ってや 親知ったかて かめへんやんか》
                         ―山部赤人―〔巻三・三六三〕 

〔昔は 意識のかたまりの末 歌が生まれた
 今は かくも 冗談めかしに 気楽にうたえる〕



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