【掲載日:平成22年2月9日】
御食向ふ 淡路の島に 直向ふ 敏馬の浦の
沖辺には 深海松採り 浦廻には 名告藻刈る・・・
赤人は 旅の空にいた
〔重しが取れた今
もう一度 人麻呂殿の歌 深く味わい
研鑽を積むことが 肝要じゃ
そのため あの方が 辿った道筋
そこでの詠まれた歌
実感するに 如くはない〕
珠藻刈る 敏馬を過ぎて 夏草の 野島の崎に 舟近づきぬ
《にぎやかな 藻を刈る敏馬 後にして 草ぼうぼうや 野島の岬》
―柿本人麻呂―〔巻三・二五〇〕
〔これは 確か 人麻呂殿が 石見の国に下られた時の歌 宮廷歌人としての 人麻呂様では 無かった時かも知れぬ〕
御食向ふ 淡路の島に 直向ふ 敏馬の浦の
沖辺には 深海松採り 浦廻には 名告藻刈る
《供御を生み出す 淡路の島の 真向いにある 敏馬の浦の
沖の海底では 海松採っとおる 浦の浅瀬で 名告藻刈るよ》
深海松の 見まく欲しけど 名告藻の 己が名惜しみ
間使も 遣らずてわれは 生けりともなし
《海松と聞いたら お前が見たい 名告藻〔な告りそ=名を言うな〕言う様に 名前は言えん
言うたら他人に 知られるよって 使い出せんで わし気ィ萎える》
―山部赤人―〔巻六・九四六〕
須磨の海人の 塩焼衣の 馴れなばか 一日も君を 忘れて思はむ
《身に馴染む 塩焼き海人の 服みたい 心馴染んだ あんた忘れん》
―山部赤人―〔巻六・九四七〕
〔なんと気持の良いことか
これほど 屈託なく 女房殿のことが 詠えるとは わしも 変わったものだ〕
赤人は 改めての思いに 感を深くしていた
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