令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(二)(12)妻問(つまどひ)の夜ぞ

2011年07月12日 | 家待・越中編(二)歌心湧出
【掲載日:平成23年6月3日】

やすの川 い向ひちて 年のこひ
             長き子らが 妻問つまどひの夜ぞ




畏れていた 旱魃かんばつも 恵みの雨で 避け終え
 の育ちも 順調な 夏が過ぎていく
やがて  秋
待ち焦がれ の 七月七日を 迎えた
〔地上の ひとみな 雲の動きに 一喜一憂
 天上てんじょう
 天の川の 増水に 牽牛けんぎゅう織姫おりひめ 一喜一憂
  さもあろう
 なにせ 年に一度の逢瀬おうせ
  叶うか叶わぬのかの 一夜なれば・・・〕

あまらす 神の御代みよより やすの川 中にへだてて 
向ひ立ち 袖振りかはし いきに 嘆かす子ら
 
天照あまてらす おお御神みかみの 昔から やすの流れを 中にして
 向かい合わせで 袖振って 嘆きうてる お二人よ》
渡り守 船もまうけず 橋だにも 渡してあらば そのゆも い行き渡らし 
たづさはり うながけりて 思ほしき 言も語らひ なぐさむる 心はあらむを
 
わたしの人も 船もて せめて橋でも あったなら その上行って 川越えて
 手ぇを繋いで 肩抱いて 思いのたけを 述べうて 心なぐさめ 出来るのに》
何しかも 秋にしあらねば 言問ことどひの ともしき児ら 
《なんで七夕たなばた ちゃう時は 声掛けすらも 出けんのや》
うつせみの 世の人我れも 此処ここをしも あやにくすしみ 
かはる 毎年としのはごとに あまの原 振りけ見つつ 言ひぎにすれ

《地上のわしは 思もてみる なんと数奇すうきな 言い伝え
 来る年毎に 空仰ぎ 伝え行こう ずううっと》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四一二五〕

あまの川 橋渡せらば そのゆも い渡らさむを 秋にあらずとも
《天の川 橋があったら その上を 渡れるのんに 七夕あきちごても》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四一二六〕
やすの川 い向ひちて 年のこひ 長き子らが 妻問つまどひの夜ぞ
安川やすかわに 向きて立って 一年も なごがれた 出合いの晩や》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四一二七〕
                                   七月七日】
        ――――――――――――――
心置きなく  詠える日々に
家持 は 満足を得ていた
しかし  都では
歌作り に 水差す事態が・・・

七月 四日 健康不安の 聖武帝退位



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