令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(二)(23)現(うつ)し真子(まこ)かも

2011年06月03日 | 家待・越中編(二)歌心湧出
【掲載日:平成23年7月12日】

・・・くれの 四月うづきし立てば ごもりに 鳴く霍公鳥ほととぎす
     いにしへゆ 語りぎつる うぐひすの うつ真子まこかも・・・


初夏の訪れは 間近まぢかであった
家持は 気もそぞろ
 の静けさに向け 耳を澄ます
待ちどおの気 呼び寄せ歌を詠わせる

【三月二十日】めて呼んだら 来てくれるかな
時ごとに いやめづしく 八千種やちくさに 草木くさき花咲き 鳴く鳥の 声もかはらふ 
《毎年の めぐる季節の 折々おりおりに いろんな草木 花咲かせ 鳥鳴く声も 変わってく》
耳に聞き 目に見るごとに うち嘆き しなえうらぶれ しのひつつ ありけるはし 
《咲いて喜び 散り嘆き 声待ちがれ 聞きれて そうこする内 月日過ぎ》
くれの 四月うづきし立てば ごもりに 鳴く霍公鳥ほととぎす いにしへゆ 語りぎつる うぐひすの うつ真子まこかも 
《葉ぁ繁り出す 四月なり 闇中やみなかで鳴く ほととぎす これ鶯の 育てと 伝え言うてる 昔から》
菖蒲草あやめぐさ 花たちばなを 娘子をとめらが たまくまでに あかねさす 昼はしめらに あしひきの 八峰やつを飛び越え ぬばたまの よるはすがらに 
娘子おとめ菖蒲あやめ 花橘たちばなを 薬玉くすだまにする 五月まで 日中ひなか昼間は 山へ飛び 夜中よなか朝まで 鳴き通し》
あかときの 月に向ひて 行きかへり 鳴きとよむれど なにからむ
《夜明けの月に こてび 行ってかえって 鳴きしきる ずっと聞いても きはん》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一六六)

時ごとに いやめづしく 咲く花を りも折らずも 見らくししも
 次々と 四季咲く花を 見るのんは 折っても楽し 折らんも楽し》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一六七)
毎年としのはに 鳴くものゆゑ 霍公鳥ほととぎす 聞けばしのはく 逢はぬ日をおほ
《どの年も 聞けるんやけど ほととぎす 聞いたらゆかし なごう待つんで》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一六八)

【三月二十三日】明日あした夏立つ 楽しみ待とや
常人つねひとも 起きつつ聞くぞ 霍公鳥ほととぎす このあかときに 来鳴く初声はつこゑ
《人みんな んと聞くう ほととぎす 夜明けて鳴く その初声はつこえを》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一七一)
霍公鳥ほととぎす 来鳴きとよめば 草取らむ 花たちばなを やどには植ゑずて
《ほととぎす 来て鳴いたなら 野ぉに行こ たちばな植えて 待つんやなしに》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一七二)





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