令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(一)(27)浦を漕(こ)ぎつつ

2011年01月11日 | 家待・越中編(一)友ありて
【掲載日:平成23年3月11日】

垂姫たるひめの 浦をぎつつ
      今日けふの日は 楽しく遊べ ぎにせむ



布勢水海ふせみずうみへと 馬をる一行
途上とじょう通過の 松田まつだはま
沖漕ぐ  釣り船に 興を覚えた家持
さき麻呂まろ殿 迎えの船が 来ておりますぞ
 遊覧迎えでしょうか  
 都からの迎えでしょうか」 

浜辺はまへより 我が打ち行かば 海辺うみへより 迎へもぬか 海人あまの釣船
《海沿いに 馬走らせて 来てみたら 迎えにるか 海人あまの釣り船》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四〇四四〕
おきより 満ちしほの いや増しに ふ君が 御船みふねかもかれ
おきの船 迎えの船や 潮満ちる わし気に入りの 福麻呂あんた迎えの》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四〇四五〕

布勢の水海は 見所みどころいっぱい
崎 垂姫たるひめ 多胡たこ
春に日の きらめく水面みなもに 藤波えて
遊ぶ  宮人は 時を知らない

神さぶる 垂姫たるひめの崎 ぎめぐり 見れどもかず いかに我れせむ
垂姫たるひめの みさきめぐりの 遊覧は なんぼ行っても けへんこっちゃ》
                         ―田辺福麻呂たなべのさきまろ―〔巻十八・四〇四六〕

垂姫たるひめの 浦をぎつつ 今日けふの日は 楽しく遊べ ぎにせむ
垂姫たるひめの 浦で船ぎ 一日を 楽しゅ遊んで 伝えに仕様しょうや》
                         ―遊行女婦土師うかれめはにし―〔巻十八・四〇四七〕

垂姫たるひめの 浦をぐ船 梶間かぢまにも 奈良の我家わぎへを 忘れて思へや
垂姫たるひめの 浦ぐ梶は ぁ無しや その奈良家いえを 忘れてへんで》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四〇四八〕

おろかにそ 我れは思ひし 乎布をふの浦の 荒磯ありその廻り 見れどかずけり
《このわしは 間抜けやったな 乎布おふ浦の 荒磯あらいそ巡り ほんま見事や》
                         ―田辺福麻呂たなべのさきまろ―〔巻十八・四〇四九〕

めづらしき 君がまさば 鳴けと言ひし 山霍公鳥ほととぎす 何か来鳴かぬ
《珍客が 来たら鳴けよと うといた 山ほととぎす なんで鳴かへん》
                         ―久米広縄くめのひろつな―〔巻十八・四〇五〇〕

の崎 木のくれしげに 霍公鳥ほととぎす 来鳴きとよめば はだ恋ひめやも
多胡たこ崎の 木立こだちしげみに ほととぎす 鳴きに来たなら 満足やのに》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四〇五一〕


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