マックンのメモ日記

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もう1つの世界遺産、記憶遺産に登録の炭鉱記録絵!

2011-06-27 21:55:12 | その他
1ヶ月ほど前になりますが、国連教育科学文化機関(ユネスコ)は25日、後世に残すべき文書や絵画などを対象とした「記憶遺産」(MОW)に炭鉱労働者を描いた福岡県飯塚市出身の絵師山本作兵衛(1892~1984)の絵画など45件を新たに登録すると発表しました。作兵衛の作品を所有・保管する福岡県田川市と福岡県立大(同市)が昨年3月に申請していたものです。

日本人の作品が記憶遺産に登録されるのは初めてだそうです。田川市によると、申請していたのは炭鉱の記録画と記録文書697点で、記憶遺産には全てが登録されるそうです。作兵衛は福岡・筑豊で少年期から63歳まで炭鉱で働き、その体験をもとに明治、大正から昭和初期にかけての炭鉱の様子を、墨や水彩で克明に描写。半裸の男女が狭い坑道で石炭を採掘する様子を描いた「寝掘り」など、計1000点以上の作品を残しています。

記録画を書いた作兵衛という人は自分の書いた記録画を「芸術なんかじゃ、ござっせん」とよく言っていたそうです。「65歳のときに子供用のスケッチブックに墨絵で炭鉱の記録を描き始めたそうですが「紙芝居にも劣る」と言っていたそうです。「大きな手に孫が使い古した筆を持ち、作兵衛さんはたどたどしく人生の痕跡を描き残した。だから心を打つ」のだと親交のあった画家は炭鉱画の魅力を語っています。

山本は福岡県筑豊の炭鉱で14歳からはほぼ半世紀、地底の炭鉱で働き続けたのですが、55年に炭鉱が閉山し失業しました。その後、警備員として働き始めたのを機に絵筆を取るようになったのだそうです。構内の苛酷な作業、入浴や宴会の様子、見世物や子供の遊びなどを、絵と文字でびっしり書き込んでおり、当時の風俗を伝える貴重な資料です。「明治、大正、昭和の3代にわたる記録としてきわめて重要」だと指摘しています。

「作兵衛は手掘りから機械掘りまでの変遷を身をもって経験した」と言います。炭鉱画には、石炭を手作業で採掘し、運搬する場面から、機械化で導入された電気ポンプの詳細図まであるそうです。今回世界記憶遺産への申請を強く勧めた、オーストラリアの産業考古学者・マイケルピアソン氏も「欧州の100年分を日本の近代化は10年で成し遂げた。彼の一代は欧州人の2,3世代にあたる」と、記録の貴重性に驚愕したそうです。また客観的なまなざしが貫かれているのも特徴で、「孫や子に伝えたい」との思いで絵を描き始めた山本には「記録」に対しての執着があったそうです。山本が23歳頃から92歳でなくなる直前まで、天候や物価などを細かく記した65冊以上の日記を残しており、絵を描くさいに参照したと言います。

ちなみに世界記憶遺産とは、後世に残すべき重要な文書や絵画、音楽などの保存振興を目的としたユネスコの事業です。例えば今までにはこういうのがありました。フランス人権宣言、アンネ・フランクの日記、ベートーベンの楽譜など約238件が登録されています。今までは国が推薦していましたが、今回は自治体単独の申請が通ったことで、地域が独自に世界へ文化財を発信する道を開いたことになります。そういう意味でも、今回の登録は日本にとっても重要な意味があったのです。

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