マックンのメモ日記

気になったニュースや関心事などをピックアップ。
今チワワのプッチという犬を飼っています。
可愛いですよ。

米ヤフーの教訓―優れた本質的なサービスにこだわれ!

2016-08-03 21:51:00 | ネット、ビジネス、IT
 米ヤフーがインターネット業界で大きな存在感を示していたのも今は昔、その中核事業がたったの48億ドルで売却されることになりました。

 ヤフーの事業が完全に理にかなっていた時代もありました。1994年のヤフー創業当初、AOL、プロディジー、コンピュサーブなどがすでに提供していた「ポータルサイト」をウェブ上に再現するというのはごく自然なアイデアだったのです。

 激動のインターネット黎明(れいめい)期、ユーザーが求めているかもしれないすべてのサービスを1つウェブサイトで提供する「ポータルサイト」は食物連鎖の頂点に君臨していました。その1つであったヤフーは米マイクロソフトのような最大手をも脅かす存在だったのです。2008年にはマイクロソフトが446億ドルでヤフーを買収しようとしたぐらいでした。

 面白いのは、ポータルサイトというコンセプトが死に絶えてしまったわけではないというところです。そしてこれこそがヤフーから学ぶべき教訓です。すべてのインターネット大手は結局、最も支配的な立場にあるときに同じような傲慢(ごうまん)さゆえに衰退してしまいます。そうした企業はインターネット上のすべての活動の出発点になれるという考え方の餌食になってしまうのです。

 例えば、1998年に「世界の情報を整理する」という使命を掲げ、それ以来その使命を更新してこなかった米インターネット検索大手グーグルです。デスクトップ上でヤフーから王座を奪った後、電子メールや携帯端末向け基本ソフト(OS)から生産性ソフトウエアや数十もの小規模プロジェクトまで、その製品ラインは大増殖しました。

 ひところまで、グーグルはすべての人が望むことをすべてかなえてくれる存在になれそうでした。いわばヤフーとマイクロソフトとアップルを合わせたような存在です。ところが、2010年になると、ユーザー当たりの利用時間で米交流サイト(SNS)大手フェイスブックがグーグルを上回りました。その約1年後、グーグルのラリー・ペイジ最高経営責任者(CEO)は社内メモで「より少ない中核事業により多くの資源を注ぐ」という方針を示し、小規模プロジェクトの多くを廃止してうまくいっている事業に焦点を絞ると宣言しました。

 その2011年のメモは、グーグルがヤフーの重要な教訓を吸収した転換点を示すものです。それは、ある企業が最も本質的なことを他社よりもうまくやり続けている限り、より機敏な競合相手からの大打撃は避けられないものではない、ということをペイジCEOが公けに言明したといっていいでしょう。

 ペイジCEOによる事業再編は第1歩としては良かったのですが、グーグルはまだヤフーの教訓を完全には吸収していなかったのです。そのメモから6カ月と少し後、グーグルは「Google+」というサービスを開始しました。これはフェイスブックと直接的に競争しようとする試みだったのですが、最終的には失敗しています。

 今日、売上高ではなく、ユーザー当たりの利用時間で食物連鎖の頂点に君臨しているのはフェイスブックです。ユーザーエンゲージメント、ユーザー数、利用時間などを増やすための絶え間のない効果的な取り組みもあり、フェイスブックはインターネットの新たなホームページのようなものになってきました。ユーザーたちはすでにフェイスブックのサービスに毎日50分を費やしていますが、同社はそれをさらに増やしたいと考えています。同社によるメッセージアプリのワッツアップ――新たなホームページとしてのメッセージサービス――や仮想現実をインターネット上の新たな交流手段と捉えているオキュラスVRの買収でさえ、現代版のポータルサイトになるという同社の野望の一端に過ぎません。

 グーグルやフェイスブックが次のヤフーになると言っているわけではありません。創業年数でヤフーよりも4年若いだけのグーグルの時価総額は5000億ドル以上で、昨年の売上高は736億ドルでした。2004年に創業したフェイスブックも売上高と収益の急成長を続けてきました。両社の広告収入の合計はインターネット上の広告収入のかなりの部分を占めています。

 そんな両社でも、ユーザーの注意を永遠に引き続けるのは不可能でしょう。フェイスブックが買収したインスタグラムから買収できなかったスナップチャットまで、フェイスブックもグーグルと同様、ユーザーの注意を引こうとする手強い競合相手に次々と直面してきました。今後もそれは続くでしょう。

 フェイスブックとグーグルの両社は、過去のすべての脅威に対して、それと競争できるサービスを開始したり、買収するという反応を示してきました。この戦略は奏功する場合もありますが、それには機会費用がかさみます。失敗に終わったグーグルのSNS事業、メディア事業はその費用の大きさを物語っています。

 フェイスブックにしても、検索機能「グラフ検索」によってグーグルのお株を奪おうとしたのは、そう昔のことではないのです。(ソースWSJ)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿