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南シナ海の仲裁判決が描く中国のサンゴ礁破壊!

2016-08-04 16:48:09 | 政治(国内・海外)
海軍の護衛を受けた中国の漁船団が、フィリピン周辺海域の広大で透き通ったサンゴ礁を荒らし回っています。サンゴ礁に埋もれた巨大な二枚貝オオシャコガイを違法に収穫するため、漁船はプロペラを刃物の代わりに使っていました。

 カメ、サメ、ウナギ、カキ――中国による大規模な乱獲の犠牲となり、脅威にさらされている種は他にもいます。当局は見て見ぬ振りです。

 オランダ・ハーグの仲裁裁判所が全会一致で下した判決によると、こうした全ての行動はさらなる破滅の序章にすぎません。南シナ海ではぜい弱な生態系と重要なつながりがある環礁システムがすでに傷つけられていますが、中国はさらにスプラトリー(南沙)諸島に位置する7つの大きな島で浚渫(しゅんせつ)作業を行っています。

判決文が記すサンゴ礁破壊の惨状

 500ページ近くにおよぶ判決文の中の大々的に報じられた部分では、南シナ海のほぼ全域を覆う「九段線」の内側に関して、中国が歴史的に領有権を持つという主張が無効だと断定されています。ただ、中国によるサンゴ礁の破壊を記述した箇所は、これよりもはるかに悲惨です。

 判決文は、国際法に従わず、地域の声に耳を傾けず、航海の伝統を無視した破壊のパワーを描写します。仲裁裁判所の仲裁人(判事に相当)らが示した、一連の科学的証拠に裏付けられた記述には、飢餓のふちにある地域で最もぜい弱な漁業共同体の生命を中国の高圧的な政策がいかに脅かしているかが克明に描き出されています。

 オバマ政権は航海と航空に対する中国の脅威に警鐘を鳴らし続けてきましたが、少なくとも現時点において、この危機は机上の議論にすぎません。

 中国はまだ、商船や民間機に手を出していません。そうすれば、最も大きな損失を被るのは世界最大の貿易国である中国自身になるからです。

あまりにもリアルな生態系の破壊

 一方、生態系の破壊は現実の姿です。東南アジアの沿岸部に住む2億7000万人ほどの人々のうち、数百万人は海に直接関わる仕事(多くは漁業)で生計を立てています。

 こうした人々の生活を不安定にしてきたのは中国だけではありません。南シナ海の海洋資源は乱獲に加え、ダイナマイト漁やシアン化合物を海に流す毒物漁法といった漁業慣行、沿岸部の汚染などで枯渇が深刻化しています。同様に、海洋生物のライフサイクルの起点となるサンゴ礁の破壊は数年にわたり続いてきました。

 ここに世界最大の漁船団を抱える中国が入ってきたのです。同国は海軍力を急速に増強し、領有権の主張を声高に叫び始めました。また、フィリピンなどの沿岸国の漁村を貧困に陥れる危機を悪化させてきたのです。

南シナ海で縮小するサンゴ礁

 2013年に公表された科学論文によると、南シナ海の紛争領域にある環礁と群島に占めるサンゴに覆われたエリアの割合は過去10~15年間で約60%から20%に縮小したといいます。

 中国沿岸部の状況はさらに悲惨です。論文は、過去30年間で裾礁(きょしょう=岸に密着して形成されたサンゴ礁)に生息するサンゴが80%以上減少したと指摘しています。

 仲裁裁判の判決文は米マイアミ大学の海洋生物学者、ジョン・マクマナス氏の研究に言及しています。マクマナス氏は巨大な二枚貝のオオシャコガイを収穫するプロペラについて、「サンゴ礁の荒廃を40年調査してきたが、これまで目にしたあらゆるものを上回っている」と述べています。

 また、判決文はドイツのブレーメンにあるライプニッツ熱帯海洋生態学センターでサンゴ礁生態学を研究するセバスチャン・C・A・フェルゼ氏の言葉にも触れています。同氏は長い時間をかけて形成されたサンゴ礁の複雑な生態系が人工島によって破壊され、向こう数十年(あるいは数世紀かもしれない)は回復できないだろうと述べています。また、フェルゼ氏は中国によるサンゴ破壊が、約360万平方キロメートル及ぶ南シナ海全体に影響を与える「カスケード効果」を引き起こす可能性も指摘しています。

中国は環境破壊を否定

 中国はこの海域で環境破壊を主導しているとの証拠を真っ向から否定しました。同国はこの海域を自らの湖のように扱うことが多くなっています。

 中国は国連海洋法条約の批准国だが、南シナ海を巡る紛争解決は近隣諸国との個別交渉によるべきだと主張しています。仲裁裁判所によると、中国は海洋生物の保護に関する国連海洋法条約の規定を露骨に無視してきました。

 多国間交渉による解決が選択肢から外れる中、今後、サンゴ礁はどうなるのか。中国は抗議の意味を込めて人工島建設を加速させるのか、それとも仲裁裁判所の判決に静かに従うのか。世界で最も重要な海域の一つが向かう方向を正確に把握するためには、中国海軍の大言壮語に耳を傾けるのではなく、漁船や浚渫船がやっていることに注意を払うべきです。(ソースWSJ)

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