日本企業の管理職の年収が海外に比べて「割安」になってきたそうです。新興国の賃金が上昇、為替の円安傾向もあって相対的な水準が下がっているのです。民間調査では部長級の年収は中国より低いとの結果も出たそうです。事業のグローバル化で日本企業の外国人採用は増えるとみられるものの、管理職の賃金水準の低さは優秀な人材確保への障害になりかねないと懸念されています。
72万6千元(約1200万円)。これは石油大手、中国石油天然気集団の管理職の平均年収です。低人件費を原動力に「世界の工場」となった中国ですが、管理職の年収は意外に高いようです。北京師範大学の調べでは、中国上場企業の部長以上の高級管理職の平均年収は2012年に63万6100元(約1050万円)。一般的な都市住民の平均可処分所得の25倍に達しています。しかも08年から2割も伸びたそうです。
世界に9000社の顧客を持つ人事コンサル大手の米ヘイコンサルティンググループは各国の役職階級別の年収(基本給、年間一時金、手当)を調査し、日本の課長級を1として指数化。これによると日本の部長級は1,36なのに対し中国は1,64。本部長・事業部長級では1,68対2,57とさらに差が開くことが分かったそうです。
中国だけではなく、タイも課長級では0,49と日本の半分ですが、部長級では1,35とほぼ同等の水準になり、2,24にまで伸びる本部長級では日本を大きく逆転するのです。日本は米国やドイツと比べても、部長級から差が付けられています。ちなみに、指数は年収水準の額面を比較しており、物価の違いなどは考慮していません。
為替の円安基調も日本の管理職年収を目減りさせています。ヘイグループの調査は13年時点の年収を1ドル102円で計算しているそうです。1ドル83円で算出した12年の調査では本部長級でも中国企業より日本企業の年収が上回っていました。調査は肩書きの名称ではなく、仕事の権限などから日本の「課長」「部長」などに相当する役割の社員を抽出し比較したそうです。各役職階級の人員構成などには違いがあります。
日本の管理職の年収が海外に見劣りする背景には各国とは大きく異なる賃金カーブがあると言います。各国の賃金カーブは課長級以降に急上昇するのに対し、国内企業は管理職に昇進してからの昇給幅が小さく、上昇がなだらだからだと言います。米国や中国などの企業は管理職が比較的少なく、優秀な人材を呼び込むために高い報酬を用意しているケースが多いそうです。
一方、日本には終身雇用を前提とする企業が多く、他国よりも部長以上の人数が多い傾向にあり、世界的に特殊な賃金カーブの原因になっていると言います。管理職報酬を低く抑える傾向が続けば、国境を越えた優秀な人材採用に支障が出る懸念があります。問題は採用だけではありません。賃金水準の違いは、海外企業のM&Aでグループ化した企業との融和の壁になりかねないのです。ヘイグループの日本法人社長は「事業が国際化する中、国内企業も分配の在り方を見直すべきだ」と指摘しています。ただ、賃金体系は雇用形態などに直結しており抜本的な見直しは容易ではないのが実情です。
72万6千元(約1200万円)。これは石油大手、中国石油天然気集団の管理職の平均年収です。低人件費を原動力に「世界の工場」となった中国ですが、管理職の年収は意外に高いようです。北京師範大学の調べでは、中国上場企業の部長以上の高級管理職の平均年収は2012年に63万6100元(約1050万円)。一般的な都市住民の平均可処分所得の25倍に達しています。しかも08年から2割も伸びたそうです。
世界に9000社の顧客を持つ人事コンサル大手の米ヘイコンサルティンググループは各国の役職階級別の年収(基本給、年間一時金、手当)を調査し、日本の課長級を1として指数化。これによると日本の部長級は1,36なのに対し中国は1,64。本部長・事業部長級では1,68対2,57とさらに差が開くことが分かったそうです。
中国だけではなく、タイも課長級では0,49と日本の半分ですが、部長級では1,35とほぼ同等の水準になり、2,24にまで伸びる本部長級では日本を大きく逆転するのです。日本は米国やドイツと比べても、部長級から差が付けられています。ちなみに、指数は年収水準の額面を比較しており、物価の違いなどは考慮していません。
為替の円安基調も日本の管理職年収を目減りさせています。ヘイグループの調査は13年時点の年収を1ドル102円で計算しているそうです。1ドル83円で算出した12年の調査では本部長級でも中国企業より日本企業の年収が上回っていました。調査は肩書きの名称ではなく、仕事の権限などから日本の「課長」「部長」などに相当する役割の社員を抽出し比較したそうです。各役職階級の人員構成などには違いがあります。
日本の管理職の年収が海外に見劣りする背景には各国とは大きく異なる賃金カーブがあると言います。各国の賃金カーブは課長級以降に急上昇するのに対し、国内企業は管理職に昇進してからの昇給幅が小さく、上昇がなだらだからだと言います。米国や中国などの企業は管理職が比較的少なく、優秀な人材を呼び込むために高い報酬を用意しているケースが多いそうです。
一方、日本には終身雇用を前提とする企業が多く、他国よりも部長以上の人数が多い傾向にあり、世界的に特殊な賃金カーブの原因になっていると言います。管理職報酬を低く抑える傾向が続けば、国境を越えた優秀な人材採用に支障が出る懸念があります。問題は採用だけではありません。賃金水準の違いは、海外企業のM&Aでグループ化した企業との融和の壁になりかねないのです。ヘイグループの日本法人社長は「事業が国際化する中、国内企業も分配の在り方を見直すべきだ」と指摘しています。ただ、賃金体系は雇用形態などに直結しており抜本的な見直しは容易ではないのが実情です。