マックンのメモ日記

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歯髄から取り出した幹細胞で脊髄損傷したラットが歩行できるようになった!

2011-12-02 18:45:01 | 宇宙・サイエンス・科学技術
名古屋大の上田教授(顎顔面外科)らの研究グループは、歯の内部にある歯髄から取り出した幹細胞を使い、損傷した中枢神経を再生するメカニズムを、動物を使った実験で解明したと発表しました。これでヒトへの応用が進めば、現在、有効な治療法のない脊髄損傷治療法の可能性が出てきました。

研究グループは、名大病院の患者から乳歯や永久歯(親知らず)の提供を受け、歯髄幹細胞を採取し、脊髄損傷で下肢の運動機能を失ったラットに移植したところ、8週間で歩けるようになったそうです。つまり神経損傷に伴う細胞死を抑制したり、神経情報を伝える構造を再生したりと言ったメカニズムが働くことがわかったのです。

脳梗塞状態にしたラットへの移植実験では、移植したラットはしなかったものと比べ、スムーズに歩けるようになり梗塞の範囲が小さくなったそうです。この実験成果を受け今後はサルへの移植実験で効果や安全性を検証する予定だそうです。

歯髄幹細胞を使った再生医療は、歯周病や骨粗鬆症など歯科医療関連ではすでに臨床実験段階に入っており、今後、脊髄損傷など中枢神経や肝臓、腎臓、糖尿病といった全身疾患を対象に、新しい再生治療法の開発を目指すそうです。

様々な組織や臓器に成長するもととなる幹細胞を利用した再生医療では胚性幹細胞(ES細胞)の研究が世界中で進められている段階ですが、臨床(患者に接して診察・治療を行うこと)応用に向けては課題が残っています。一方、歯髄幹細胞は医療廃棄物である乳歯や抜いた親知らずから取り出せるため人体への負担がほとんどなく、倫理面での問題もハードルが低いのです。

上田教授いわく、「再生能力はiPS細胞と同じかそれ以上だと言い、しかもガン化しないなど安全であり、実用化の可能性は高い」と言っています。そして「初期の脊髄損傷などの治療に役立てたい」と期待しています。

ちなみに、歯髄とは象牙質に養分を供給している毛細血管(動、静脈)の集合体で構成される組織のことです。そこには神経組織も入っているため、一般的には「神経」と呼ばれることが多いですね。虫歯になったときに「神経を抜きますね」と言われる所です。歯に穴が開き歯髄まで到達すると水やお湯、甘いもの酸っぱいものが歯にしみ、神経を抜いた経験をもっている人は多いと思います。むし歯が痛いとはまさにこの歯髄が痛いという状況なのです。そのため歯髄をとってしまえば、もう象牙質には養分は供給されません。つまり象牙質も死んだ組織になるわけです。歯髄を失うことにより歯がもろくなって欠けやすくなります。

これを脊髄を損傷したラットに歯髄幹細胞を移植したのです。そしたらそのラットが歩けるようになったと言うわけです。つまり歩行機能が回復したということで、同じことがサルにできれば次は人間にもこの方法が有効かどうか臨床実験で確認し、最終的には交通事故などで脊髄を損傷し、寝たっきりになった人たちが歩けるようになる可能性が出てきたのです。そうすれば多くの人に光明を与える成果であるし、ついにここまで医療が進んできたかという画期的な成果だと思います。