黒い雨
1989年、昭和64年/平成元年 東映
監督:今村昌平
出演:田中好子、北村和夫、市原悦子、原ひさ子、沢たまき
場所:東急Bunkamura ル・シネマ2 2006.10
昭和二十年八月六日。冒頭…叔父さん(北村和夫)が市街電車に乗っているシーン。と、いきなりの爆風。原爆で体が飛ばされる。気がつくと、あたりは滅茶苦茶の地獄絵図。その時、スーちゃん(田中好子さん)は叔父に会う為に船に乗っていた。広島方面に湧き上がるキノコ雲を見る。「なんじゃー!ありゃー!」。その後に黒い雨が降る。ベチャ、ベチャ。頬に雨が当たる…そして、叔父に会う為、被爆直後の広島市内へ。スーちゃんは叔父、叔母(市原悦子)と爆風でメチャクチャになった建物や死体の山や大やけどで皮がめくれたの人たちであふれた広島市内を歩く。…全身焼けどの子供がいた。彼は兄と再会するが兄は弟の姿が分らない…叔父の勤めていた工場に辿り着くために市内を歩き続けるスーちゃん達…川には黒こげになった死体が浮かんでいる。ようやく市内を抜けた彼らは命からがら、工場に辿り着き一命を取り留める…川辺に積まれた死体の山、念仏をあげる坊主も葬儀屋もいない為、しょうがなく念仏を唱える叔父さん。そして川原で死体を焼く。スーちゃんは川で水浴び…彼女の頬にススが付く…
やがて、戦争終結…物語は終戦後5年後へと移る。
外見はなんともない、スーちゃん、叔母さん、叔父さんだが、原爆病(放射線障害)が忍び寄る…医者にはなるべくビタミンを取るようにと言われているよう。アロエが良いとか鯉の生き血が良いとか…スーちゃんは年頃で、縁談もあるよう。だが、ピカにあった娘の噂から、縁談はまとまらない。スーちゃん達は田舎の村に住んでいる。叔父さんは自分の土地を売って生活費にしているよう…村には、陸軍帰りの元兵隊がいる。彼は、普段は石の地蔵を彫っているが、自動車等のエンジン音が戦車の音に聞こえて、バスが停車するたびに地雷(枕)でタイヤを爆破する為に自動車に突っ込む…笑えるユーモラスなシーンなのだがホントは恐ろしい…そして、叔父さんはスーちゃんが原爆病でないことを証明する為に、彼女の日記を清書する。(この日記が原作で、井伏鱒二がこの事実を小説化したよう)しかし努力も虚しく縁談は上手く行かない。スーちゃんの鏡台の前のシーン。彼女のおしりには、戦後5年経っても未だに直らないおできがある…
その後、村にいる顔見知りのヒバクシャ達が次々と命を落として行く…叔母さんも、体力、気力を失い初め、怪しい宗教に傾倒したりしている。アロエを隠れて食べるスーちゃんも遂に発病してしまう。お風呂に入るスーちゃんの若々しい体とはアンバランスに彼女の髪の毛は『ズルリ』と抜ける…伯母さんがそれを見て周囲にもスーちゃんの病気が知れる。
叔父さんの釣りを見ているスーちゃん。池の主を見たスーちゃんはなぜか興奮する。幻聴、幻覚を見る彼女…ヤマイが進むスーちゃん。彼女の元に地蔵を届ける元兵隊。二人は心を繋いでいく。さらに病が進み、やがてスーちゃんは危篤状態に…元兵隊は彼女を抱えて、救急車に乗り込む。取り残される叔父、叔母…車は山道に消えて行く…バックには大きな山と青い空…
*
初の今村映画。原爆の被害とこの手の放射線障害を真正面から見つめたメジャーな映画が作れるのは日本だけなのではないだろうか。生きながら肉体が朽ちて行くのは悲惨すぎる。今村昌平監督もいままで見たいと思いつつ見逃して来た監督だった。米軍と自衛隊の軍港、横須賀のアングラ世界を描いた「豚と軍艦」など見てみたいものが多く、少しずつ見て行こうと思った。
ご参考>
ザ・スクープ 日本の原爆開発と人体実験
原爆と峠三吉の詩 下関原爆展パネル/長周新聞
1989年、昭和64年/平成元年 東映
監督:今村昌平
出演:田中好子、北村和夫、市原悦子、原ひさ子、沢たまき
場所:東急Bunkamura ル・シネマ2 2006.10
昭和二十年八月六日。冒頭…叔父さん(北村和夫)が市街電車に乗っているシーン。と、いきなりの爆風。原爆で体が飛ばされる。気がつくと、あたりは滅茶苦茶の地獄絵図。その時、スーちゃん(田中好子さん)は叔父に会う為に船に乗っていた。広島方面に湧き上がるキノコ雲を見る。「なんじゃー!ありゃー!」。その後に黒い雨が降る。ベチャ、ベチャ。頬に雨が当たる…そして、叔父に会う為、被爆直後の広島市内へ。スーちゃんは叔父、叔母(市原悦子)と爆風でメチャクチャになった建物や死体の山や大やけどで皮がめくれたの人たちであふれた広島市内を歩く。…全身焼けどの子供がいた。彼は兄と再会するが兄は弟の姿が分らない…叔父の勤めていた工場に辿り着くために市内を歩き続けるスーちゃん達…川には黒こげになった死体が浮かんでいる。ようやく市内を抜けた彼らは命からがら、工場に辿り着き一命を取り留める…川辺に積まれた死体の山、念仏をあげる坊主も葬儀屋もいない為、しょうがなく念仏を唱える叔父さん。そして川原で死体を焼く。スーちゃんは川で水浴び…彼女の頬にススが付く…
やがて、戦争終結…物語は終戦後5年後へと移る。
外見はなんともない、スーちゃん、叔母さん、叔父さんだが、原爆病(放射線障害)が忍び寄る…医者にはなるべくビタミンを取るようにと言われているよう。アロエが良いとか鯉の生き血が良いとか…スーちゃんは年頃で、縁談もあるよう。だが、ピカにあった娘の噂から、縁談はまとまらない。スーちゃん達は田舎の村に住んでいる。叔父さんは自分の土地を売って生活費にしているよう…村には、陸軍帰りの元兵隊がいる。彼は、普段は石の地蔵を彫っているが、自動車等のエンジン音が戦車の音に聞こえて、バスが停車するたびに地雷(枕)でタイヤを爆破する為に自動車に突っ込む…笑えるユーモラスなシーンなのだがホントは恐ろしい…そして、叔父さんはスーちゃんが原爆病でないことを証明する為に、彼女の日記を清書する。(この日記が原作で、井伏鱒二がこの事実を小説化したよう)しかし努力も虚しく縁談は上手く行かない。スーちゃんの鏡台の前のシーン。彼女のおしりには、戦後5年経っても未だに直らないおできがある…
その後、村にいる顔見知りのヒバクシャ達が次々と命を落として行く…叔母さんも、体力、気力を失い初め、怪しい宗教に傾倒したりしている。アロエを隠れて食べるスーちゃんも遂に発病してしまう。お風呂に入るスーちゃんの若々しい体とはアンバランスに彼女の髪の毛は『ズルリ』と抜ける…伯母さんがそれを見て周囲にもスーちゃんの病気が知れる。
叔父さんの釣りを見ているスーちゃん。池の主を見たスーちゃんはなぜか興奮する。幻聴、幻覚を見る彼女…ヤマイが進むスーちゃん。彼女の元に地蔵を届ける元兵隊。二人は心を繋いでいく。さらに病が進み、やがてスーちゃんは危篤状態に…元兵隊は彼女を抱えて、救急車に乗り込む。取り残される叔父、叔母…車は山道に消えて行く…バックには大きな山と青い空…
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初の今村映画。原爆の被害とこの手の放射線障害を真正面から見つめたメジャーな映画が作れるのは日本だけなのではないだろうか。生きながら肉体が朽ちて行くのは悲惨すぎる。今村昌平監督もいままで見たいと思いつつ見逃して来た監督だった。米軍と自衛隊の軍港、横須賀のアングラ世界を描いた「豚と軍艦」など見てみたいものが多く、少しずつ見て行こうと思った。
ご参考>
ザ・スクープ 日本の原爆開発と人体実験
原爆と峠三吉の詩 下関原爆展パネル/長周新聞
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