あとだしなしよ

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大番(上)

2010年02月05日 | 
横浜出身の獅子文六先生の大衆小説、「大番」の上巻を読みました。

四国生まれの株屋、カブト町のギューちゃんこと丑之助の物語。
お話の中はいまだ戦前で昭和ヒトケタであり、江戸情緒がそこかしこに残っている。ひょんなこと(行き先も決めず東京に家出して、小憎として株屋にバイト)からカブ屋になったギューちゃんが主人公。

名前の如くギューちゃんはブルである。目を付けた株を買って買って買いまくる。ブルとはイギリス人がイヌをけしかけたときの、ターゲットの臨戦体勢によるものデアル。つまり熊(ベア)にけしかけた時、意外にも熊は後ろを向いて後ろ足で応戦し、牛(ブル)にけしかけた時は、牛はツノで応戦した。その勇ましいサマに買いをブル、売りをベアと呼ぶようになったそうだ。なんて奴らだイギリス人!株式のルーツなんて結局大金持ちのゴラクなのか?そうなのかァ!

いっぱしの株屋になって、本妻は無いが愛人はあり、今の1億円以上を儲けた。そのとき大陸で盧溝橋事件が起こり、その時のギューちゃんの台詞。。
戦争が始まれば好景気がくる。好景気がくれば、株は上がる。これは大地を槌で打つ如く、はずれのない事実である。
しかしながら、チト読み違えて、株は暴落。。
恐ろしいもので、二十八歳の丑之助の頭に霜が降ったように白髪が生えた。ーーーもういけん!そう思った途端に白くなったらしい。一夜にして白髪になるというが、事実はもっと短時間であった。そして、ほおはたるみ肌はドス黒く、目はくぼみ、声は枯れ、景気のいいのは小便の色だけであった。これは鮮紅色に近かった。
アァ!血のしょんべんが。。

上巻では、まだ太平洋戦争前である。ギューちゃんの運命やいかに。。