かぶとん 江戸・東京の歴史散歩&池上本門寺

池上本門寺をベースに江戸の歴史・文化の学びと都内散策をしています。

日朗上人 朗門の九鳳(九老僧)

2012-05-01 | 宗史概論
宗史概論 (日蓮宗史)

日朗上人 1243(1245 ?)~1320 寛元元年(寛元3 ?)~元応2年1月21日
日蓮聖人六老僧の一人。号は筑後房。大国阿闍梨。下総国の出身。父は印東有国。
池上宗仲の協力により池上本門寺の基礎を築く。千葉胤貞(ちば・たねさだ)室の寄進で平賀本土寺を建立する。
池上長栄山本門寺・比企谷長興山妙本寺・平賀長谷山本土寺 (朗門の「三長三本」)
池上・南窪で入滅。廟所は安国論寺、法性寺、池上本門寺にある。
多くの弟子がおり、その高弟は「朗門の九鳳」(九老僧)と呼ばれた。
日朗門流・池上門流・比企谷門流の祖。比企・池上の両山二祖。


朗門の九鳳(九老僧)

日像 1269~1342 (文永6~康永1/興国3)
肥後房、肥後阿闍梨。下総国の出身。俗姓は平賀氏。経一麿(丸)。
1282(弘安5)、日蓮聖人より帝都供通を遺命さる。
1294(永仁2)、日蓮聖人十三回忌の年、京都での布教を開始する。
他宗からの圧迫をうけ、京都から3度の追放があるも、その度に許された(三黜三赦)。
1321(元亨3)、後醍醐天皇より布教の勅許を得る。妙顕寺を建立する。
四条門流の祖。弟子・大覚(大覚妙実)。

日輪 1272~1359 (文永9~正平14/延文4)
治部公、大経阿闍梨。俗姓は平賀氏。日像の弟。幼名は亀王麿(丸)。
鎌倉・妙本寺、池上本門寺の住持(比企・池上の両山三祖)。
妙正寺(現・宇都宮)の改宗、開山。

③日善 大法阿闍梨 上洛して日像を扶ける。
碑文谷法華寺二祖。

④日傳(伝) 1247~1341 (宝治1~興国2/暦応3)
大円阿闍梨。初め日典と称す。もと天台宗の学僧、柏崎で日朗上人に出会い門下となる。鎌倉においては、日朗上人の助手となり、日輪を指南した。
日朗上人に代わり、平賀本土寺の初代住持となる。二祖。

⑤日範 大前阿闍梨 上洛して日像を扶ける。
福知山常照寺の開山。

日印 1264~1329 (文永1~嘉暦3)
摩訶一房(坊)。越後国寺泊(現・新潟県長岡市)の生まれ。
鎌倉名越・本勝寺の建立。越後国三条・長久山本成寺の開山。
日朗上人の滅後、日輪らの比企・池上門流から離れる。
弟子・日静(足利尊氏の叔父。京都・本国寺の開山)、日順(富山八尾・本法寺の開山)
日蓮宗六条門流(本国寺)、法華宗陣門流(本成寺)

⑦日澄 1239~1326 (延応1~嘉暦1)
本乗坊。*大乗阿闍梨。相州・小田原の生まれ。俗姓は浜名氏(平姓)。
九鳳のうちの最年長者。天津・日澄寺の開山(初祖を工藤吉隆(日玉)、日澄は二祖)。
池上・大坊に住し、祖廟を守る。熱田本遠寺開山。

⑧日行 妙音坊、妙音阿闍梨 上洛して日像を扶ける。
京都・妙音山大妙寺、佐渡本光寺開山。

⑨朗慶 越中阿闍梨
俗姓は荏原氏。父は、荏原郷の地頭・荏原義宗。
旗岡八幡神社・(別当)八幡山法蓮寺(中延法連寺)の建立・開山。



〇大覚(大覚妙実) 1297~1364 (永仁5~貞治3)
名は妙実。近衛経忠の子(兄弟?)、あるいは後醍醐天皇の皇子といわれる。(伝承上)
大覚寺の真言僧であったが、改宗して日像の弟子となった。
京都・具足山妙顕寺第二世。大僧正。備前法華の祖。
1358年、後光厳天皇より日蓮聖人に大菩薩号、日朗上人・日像上人に菩薩号を賜る。
弟子・朗源(俗姓は千葉氏)は、のちに妙顕寺第三世となる。

〇日静 1298~1369 (永仁6~正平24/応安2)
駿河国の生まれ、上杉氏(藤原北家)。姉・清子は足利尊氏の生母。
1338年、上洛。鎌倉・本勝寺を京都六条堀川に移し本国寺(現・本圀寺)と改称した。
日静の弟子、日伝は京都本国寺を、日陣は越後国三条・本成寺を引き継いだ。
六条門流の祖。
著作 『鎌倉殿中問答』


歴史上の出来事
1274年(文永11) 文永の役(元寇)
1281年(弘安4) 弘安の役(元寇)
1331~33年(元弘1~3) 元弘の変
1333年(元弘3) 鎌倉(北条)幕府、滅ぶ
1334年(建武1) 建武の中興、天皇親政。
1334年(建武1) 日像上人、後醍醐天皇に拝謁し妙顕寺を勅願寺とする論旨を賜る。
1336年(延元1/建武3) 後醍醐天皇、吉野に遷幸
1338年(暦応1/ - ) 足利尊氏、征夷大将軍となる
1349年(貞和5/ - ) 足利基氏、鎌倉御所(鎌倉公方)となる
1358年(延文3/ - ) 足利尊氏死去


*大乗阿闍梨(日澄) 名前だけ載せて次へ、というところでした。よくよく見ると、クリ弁(繰り弁・高座説教)の『大乗坊発心の弁』という話の主人公です。やや大袈裟な構成・話ですが、日朗と大乗坊のやりとりは、最後の場面で思わず泣けてきますよ。


参考 Wikipedia
参考書籍 『大本山 池上本門寺史管見』 石川存静・著
     『日本史年表・地図』 吉川弘文館
     『日蓮宗小事典』 小松邦彦・冠賢一編 法蔵館

注 「宗史概論」の自習用に作成しました。変更・追加、随時します。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。