★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ダヴィッド・オイストラフ&レフ・オボーリンのシューベルト:ヴァイオリンソナタ第4番「デュオ」 /グリーグ:ヴァイオリンソナタ第2番

2021-10-21 09:38:51 | 室内楽曲(ヴァイオリン)

 

シューベルト:ヴァイオリンソナタ第4番「デュオ」
グリーグ:ヴァイオリンソナタ第2番

ヴァイオリン:ダヴィッド・オイストラフ

ピアノ:レフ・オボーリン

発売:1975年

LP:ビクター音楽産業 MK-1070

 これは、旧ソ連の名ヴァイオリニストのダヴィッド・オイストラフ(1908年―1974年)と名ピアニストのレフ・オボーリン(1907年―1974年)の黄金のコンビによるシューベルトとグリークのヴァイオリンソナタを収録したLPレコードである。シューベルトは、19歳の年に3曲のピアノのとヴァイオリンのための作品を作曲した。これらの曲は簡潔な作風で、ソナタと呼ばれるより、ソナチネと呼ばれることが多く、これらの作品自体、愛すべき曲に仕上がっている。その翌年に書かれたピアノのとヴァイオリンのための作品は、もはやソナチネとは呼べない立派な構成の曲になっており、そのため、一般的にはシューベルトのヴァイオリンソナタ第4番と呼ばれている。ヴァイオリンとピアノが対等の位置関係で作曲されているため「二重奏曲(Duo)」という愛称を持つ。一方、グリーグは、1865年に作曲したヴァイオリンソナタ第1番から2年を経た1867年に、ヴァイオリンソナタ第2番を作曲した。第1番と同じく短期間で完成されたこの曲は、24歳の時にノルウェーに戻ってから作曲された。第1番から僅か2年しか経っていないながら、内容的には大きく進歩している。優雅で美しい北欧舞曲の第3楽章は、もともとチェロとピアノのための作品として構想されていたものという。いずれにせよこの曲は、グリーグの美しい旋律の魅力が存分に詰まった作品と言える。2曲ともいかにも室内楽らしい静かな雰囲気を漂わせた佳品である。こんな愛すべき作品の録音にはLPレコードがぴったりと合う。ダヴィッド・オイストラフは、ロシア派ヴァイオリニストの中心的存在であった。軽やかで抑揚に富むその表現力は、格調高い演奏内容を持っていた。真正面から曲に取り組み、その健康で明るく、しかも上っ面を撫でるのではなく、曲の本質をがっちりと掌握し、分りやすい表現力は、多くのファンの心を掴んで離さなかった。それらは高い技術力に裏付けられたものであり、さらに日頃の修練からもたらされたであろうことが、リスナーにひしひしと伝わってくる。オボーリンとの素晴らしいアンサンブルに中に、絶えず自分の解釈を表現し、芸術的な高みを極めようとする姿勢を崩すことは決してない。このLPレコードでもこれらのダヴィッド・オイストラフの特徴が最大限発揮されている。今考えるとダヴィッド・オイストラフやレフ・オボーリンが活躍していた頃の旧ソ連のクラシック音楽界は、多くの名演奏家がひしめき合い、そして光り輝いていた。(LPC)


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