★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇フェルナン・ウーブラドゥ指揮室内管弦楽団のモーツァルト:交響曲第31番「パリ」/バレエ音楽「レ・プティ・リアン」

2021-07-15 10:03:57 | 交響曲(モーツァルト)


モーツァルト:交響曲第31番「パリ」K.297
       バレエ音楽「レ・プティ・リアン―序曲と13舞曲」K.追加Ⅰ‐10

指揮:フェルナン・ウーブラドゥ

管弦楽:フェルナン・ウーブラドゥ室内管弦楽団

録音:1955年10月~11月

LP:東芝EMI EAC‐30126

 これは、「パリのモーツァルト」と題されたシリーズのVOL.7に当たるLPレコード。モーツァルトは、1774年~1778年の、いわいるザルツブルグ時代の4年間には、交響曲を作曲しなかった。この4年間の沈黙の後、新しい創作期の口火を切って、1778年に書かれたのが、「パリ」と名付けられた、この交響曲第31番である。コンセール・スピリチュエルのル・グロの依頼で、1778年5月から6月の間にパリで作曲された。このためこの交響曲は、後に「パリ」という愛称で呼ばれるようになったのである。コンセール・スピリチュエルは、宗教的な声楽曲の演奏を目的に設立されたが、その後は次第に、世俗的なオーケストラ作品も取り上げるようになり、中でも、交響曲と協奏曲の分野に力を注いでいた。パリでテノール歌手として活躍していたル・グロ(1730年―1793年)が、1777年にコンセール・スピリチュエルの指導者として迎え入れられた翌年の1778年3月23日に、モーツァルトはパリに到着する。そこで、ル・グロは、6月18日の聖体の祭日(聖体祭)のコンサートのための新作をモーツァルトに依頼し、モーツァルトは6月12日にこれを完成させた。初演は、予定通り、6月18日のコンサートにおいて、ル・グロの指揮で演奏された。このLPレコードで指揮をしているフェルナン・ウーブラドゥ(1903年―1986年)は、フランスのファゴット奏者兼指揮者。パリ音楽院で学び、パリ音楽院管弦楽団およびパリ・オペラ座管弦楽団の首席ファゴット奏者として活躍。1939年には自ら、フェルナン・ウーブラドゥ室内管弦楽団を結成した。1941年からはパリ音楽院の室内楽科教授として、ジャック・ランスロやピエール・ピエルロらを育成したことでも知られる。このLPレコードでのウーブラドゥの指揮は、明快極まりないもので、若き日のモーツァルトを髣髴とさせるはつらつとした演奏に終始する。この交響曲の持つ華やかで、如何にも聖体祭を祝福するムードを存分に盛り上げるに相応しい演奏内容となっている。次に、モーツァルトは、パリでオペラ座のメートル・ド・バレエ(バレエ・マスター)に就任したノヴェール(1727年―1810年)に会い、バレエ音楽の作曲の依頼を受ける。そして完成したのが、序曲と13の舞曲からなるバレエ音楽「レ・プティ・リアン(些細なものという意味)」である。ここでのウーブラドゥの指揮は、あたかも目前でパリ・オペラ座の踊り子が、バレエを踊っているかのような、華やかで快活な雰囲気に終始する。パリの演奏家たちの、本場もののなせる技が光る。(LPC)


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