★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇パリ時代に書かれた名作モーツァルト:交響曲第31番「パリ」/フルートとハープのための協奏曲

2021-03-01 09:38:45 | 交響曲(モーツァルト)

モーツァルト:交響曲第31番「パリ」

   指揮:オトマール・スウィトナー
   管弦楽:ドレスデン国立管弦楽団

モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲

   フルート:エレーヌ・シェーファー
   ハープ:マリリン・コステロ
   
   指揮:ユーディ・メニューイン
   管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団

LP:東芝EMI EAC‐30171

 これは、モーツァルトがパリに滞在していた時の作品2曲を収めたLPレコードである。モーツァルトは、1778年3月(22歳)にパリに到着した。パリ旅行には母のマリーア・アンナも同行したが、母は健康を害し、亡くなり、当地で埋葬されてしまう。そんなショッキングな出来事が起きた時に、交響曲第31番「パリ」とフルートとハープのための協奏曲が作曲された。2曲とも明るく、優雅で、華やかな趣を持った作風の曲となっている。この理由は、その当時のパリの流行に合わせたことによるものと考えられている。交響曲第31番「パリ」は、パリ旅行の前に訪れたマンハイムで吸収したものに、パリの華やかな音楽性が加わり、大規模な編成の交響曲となっている。このLPレコードには、オトマール・スウィトナー指揮ドレスデン国立管弦楽団による演奏が収録されている。オトマール・スウィトナー(1922年ー2010年)は、オーストリア出身の指揮者。シュターツカペレ・ドレスデン音楽総監督・首席指揮者、ベルリン国立歌劇場音楽総監督などを歴任し、1973年にNHK交響楽団の名誉指揮者に就任。このLpレコードでのスウィトナーの指揮ぶりは、誠に正統的な演奏内容で、如何にも華やかなこの交響曲を、颯爽と指揮して、小気味いいことこの上ない。少しの力もなく、自然に演奏が進むが、内容がぎっしりと詰まっているので、聴き応え十分。要するに表面をなぞったような演奏ではなく、心からの共感を持ってモーツァルトを指揮していることが手に取るように分かるのだ。ドレスデン国立管弦楽団の演奏も一部の隙もなく、スウィトナーの描くモーツァルトの世界を忠実に再現して見せる。B面に収録されたモーツァルト:フルートとハープのための協奏曲は、フルートのエレーヌ・シェーファーとハープのマリリン・コステロを、名ヴァイオリニストだったユーディ・メニューイン(1916年―1999年)がフィルハーモニア管弦楽団を指揮をし、伴奏している珍しい録音。フルートのシェーファーは指揮者のエフレム・クルツ(1900年―1995年)夫人として知られ、ニューヨーク・フィルの首席奏者を務めていた人。ハープのコステロは、フィラデルフィア管弦楽団の首席ハープ奏者だった。ここでの演奏内容は、古き良き時代を思い起こさせる優雅な雰囲気で進められる。一人一人の演奏者が自由に伸び伸びと演奏する雰囲気が伝わってくる。特に、シェーファーのフルート演奏は絶品。これは、同曲の隠れた名録音と言っていい。(LPC)


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