★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇世界的名ソプラノ 林 康子のオペラアリア集

2022-01-27 09:59:33 | オペラ


モーツァルト:歌劇「ドン・ジョバンニ」第1幕より さあ、あなたもお分かりでしょう
       歌劇「ドン・ジョバンニ」第2幕より いいえ違います、私はあなたのもの
ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」第2幕より 暗い森
      歌劇「セミラーミデ」第1幕より 麗しい光が
ドニゼッティ:歌劇「愛の妙薬」第2幕より 受けとって、私はあなたのために
プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」第3幕より 氷のような姫君の心も
      歌劇「蝶々夫人」第2幕より ある晴れた日に
      歌劇「蝶々夫人」第2幕より かわいい坊や
ヴェルディ:歌劇「椿姫」第1幕より ああ、そはかの人か~花から花へ~

ソプラノ:林 康子

テノール:田口興輔(「ドン・ジョバンニ」「椿姫」)

指揮:ニコラ・ルッチ

管弦楽:東京交響楽団

チェンバロ:前橋裕子(「ドン・ジョバンニ」)

録音:1978年7月6日~7日、入間市民会館

LP:ビクター音楽産業 SJX‐9536

 林 康子は、1943年生まれの香川県出身のソプラノ歌手。高松高校2年のときから声楽の勉強を始める。東京芸大音楽学部に入学して、柴田睦陸に師事。東京芸術大学院を修了後、ミラノ音楽院、スカラ座オペラ研究所に留学。1970年「モンティキァーリ国際コンクール」および「ロニーゴ国際コンクール」第1位。1973年にミラノのスカラ座でプッチーニのオペラ「蝶々夫人」の蝶々夫人役で日本人としては初めて出演して好評を博した。1968年「日伊声楽コンコルソ」第1位、1970年「モンティキァーリ国際コンクール」「パルマ国際オペラ歌手コンクール」第1位、1971年「ロニーゴ国際コンクール」第1位、1972年「イタリア国営放送ロッシーニ生誕180周年記念コンクール」第1位、1982年「イタリア金の射手座賞」を受賞するなど、当時は日本での知名度より、欧米での評価の方がはるかに高かったのである。その後、1983年「毎日芸術賞」、1988年「サントリー音楽賞」などを受賞し、2006年には紫綬褒章を受章した。さらに母校の東京芸術大学の教授も務めた。これらの経歴を見れば分るように林 康子は、第二次世界大戦後のわが国の声楽界を代表する国際的なソプラノ歌手なのである。このLPレコードのライナーノートによると「外国のオペラ雑誌には、ここ数年、彼女の名はしばしばみられ、上演評でよく褒められている」(宮沢縦一)と、録音当時、海外での評価が高かったことが紹介されている。このLPレコードは、そんな彼女が日本で録音した歌劇のアリア集である。どのアリアも艶やかさのある伸びやかな歌声であり、しかも豊かな声量で歌われており、多くのコンクールでの受賞が、実力そのものであることが裏づけられる録音といえるのである。このLPレコードの指揮者のニコラ・ルッチ(1909年―1992年)は随分懐かしい名前だ。ルッチは、イタリア出身の指揮者で、1955年から日本で活躍した。1934年にローマの名門、国立サンタ・チェチーリア音楽院を卒業後、ローマ王立歌劇場指揮者に就任。その後正指揮者となり20年間同劇場で活躍。1954年文部省より招聘外人教師として来日、宮崎大学で音楽理論を教えると同時に、1955年より東京フィルハーモニー交響楽団の常任指揮者に就任。一旦帰国し、1959年再び来日して東京藝術大学などで教える。1986年「勲三等瑞宝章」受章。林 康子を中心にしたこのLPレコードは、日本で録音されたとは思えないほどの出来栄えで、当時の日本のクラシック音楽界の充実ぶりが偲ばれる。(LPC)


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