★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇エド・デ・ワールト指揮ドレスデン国立管弦楽団のモーツァルト:セレナード第5番

2020-08-10 09:52:20 | 管弦楽曲

モーツァルト:セレナード第5番K.204(213b)

ヴァイオリン:ウト・ウギ

指揮:エド・デ・ワールト

管弦楽:ドレスデン国立管弦楽団(シュタッツカペレ・ドレスデン)

録音:1973年11月17日ー23日/1974年5月12日-13日、ドレスデン

LP:日本フォノグラフ(フィリップスレコード) 18PC-82(6500 967)

 このLPレコードで指揮しているのは、若き日のオランダ出身指揮者エド・デ・ワールト(1941年生まれ )である。エド・デ・ワールトは、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の次席オーボエ奏者を経て、1964年に23歳で、ニューヨークの「国際ディミトリー・ミトロプーロス指揮コンクール」で優勝を果たす。ロッテルダム・フィル(1973年ー1985年)、サンフランシスコ交響楽団(1977年ー1985年)の、それぞれ音楽監督を務める。さらに、1995年から2004年までシドニー交響楽団の首席指揮者ならびに芸術顧問を務める。2009年よりミルウォーキー交響楽団の音楽監督に、また2011年よりロイヤル・フランダース・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任している。エド・デ・ワールトの指揮ぶりは、正に正統派そのもので、極端な誇張や奇を衒うこととは無縁である。しかし、決して形式ばって堅苦しいものではなく、あくまでそのつくり出す音楽は、瑞々しく、清新さに溢れたものとなっている。エド・デ・ワールトは、低迷しているオーケストラを、最高のレベルまで引き上げる能力に長けており、これまで多くのオーケストラの質の向上を実現させてきた実績を持つ。このLPレコードの指揮でも、エド・デ・ワールトが有する、素直で豊かな表現力とが如何なく発揮されている。演奏しているのは、1548年に設立された旧東ドイツの名門オーケストラのシュターツカペレ・ドレスデン。2012年からはクリスティアン・ティーレマンが務めている。さて、このLPレコードに収録されているモーツァルト:セレナード第5番K.204(213b)は、現在演奏されることはあまり多くはない。モーツァルト:セレナードというと、第6番「セレナータ・ノットルナ」、第7番「ハフナー」、第9番「ポストホルン」、第10番「グラン・パルティータ」、第13番「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」などが、現在よく演奏される。セレナード第5番は、これらに著名なセレナーデを生み出したルーツともいうべき曲。このセレナードは、もともと、7楽章からなるが、通常、初演の時に最初に演奏された行進曲K.215(213b)が第1楽章として演奏されるようで、このLPレコードでも、この慣習によっている。演奏内容は、軽快なテンポで、実にはつらつとしたもので小気味良い。同時にシュタッツカペレ・ドレスデンの深みの音色が、このセレナードに奥行きを持たせることに成功している。たまには、モーツァルトのあまり名の知られていないセレナードを聴くのも、新鮮味があってなかなかいいものだ。心から癒された。(LPC)


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