植草一秀の『知られざる真実』」
2014/10/24
日本政治の泥さらい・大掃除が必要だ
第992号
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10月21日付のブログ記事
「女性2閣僚辞任は財務省法務省による謀略工作か」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-5f64.html
にこう書いた。
「安倍政権は後任の経産相に宮澤洋一氏を、法相に上川陽子氏を起用する人事
を発表した。
早期に幕引きを図って、事態を立て直そうとしているように見えるが、そうは
問屋が卸さないだろう。
宮澤洋一氏の新たな問題が浮上しないとは言い切れない。」
その宮澤要一氏の新たな問題が浮上した。
政治資金をSMバーの代金支払いに充てていたことが発覚した。
また、経産相に就任するや否や、原発再稼働に積極的な発言を示していたが、
実は東京電力の株主だった。
株主の立場で公正な行政運営はできない。
そもそも、東電を法的整理せずに、血税で救済するという、歪んだ政策を主導
したのは財務省である。
財務省は原発事故が発生するや否や、三井住友銀行に東電に対する短期資金融
資を実行させた。
その結果、融資残高で三井住友銀行が首位に躍り出た。
本当のメインバンクは日本政策投資銀行である。
そして、この日本政策投資銀行こそ、財務省の最重要天下り先である。
単に天下り先であるというだけでなく、巨大銀行を支配下に置くことにこそ重
大な意味がある。
東電は法的整理されねばならない存在である。
原子力損害賠償法は原発事故が発生した場合、事故を発生させた事業者に損害
賠償責任を課している。
東電の損害賠償債務は東電の純資産額をはるかに上回るから、東電は実質完全
債務超過に陥っている。
したがって、法的整理を実施して、適正な責任処理を行わなければならない。
法的整理を行う場合、経営責任、株主責任、貸し手責任が適正に問われること
になる。
東電のメインバンクは日本政策投資銀行であるから、日本政策投資銀行は融資
資金の損金処理を行わなければならなくなる。
日本政策投資銀行が巨額損失に直面することになるのである。
財務省は日本政策投資銀行を民営化し、上場させ、旨みを2倍、3倍に膨らま
せようとしていた。
ところが、東電の法的整理で巨額損失を計上すると、このバラ色の青写真に狂
いが生じることになる。
この理由で、東電は不当で不正な、血税による救済となった。
日本政策投資銀行が負うはずの負担が、一般庶民に押し付けられているのであ
る。
また、財務官僚の多くが東電株式の保有者だったのだろう。
東電を法的整理すれば、株式は紙くずになる。
そこで、東電を不正に救済したわけだ。
宮澤洋一氏の問題が浮上するかも知れないと書いた。
そして、浮上した。
しかし、材料はまだ出尽くしでない。
まだ表面化していない材料がある。
結局、辞任ドミノは避けられない見通しである。
すでに表面化した材料だけで致命的である。
消費税を上げる話に際して、そもそもの出発点は
「シロアリ退治」
だった。
「シロアリ退治」とは、役所の職員が利権をむさぼっている現状を是正するこ
とだった。
日本政策投資銀行の天下りを全面禁止するべきなのだ。
日本政策投資銀行には大卒で入行した優秀な人材が溢れるほど存在するのだ。
役所から人を補充する必要性は皆無なのだ。
天下りは、役所の職員が利権をむさぼることだけを目的として行われている。
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のサンプル記事をご覧いただきたい。
2011年9月21日執筆のものだ。ちょうど3年前のもの。
タイトルは、
「大企業に減税、庶民に大増税、官僚には天下りの
どじょう首相に天下り根絶主張演説の過去」
2009年7月14日に、野田佳彦氏が衆議院本会議で、麻生内閣に対する不
信任決議案について賛成討論演説を行った。
そこで、野田氏はこう述べた。
「これだけの税金に、一言で言えば、シロアリが群がっている構図があるんで
す。
そのシロアリを退治して、働きアリの政治を実現しなければならないので
す。
まさに、天下りをなくし、わたりをなくしていくという国民の声に全くこたえ
ない麻生政権は、不信任に値します。」
財務官僚出身の宮澤洋一氏は、血税が注がれている政治資金でSMバーの代金
を支払っていた。この下で庶民大増税が実行されているのである。
こんな内閣には一刻も早く消えてもらわねば、国が亡びる。
安倍政権はすでに下り坂に入った。
転換点は昨年の12月30日だった。
安倍晋三氏は東証大納会で「アベノミクスは来年も買い」と宣言した。
ところが、この日が株価のピークになった。
慢心は災いを招くのである。
二つめのターニングポイントは6月15日。
ワールドカップの日本緒戦。
日本時間日曜朝4時に始まる試合を、無理やり午前10時開始に変更した。
日本勝利で日本中をワールドカップの熱気に包んでしまうことが画策された。
狙いは、集団的自衛権行使容認の閣議決定を喧騒にまぎれて実行することだっ
た。
ところが、緒戦に負けた。
ワールドカップで日本は一次リーグ敗退。
人々の関心は、否応なく集団的自衛権行使容認の閣議決定に集中した。
第三のポイントは7月13日の滋賀県知事選。
「秋の日はつるべ落とし」
というが、傾き始めた日が沈むのは驚くほど速い。
この三つの伏線があって、内閣改造があった。
広島の土砂災害では、深刻な被害が広がっていることを知りながら、安倍氏は
ゴルフを楽しんだ。
国民のために、全身全霊を傾けるという姿勢が感じられない。
内閣改造で女性を多く起用したが、あまりにも偏った人事である。
人事において重要なのはバランスである。
偏りは必ずマイナスを生み出すものである。
臨時国会は完全にスキャンダル国会に転じることになった。
この際、溜まり切った膿を一掃することを、今国会の主題に置き換えるべきで
ある。
選挙区の有権者に金品を配るのは、公職選挙法の基本の基本の違反である。
閣僚辞任でかたのつく話ではない。
国民の視点に立った原子力行政を行うのに、その責任者が電力会社の株主とい
うのではお話にならない。
経済原理によって、東電の利益極大化が誘導されてしまうと判断されて反論で
きない。
「身体検査」と騒がれるが、ひょっとすると、本当に身長や体重を計測してい
るだけなのではないだろうか。
原発行政を司るのだから、少なくとも、電力会社、原子力ムラ企業の株式を保
有していないかどうかをチェックするのは当然のことだろう。
宮澤洋一氏の政治資金によるSMバー代金支払いが発覚したが、ここに財務省
の増税問題に対する基本スタンスが象徴的に表れている。
国民の大増税を負担してもらうのだから、まずは、財務省が率先垂範するとい
う考えは皆無なのだ。
江戸時代に米沢藩の藩財政立て直しのために大倹約令を出した上杉鷹山のこと
を何度も書いた。
民に倹約を求めるなら、まずは藩主が範を示すことが必要。
だからこそ、質素倹約をまずは藩主が率先垂範した。
だから、消費税増税論議の前に、
日本銀行、日本取引所、日本政策投資銀行、国際協力銀行、日本政策金融公
庫、日本たばこ産業株式会社、横浜銀行、西日本シティ銀行への天下りを、今
後完全に廃止すること
くらいは打ち出す必要がある。
このことを言い続けて15年の時間が流れている。
ところが、財務省は逆に、天下り利権の拡張に全力で突き進んでいるのであ
る。
そして、その天下り拡張を全面支援しているのが安倍晋三首相なのである。
大増税を国民に負担させて、自分たちは、しっかりとうまみたっぷりの人生を
送る。
これが財務省の発想なのだ。
その一端が、はからずも、SMバー代金になって表出した。
こんな人物に、原発再稼働を強行してもらいたくはない。
大多数の国民がそう思っているだろう。
小渕優子氏では、原発再稼働強行に不安があった。
小渕氏は原発再稼働に猪突猛進するタイプではなかった。
これも、小渕氏失脚の原因のひとつであると考えられる。
宮澤氏は猪突猛進するタイプである。
しかし、「天網恢恢疎にして漏らさず」である。
宮澤洋一氏の辞任は時間の問題だろう。
その引き際を誤ると、2007年の再来となる。
辞任ドミノの再現だ。
経済政策上は、最重要の消費税増税問題が控える。
安倍晋三氏は6~7割、増税先送りに傾いていると考えられるが、決断力がな
い。
増税を先送りするなら、早期の決断が必要だ。
証文の出し遅れでは、効果が10分の1減になる。
沖縄知事選では、知事による埋立申請承認を撤回・取消することを確約する候
補者は一人しかいない。
私が10月7日に那覇で説明したように、撤回・取消をしたからといって、そ
れで済む話ではない。
それは一里塚に過ぎない。
しかし、菅官房長官が9月10日に明言したことを踏まえれば、埋立申請承認
の撤回または取消を確約しない限り、辺野古基地建設阻止は前に進まないこと
は明白なのだ。
利権まみれの日本政治を打破するには、利権に関わらない純粋な辺野古基地建
設候補に県民投票が集中することが望ましい。