曲学阿世:真実を追求し、虚実の世間に迎合するようなことはしたくない。

真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。

10月7日那覇シンポ開催経緯と10月3日講演概要

2014年10月07日 18時37分06秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

      

「植草一秀の『知られざる真実』」

                             2014/10/06

             10月7日那覇シンポ開催経緯と10月3日講演概要

               第978号

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10月7日(火)に沖縄県那覇市で開催されるシンポジウム

http://goo.gl/e38hzF

に参加することになっていた真喜志好一氏がシンポジウムへの参加を辞退され
たことがネットで伝えられているが、私のところには何の連絡もない。

シンポジウムは喜納昌吉氏が知事選に出馬を表明する前に開催が決まったもの
で、もちろん、私も喜納氏の知事選出馬意思表明はまったく想定していなかっ
た。

私としては、知事選を通じて辺野古米軍基地建設を阻止してゆくためには、米
軍基地建設阻止を訴える候補者が、仲井真知事の埋立申請承認を取消又は撤回
することを確約することが必要不可欠で、このことを確約する候補者に辺野古
米軍基地建設阻止を希求する県民が投票を一本化するべきであるとの考えを有
している。

これまでの事態の経緯を踏まえれば、翁長雄志氏が埋立申請承認を取消又は撤
回することを確約することが最も望ましいと考えている。

この確約が確保されれば、喜納氏は出馬を取り止めて翁長氏を支持することに
なると考えている。

シンポジウムでは、埋立申請承認の撤回または取消を公約に明記することがな
ぜ大事であるのかを考察したいと考えている。

シンポジウム開催の目的、主旨は、当初から一切変更がないなかで、出席を表
明されていた方がもし本当に不参加を決められてしまうのであるなら、大変残
念なことだが、私の主義主張、スタンスには一切のブレがないので、シンポジ
ウムには予定通り参加させていただく意向である。



さて、10月3日(金)に開催された『月刊日本』主催の講演会

「強欲資本の手先に成り下がる安倍政権」

の講演内容を、ジャーナリストの高橋清隆氏が、早速まとめて、ブログに掲載
下さった。

「高橋清隆の文書館」

http://goo.gl/xayx6w

ブログ記事タイトルは

「植草氏が安倍政権を両断、「弱肉強食から共生の社会へ」」

である。

講演内容をほぼ網羅して、ポイントを正確に記述してくださっている。

高橋氏にはこの場を借りて深く感謝の意を表したい。

以下にその内容を転載させていただく。



「経済学者の植草一秀氏が3日、国会議員会館内で講演し、弱肉強食と戦争を
推進する安倍晋三内閣の政策を批判し、対極にある平和と共生の社会を目指す
べきと説いた。『月刊日本』が主催し、144人が参加した。

演題は「強欲資本の手先に成り下がる安倍政権」。憲法、環太平洋戦略的経済
連携協定(TPP)、原発、消費税、基地という5つの重大問題を取り上げ、「主
権者の意志に反することが安倍政権によって強行されている」と提起した。

「安倍政権の政策が向かう大きな方向を一言で表せば、弱肉強食と戦争だ。日
本国憲法は国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を3本の柱に定め、今も厳
然と存在する、多くの国民はこれらの理念に賛同しているはず。弱肉強食と戦
争の反対側に、共生と平和という考え方がある」



戦争は憲法違反

憲法の問題では、集団的自衛権容認の閣議決定を取り上げた。

「1972年の政府見解は、外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追
求の擁利が根底から覆されるという急迫、不正の事態に対処する場合、他に方
法がない場合に自衛のための措置が必要最小限度の範囲で許されるとするもの
で、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団
的自衛権は認められないと明記している。

1972年政府見解を用いて集団的自衛権行使容認の解釈変更を行うことにそもそ
もの矛盾があり、憲法改正手続きを経ずに憲法解釈を閣議決定で変更してしま
う行為は立憲主義の否定そのものであり、憲法を破壊する行為だ」

と批判した。

植草氏は、「外交にも多くの国民が知らなかった真実が多く存在する」と指摘
し、『日本の国境問題』孫崎享(ちくま新書)の指摘を引用。

「ロシアとの北方領土、韓国との竹島、中国との尖閣諸島をめぐる領有権問題
は、いずれも米国が紛争の種を埋め込んだ性格が強い。それにわれわれ国民が
踊らされている」

と指摘した。

「日中国交正常化、日中平和友好条約締結時に尖閣の問題を棚上げする措置が
取られた。一種の英知と呼ぶべき判断だが、日本側の発言が1996年を境に転換
し、2010年の鳩山政権倒壊後に日本側が棚上げ合意を崩す形で動いてきた」

と説明した。



原発は差別の構造

原発については、責任の問題を挙げた。

「原子力規制委員会が基準を定め、合格した原発を動かす。判断は電力会社と
自治体に委ねる。非常に責任の所在が曖昧だ。

憲法13条が定める国民の生命・自由、幸福追求の権利に対する国政上の最大尊
重義務を踏まえるなら、原発事故発生の際に影響が及ぶ範囲の全ての自治体の
同意を得る必要がある」

と主張。

安倍氏は集団的自衛権の問題で憲法13条を持ち出すのに、原発稼働では憲法13
条を無視するという矛盾を示していると批判した。

わが国の原発が地震の巣の上にあり、日本列島は地震活動期に入っているとの
石橋克彦神戸大名誉教授の指摘を示すとともに、大飯原発差し止め訴訟の福井
地裁判決(5月21日)を紹介した。

判決はわが国既往最大の地震動が岩手・宮城内陸地震(08年)の4022ガルなの
に対し、大飯原発の耐震基準が1260ガルにすぎないとして稼働停止を命令して
いる。

植草氏は

「最後はお金でしょ」という斑目春樹元原子力安全委員長の発言と、

「危険は人に押し付ける社会が許せなかった」との小出裕章京都大学原子炉実
験所助教の発言を取り上げ、

「原発問題には、嫌なものを押し付けて、金で解決する差別の構造がある。こ
れがよい社会と言えるのか」

と疑問を投げ掛けた。



基地は埋め立て承認の撤回から

基地問題については、沖縄県の普天間飛行場の名護市辺野古海岸への移設を取
り上げた。

「菅官房長官が9月10日の会見で、知事が埋立申請を承認した時点で決着済
みと発言したのは許せない。

仲井真知事も2010年の選挙で『県外に移設』と言って勝ちながら、約束を
破って埋立申請を承認している」

とやり玉に挙げた。

「埋立申請を承認したのも、今年1月19日に名護市長選で稲嶺進氏が再選さ
れる直前だった。

民意の判定の前に埋め立て申請を承認したこと自体がおかしい。

そもそも、知事選、市長選・市議選で5回も住民はNOの意志表示をしている。

原発再稼働では地元自治体の同意が必須と言いながら、基地では地元の不同意
を無視するのか」と疑問視した。

「基地はまず、仲井真知事の出した承認を撤回または取り消ししなければ始ま
らない。

翁長雄志(おなが・たけし)さんは知事選に出馬する以上、明言する必要があ
る」

と訴えた。

「選挙公約を明示し、当選後はそれを厳守する。これが日本政治を再生させる
条件だ」

と植草氏。



国家主権失うTPP

TPPについては、これまでの経緯に触れ、

「日米構造協議(SII)の難航がクリントン政権時代の数値目標に引き継がれ
るとともに、『年次改革要望書』が登場し、郵政民営化などが推進されてきた
が、これをさらに強力な枠組みに引き上げようとするもの。

単なる関税交渉ではなく、米国は強制的に日本の制度を変えることを狙ってい
る」

と説明した。

「米国が特に狙いを付けているのは農業、医療、保険の三分野。

ISD(投資家対国家紛争解決)条項で日本は国家主権が失われかねない」

と警告する。



植草氏は近著『日本の真実』(飛鳥新社)で支配者による

「トリック&イリュージョン(偽計と幻想)」

という言葉をモチーフにした。

これはTPPにも当てはまると言う。

「2012年12月の衆院選挙のとき、自民党は

『聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対する』

など6つの公約を掲げた。

それがいつの間にか『聖域五品目』にすり替えられた。

すなわちコメ、小麦、牛肉、乳製品、砂糖である。

これがトリック&イリュージョン。トラップ政治、ペテン政治だ」

とやゆした。



「ISD条項は公約6項目の1つだから、これが盛り込まれるなら日本のTPP参加は
あり得ないはず」

とくぎを刺す。

日本の農業が外国資本に支配され、食糧自給率の低下や農村文化の破壊が起こ
ると警告した。

医療では混合診療の全面解禁で医療に貧富の格差が持ち込まれると危惧する。

「安倍政権は成長戦略に医療を入れている。

GDPが拡大すると言うことは、治療費が上がることを意味する。

日本の国民医療費の対GDP比は米国の16%に対し、8%程度に抑えられてきた。

公的医療保険外診療が拡大して米国の民間保険が猛烈な勢いでなだれ込み、金
持ちしか高度な医療を受けられなくなる」



消費にとどめ刺す消費税

消費税については、税率引き上げに反対する5つの理由を説明した。

すなわち

①その前にやるべきことがある

②持続可能な社会保障制度確立の道筋が付けられてない

③財政危機にあるとの財務省の説明が大うそ

④経済状況を考えていない

⑤価格転嫁できない零細事業者が負担させられる

??というもの。

「野田元総理は09年8月、『シロアリ退治をしないで消費税を上げるんです
か』と演説した。

天下りをなくさずに増税するのはおかしいと断言したのだが、財務省は天下り
を削減するどころか、全面奪還・拡張に突き進んでいる」

「国民経済計算統計を見ると、国と地方、社会保障基金を合わせた借金は1131
兆あるが、政府資産も1092兆円ある。

日本の財政が倒れるような話ばっかり出てくるのは、増税をやるため。

問題にすべき借金は特例国債の452兆円である」

植草氏は、借金を放置していいと言っているわけではない。

「赤字国債の発行残高はGDPの93%。高齢化が進む中、財政再建は大事なテー
マだ。

最終的には国民の負担も必要と思うが、まずは今ある無駄を切り、社会保障を
しっかりしたものにする必要がある。

弱い人だけに負担をさせない仕組みをつくることが重要だ」

と持論を述べた。



その上で、税収のいびつな構図に言及。

「1990年に60兆あった税収は、09年には38.7兆に落ち込んだ。

うち、法人税は3分の1、所得税は半分に減ったのに対し、消費税は3倍に増
えた。

それをさらに6倍に増やそうとしている。

圧倒的に第1の税目になってしまう。その意味は庶民に泣いてもらうというこ
と」

と指弾した。

法人税減税が叫ばれていることについては、

「07年11月に政府税制調査会が日本の法人の負担は社会保険料負担を含めれば
国際的に見て必ずしも高いとは言えないとの見解を示す文書を発表している」

と指摘。

一方で年金保険料や健康保険料、障害者福祉負担などが増えている事実を挙げ
た。



経済状況については、今年4?6月期の実質GDP成長率が前期比年率-7.1%
(改定値)と発表されたことに触れ、

「外需と在庫増によるかさ上げを差し引くと、年率-17.1%成長になる。

売れ残りが大量発生しているからだ。

見かけより実態が大きいのは例がない。まさに日本経済撃墜が発生している」

と説明。

「日本経済は年明け後、後退局面に入っている。

景気が下り坂なのは、消費税増税の結果だ。

問題は個人消費の低下で、前年比-5%程度、実質所得が落ちている。

財布の中身が減っていて、財布のひもも開かないくらい堅くなっている。

これに来年10月の消費税10%への引き上げで、さらに景気が冷え込むのは
火を見るより明らか」

と断罪した。



弱食強肉と平和追求へ

最後に、これからの最大の問題は人口減少・少子化だと指摘。

予算は社会保障などに代表されるプログラム支出と財務省利権の源泉になる裁
量支出に分かれるが、鳩山政権時代、子ども手当や高校授業料無償化、高速道
路無料化、農家補償などのプログラム支出拡大を財務省が「ばらまき」と呼ん
で悪宣伝したことを紹介した。

続いて、社会保障給付を機能別に分類した国際比較のグラフを示し、わが国の
「失業」「家族」の分野が極めて低い事実を指摘。

「『家族』は子育てや教育に充てられる部分。

子育てや教育に対する公的支援が世界で最も貧困である。

他方で安倍政権は新しい貧困問題、すなわち国民の大多数を下流に追い込む弱
肉強食政策を推進している。

ハゲタカに日本が食い尽くされ、中間層が没落し、37%が非正規雇用、10
60万人超がワーキングプアに追い込まれる政策路線が少子化を加速している
のであり、この政策路線を維持して少子化対策というのはブラックジョークで
しかない」

と両断した。

その上で、植草氏は

「弱肉強食から、弱食強肉の方向に流れを変えるべきではないか。

全ての国民に保障する生活水準の最低レベルを引き上げる必要がある。

外交も戦争ではなく、平和追求に軸足を定めるべきである。

そのためには多くの国民の賛同が必要だ」

と向けると、万雷の拍手を浴びた。」



現在の経済政策を軌道修正し、国民所得を増やし、内需底上げを目指すべき!

2014年10月07日 09時31分55秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

             

鈴木克昌代表代行・幹事長 衆議院本会議代表質問(2014年10月1日)

10月1日、衆議院本会議にて前日に行われた安倍総理の所信表明演説に対する代表質問が行われ、生活の党を代表して鈴木克昌代表代行・幹事長が登壇しました。質問全文は以下の通りです。
20141001本会議代表質問

 

【内容】


 

【質疑全文】

私は生活の党を代表して、安倍総理の所信表明演説に関して人口減少、地域活性化、景気悪化、集団的自衛権、北東アジア外交の5つの問題を中心に質問致します。
質問に先立ちまして、去る9月27日に発生した御嶽山の噴火及び去る8月に広島市での大規模な土砂災害をはじめとする全国各地に甚大な被害をもたらした「平成26年8月豪雨」によってお亡くなりになられた方々に対し、深く哀悼の意を表します。また、ご遺族の皆様並びに被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
御嶽山においては、今なお懸命な救出活動が続いております。行方不明の方々の一刻も早い救出と無事をお祈り申し上げるとともに、政府においても、関係者と協力して救出に全力を挙げるよう要請いたします。

○ 人口減少克服と地域活性化策について

さて質問の第一は人口減少問題です。国立社会保障・人口問題研究所では、西暦3000年に日本人はこの世にいなくなるという衝撃的な推計を公表しています。この問題は国家存続にかかわる最重要課題であり、国が率先して取り組まなければなりません。その解決に向けた王道は、国民が所得減少と雇用不安という日々の生活不安から解放され、安心して子供を産み、子育て、教育に力を注ぐことのできる環境を、国が責任をもって整える政策を確立することにあると考えます。

フランスでは1990年代半ばに出生率が過去最低の1.65人に低下したものの、シラク3原則のように各種の子ども手当や家族手当、出産・育児優遇の税制を整備した結果、出生率が飛躍的に向上し、2.0人を超えるまでになりました。日本でも2009年に民主党が政権を取ったときのマニフェストには、子ども手当の創設が明記されました。

しかし、その子ども手当も自民党政権に戻ったとたんになくなってしまいました。財源がないと言われますが、官僚利権などへの資金配分を排除するなどして、国民の生活を第一とする施策にこそ財政資金を優先して配分するべきです。少子高齢化・人口問題の解決には、フランスの例をみても分かる通り、子ども手当を復活させることが一番であります。

一方で女性が子どもを産み、育てていくための環境整備を図っていくことも重要です。待機児童はいまだ2万人以上おり、また、親が安心して子どもを預けるためには保育士等の質の向上も重要な問題です。保育所など子どもを預けられる施設の量的・質的面の更なる充実が必要です。また、子どもに手がかからなくなったらもう一度働きたいという女性は多いので、女性が職場復帰・再就職しやすい社会システムも導入すべきです。

人口問題を解決するために必要不可欠なもうひとつの条件は、格差の拡大、新しい貧困問題の拡大に歯止めをかけることです。非正規雇用労働者が労働者全体の37%を占め、一生懸命働いても年収が200万円に届かないという、いわゆるワーキングプアと呼ばれる労働者が1000万人を突破している中、その拡大を放置していては、出生率の上昇を見込むことはできません。若い人たちが安心して働くことができ、しかも、子どもを生み、育てることに自信を持てる経済環境を創り出すことこそ、人口問題への対応の第一歩であるべきです。

また、「地域のことはその地域にお金も権限も任せる」といった大胆な改革を行わない限り地方振興は実現できません。特に官僚支配の源泉となっている税金の徴収権と配分権を地方に移譲することが肝要です。紐付きの「補助金」を廃止して、各自治体が自らの意志で自由に使える「自主財源」として交付すべきです。このための財源として、平成26年度予算でいうと、「直接の政策経費」56兆4697億円から無駄を2割省くことができれば、11兆円を捻出することができます。

予算が紐付きでなくなることで柔軟性が生まれ、地域の伝統的な文化や技術を活かした特徴ある産業も生まれ、そこに新たな雇用が生まれます。また、権限が地方に移譲されれば企業も東京にいる必然性は薄れ、土地・人件費のトータルコストが割安である地方での立地が必ず広がります。このことが、若年層の雇用拡大・地域への定着を促進し、地方の活性化をもたらします。
地方分権・地域主権のメリットはこれだけではありません。地域の実情にあった地産地消を基本とする新しいエネルギー政策を各自治体が推進することで、脱原発を、より現実的なものにすることができます。太陽、風力など再生可能エネルギーを中心に据えた新しいエネルギー政策が、地域に新しい産業と雇用を生むことにもなります。

財政の地方自治権を拡大することを軸に地方分権を大胆に推進することにより、地域は活性化され、それが人口減少問題克服の重要な糸口になるはずです。日本全国の各地域の均衡ある発展、活性化が広がることは、地方を元気にするだけでなく、停滞している日本全体の活力を生み出す源泉になるものと考えます。安倍総理、このような真の地方分権こそ、少子化と地方低迷の問題を解決する抜本策ではないでしょうか。総理のご所見を伺います。


○ 内需主導の経済政策への転換

次に経済について伺います。本年4月から6月期のGDP(国内総生産)は、年率換算で7.1%の大幅減となり、これ以外でも各種経済指標が軒並み悪化し、日本経済崩壊の懸念が国内外で指摘されています。

GDPが予想以上に落ち込んだのは消費税増税の影響ももちろんありますが、それだけが原因ではありません。日本のGDPの6割を個人消費が占めていますが、その国民の大多数の所得が平成8年をピークに減り続けているわけですから、GDPが拡大するはずがありません。

安倍政権が推し進める物価高、すなわちインフレを良いものであるとする偏向した経済政策は、生産性の高い、競争力のある大企業の利益成長を後押しして、その企業が拡大させた利益を国民に分配すれば国民全体の所得水準拡大に繋がるというものです。

今年の春闘でベースアップが観察されましたが、それは一部大企業のしかも正社員だけのことであり、それ以外の、全労働者の7割近くを占める中小企業の社員や、全国に約2千万人いる非正規社員はその恩恵に浴するに至っていません。さらに、消費税増税だけではなく、医療や年金などでは負担増と給付減が生活者の暮らしを容赦なく苦しいものにしています。

つまり、大多数の人にとってのアベノミクスとは、所得拡大を伴わない、単なる物価上昇・負担上昇だけをもたらす、百害あって一利のないものになっているというのが実態であります。7月の勤労者の現金給与総額は増加しましたが、一時的にボーナスが増えただけで所得環境の基調が好転したわけではありません。

このような経済環境にもかかわらず、安倍政権は消費税率をさらに8%から10%に引上げようとしています。消費税が上がれば、個人消費はますます冷え込み、さらにGDPを押し下げていくのは明らかです。安倍総理、このような景気状況の中、どの経済指標がどのような数値を示すなら、消費税再増税が可能であると判断するのか、具体的かつ明確なご見解を伺います。

また、安倍政権が後押しする円安政策の下でも輸出は伸びず、むしろ国内産業の空洞化が加速しています。自動車産業をはじめとする日本の輸出企業と呼ばれる大企業は、為替の影響を避け、利益を上げるために海外へ工場を移転してきました。国内で生産して海外へ輸出するという今までの貿易立国という形ではなく、外国で直接生産するスタイルが進んできたため、国内産業の空洞化が顕著になってきています。

アベノミクスは、こうした日本経済の構造変化を的確に捉えることができずに輸出を主導する大企業の短期的な利益拡大だけを支援しており、国内経済に新たな投資を呼び起こすための施策を提示したり、新たな国内需要を生み出すための新規産業を創出し、これを育成したりする経済政策をほとんど示していません。

その一方で、地方の、重要ではあるが競争力の乏しい農林漁業や零細な商工業などが、どんどん切り捨てられ弱体化し、内需がますます委縮、縮小しています。内需の縮小に歯止めをかける施策が示されぬなかで、企業の海外への転出がさらに進行し、国内産業の空洞化と内需減退がスパイラル的に進行するという悪循環が形成されてしまっています。

この状況が強まるなかで、安倍政権の拙劣な外交政策が日本と近隣諸国との経済関係を冷却化させて、2013年の日本から中国への輸出額は前年比8.7%減の約1620億ドル、貿易総額は2013年に5.1%減の約3130億ドルに落ち込んでしまいました。同年の韓国への輸出も前年比6.7%減の約600億ドル、貿易総額は8.2%減の約947億ドルへと落ち込んでいます。アジアの成長を取り込むと意気込みながら、日本の貿易相手国として第1位の中国、第4位の韓国との経済活動をこのように低迷させては、とても成長実現どころではありません。

これら一連の経済問題を解決するには、安倍内閣が推進している労働者の非正規化推進政策、非正規社員を増やす政策を抜本的に改めるべきです。また、先に述べましたように、中央に集中している財源と権限を地方に移譲し、中央集権から地方分権・地域主権へと、国家統治の基本を根本から改める必要があります。これらの施策により、国内雇用の拡大、家計所得の増大、内需の振興を実現していくことができます。内需拡大による成長実現こそが、国内産業の空洞化、輸出に振り回される日本経済の脆弱性を取り除く最良の方策であると考えます。

しかし、残念ながら安倍政権はこれとはまったく正反対の政策をとっています。日本は、一日も早く現在の経済政策を軌道修正し、雇用政策、税収再配分、産業政策などのすべての政策を総動員して、一人一人の国民所得を増やし、内需の底上げを図る方向を目指すべきではないでしょうか。総理のご所見を伺います。


○ 集団的自衛権と北東アジア外交問題

7月1日、安倍政権は集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の閣議決定を行いました。これによって、我が国と直接かかわりのない国や地域の紛争に自衛隊を派遣することを可能にしようとしています。これは明らかに国是に反し、国民の生命と日本の将来を危うくする道であります。

まず、決定のあり方に問題があります。憲法は、日本が直接攻撃を受けた場合、すなわち正当防衛にのみ、自衛権の行使を許しています。それ以外の紛争に自衛隊を派遣するということは、憲法第9条で固く禁じられています。条文に書かれてないところに、解釈が生まれますが、憲法に集団的自衛権を認めない旨が明記されている以上、解釈する余地がありません。

今後、閣議決定に基づく憲法解釈の変更に基づく、集団的自衛権の行使として、海外に自衛隊を派遣するならば、それはもはや、日本において、憲法は有名無実であることを意味することになります。この点について、総理の見解を伺います。

さて、安倍政権は集団的自衛権の行使容認によって、日本をより安全かつ平和にできると強弁しています。しかし隣国である中国、韓国は、地域の緊張が高まると強い懸念を示しています。
私たち生活の党は、9月3日から5日まで日本の政党としては初めて、韓国で研修会を行いました。その目的は、安倍政権下で戦後最悪とも評されるほど日韓関係が冷え込む中、韓国の政治家や有識者らと直接対話し、相互理解と信頼関係を深め、日韓関係の正常化に少しでも貢献するためでありました。

セヌリ党代表をはじめ韓国の与野党の政治指導者は一致して、安倍総理の政治姿勢、歴史認識を批判していました。同時に日本と韓国との間には、長い友好交流の歴史があり、両国は民主主義と市場経済という普遍的価値で結ばれており、日韓の友好協力関係の発展は、両国、アジア、世界の平和と安定に不可欠であり、早期に関係改善すべきであるとの認識において、私どもと見解の一致を見ました。

ナチスドイツに占領されていたフランスも、現在はドイツと非常に仲良くやっています。かつて覇権争いをしてきたイギリスとフランスも、今では英仏海峡トンネルを掘ってドーバー海峡を越えてユーロスターで繋がっています。こうした仏独や英仏の関係に倣い、21世紀の日本も大きな視点に立って日韓関係を考えれば、必ず良い方向に向かっていくはずです。

1990年に訪日した盧泰愚(のてう)大統領が日本の国会で演説した際、「来る世紀には東京を出発した日本の青年が海底トンネルを通過して、ソウルの親友と一緒に北京とモスクワに、パリとロンドンに、大陸を結び世界をひとつに繋ぐ友情旅行を楽しむ時代を共に創造しましょう。」と述べました。私は今こそ、民族的、文化的、言語的にも最も近い隣国である韓国と日本は、このような夢を実現するためにお互いに力を尽くすべきではないでしょうか。韓国と中国との関係改善の進め方について、総理の見解をお伺いし、質問を終わります。
 
(゜o゜)はっきり言って、安倍政権の目指している。アベノミクス、、経済成長政策は1%の大企業
富裕層、多国籍企業、優先の経済政策であって、国民、庶民はそのおこぼれが行き渡ればよし
とする政策である限り、国民所得は上がるはずがない、また地方再生と言ってみても根本の
軌道修正なしには実現困難は明らかなのである。ということで、国民は安倍政権の言葉だけに
騙されないことが肝要なのである。