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今週の一番『めだかボックス』~“主人公”という称号の在り処

2011年11月10日 | マンガ
【メタキャラクター】

【10月第2週:エンジェルボイス 第216話/最高の受け手】
http://www.tsphinx.net/manken/wek1/wek10530.html#710
【漫研】
http://www.tsphinx.net/manken/



安心院「その通りだぜ人吉くん、僕はきみに、主人公になって欲しいんだ」

ついにその真の目的を善吉の前に晒した安心院さん………なんでしょうかね?(´・ω・`)ちょっと、違和感がある、というか、少なくとも単純に善吉が勝って(あるいは、めだかちゃんが勝って?)バンザイ!という話でないのは確実でしょう。
安心院さんが「主人公を創造りたい人」という話自体は、以前、kichiさんとしていて、このブログでも(↓)その記事を書き留めています。まあ、大体この路線という事で良さそうです。

今週の一番『めだかボックス』~安心院なじみさんの求めるもの
ここまで話した所で「いや、そもそも安心院さんて、何がしたいキャラなの?何を求めているの?」って疑問は残るワケですよね。フラスコ計画の継続をしようとしている。しかし、その目的が以前、不知火じいさんが語ったような「天才を量産(安定供給する)」というようなものなら、それって彼女が長い時をかけて欲するものなのだろうか?「凡て平等に下らない」と言い放つ彼女が?一京もの特殊能力を持ち、メタキャラクターの視点さえも持ち得る彼女が?その上で「戦わない」と決断する彼女が、フラスコ計画のその額面通りのものを欲するものなのか?

今回のここらへんの疑問をkichiさんとツイッターで話したりしていて、それでふと気がついたのですが、安心院さんって「主人公になりたい人」なんじゃなかろうか?あるいは、そこを変じて「主人公を創造りたい人」でもいいかもしれません。
まさにメタキャラクターの視点の話なんですが、あれだけの過多の能力を持ち、おそらくは最強無敵であろうキャラクターに無いものって何か?仮に欲するものがあるとしたら何か?そして「めだかちゃんに有って安心院さんに無いもの」って何か?って考えるとちょっとこれしか思いつかないくらいの感じです。

「違和感がある」と書いたのは、その理由の一つは、安心院さんのキャラクターのひねくれ具合から来ている「何が本当の事なのか分からない」感覚なんですが(汗)……それでも、彼女の目的と、この『物語』の方向は“対主人公戦”と“主人公創造”に関する何かという事で良さそうには思えます。……ので、この方向の『読み』のまま、まずは「善吉vsめだか』の“対主人公戦”に関する僕の観点をそのまま詰めて行きますが……。



この次の回なんですが、めだかちゃんは宣戦布告をした善吉に対して、えげつない奇襲をかけてるんですよね。そうして圧勝している。…これ、非常に「主人公っぽく無い」のですよね。無論、物語には卑怯、不意打ちを旨とするタイプの主人公もいるワケですが、僕の感覚として…感覚としか言えませんが『めだかボックス』という物語の主人公っぽい行為だったとは思えない所があります。
実際、周りのキャラたちはこの行為に若干引いており、はっきり「主人公っぽく無い」とは言わないけど、近い言葉を出している。また、ここのシークエンスにおいて“主観”が置かれるのは善吉でもあります。ここでのめだかの振舞いは“主人公”というより悪役/敵役として相応しいものであるという事はそんなに異論はでないと思います。

「主人公を敵に定めた時点で、その主人公の物語における強大さが“敵役”としての強大さに変じ、読者にそう見えるのは自然」と、考えるのならそれでもいいのですが…。何ていうんでしょうね。僕の知っている物語力学からすると「この流れの時点で既にめだかちゃんには負けフラグが立っている」ように見えるんですよ。それはどうなんだろう?と。

そうやって考えて行くとそもそも『めだかボックス』の主人公って誰?という前提の疑問にたどり着いてしまう。もう一つの違和感はそこですね。『めだかボックス』の主人公はめだかちゃんなのでしょうか?善吉くんなのでしょうか?いや、たとえば『涼宮ハルヒの憂鬱』の主人公はハルヒなの?キョンなの?『鉄人28号』の主人公は鉄人28号なの?金田正太郎なの?って話なんですが……本来なら「どっちも主人公でいいんじゃない?」「あなたが主人公だと思う方を主人公と思えばいいんじゃない?」くらいの話ではあります。
しかし、“対主人公戦”のロジックと『めだかボックス』の中の安心院さんの定義においては「最後にかならず勝つ者が主人公」としているようですよね。…そうとすると、この場での“主人公”とは(主人公と闘うのですから、最終的な結果はともかくとして)「相争った場合、本来、勝つであろう者が主人公」という判定が下せると思います。

…その観点で観た場合どうでしょうか?これだって色々な解釈ができるでしょうけど、僕は「ハルヒとキョンが戦ったら」勝つのはキョンだと思います。「鉄人28号と金田正太郎が戦ったら」勝つのは正太郎くんだと思います。それと同じ感覚で「めだかと善吉が戦ったら」勝つのは善吉に思えます。
“彼ら”はストーリー上、ハルヒが勝ち続ける限りにおいて、鉄人28号が勝ち続ける限りにおいて、めだかが勝ち続ける限りにおいて(めだかと安心院が戦えばめだかが勝つであろう限りにおいて)、負けても、捕まっても、酷い目に遭っても一向に構わないサブ主人公かもしれません。しかし、もし、その“代行者”が敵対するのであれば、正統なる主人公ワッペンを戻し、然るべき勝利を収めるのは(シナリオ構成上の例外が生まれたとしても)彼らの方ではないか?と思うんです。

要するに、安心院さんの“主人公論”のロジックで考察を進めて行くと、善吉の方が(本来の)主人公?って気がしてくるんですが、どうなんでしょうねえ?そのスペックと積上げられた実績を見る限り、物理勝負ではめだかちゃんの圧勝であり、善吉には毛ほどの勝ち目もない。しかし、それ故、物語力学的には「その状況の時点で、既に善吉が勝つ(この場合、望みを遂げるという事)流れが強固に形成されている」……という事はないでしょうか?

この『読み』は、今はここまでですね。…そういえば球磨川編の時、安心院さんは“死後の教室”で善吉くんに何かあげたりしていましたねえ。いや、何か繋げられるわけでもないですが、安心院さんも彼の優遇者として、場の影響を受けているんだなあ…とか。
僕は、同じ西尾維新作品である『戯言シリーズ』の西東天を「主人公と戦おうとしたメタキャラクター」と位置づけているのですが、安心院さんが、彼の後継だとして「負けてもいい主人公」である人吉善吉を戦いの土俵に上げるためにはどうしたらいいか、とか………ん~(考)あんま繋がらないですねえ…まあ、しばらく、時間をかけて、色々考えて『愉し』ませてもらおうと思ってます。


めだかボックス 12 (ジャンプコミックス)
西尾 維新
集英社


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2011-11-29 11:58:37
めだかボックスは展開と描写を楽しむ漫画。

こんな堅苦しい考察を並べたところで何って話。

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