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今週の一番「魔法先生ネギま!」引き絞られた“弓”のようなこのシーン

2010年06月13日 | マンガ
【6月第1週:魔法先生ネギま! 291時間目 闇をその手に!!】
http://www.tsphinx.net/manken/wek1/wek10465.html#643

【漫研】
http://www.tsphinx.net/manken/



「魔法先生ネギま!」が良かったです。フェイトに対抗するため“闇の力”を手に入れ(手に入れた…って言ってもけっこう危ういものらしいですけどね)た時のネギくんのセリフ「僕はフェイト(アイツ)と友達になりたいんです」ってセリフですけどね。読んだ瞬間、ちょっと震えが来ましたね。これまで“そういういセリフ”を出して来た作品は沢山あるんですけどね。ネギくんのセリフが格別なのは、それが可能である事が「積み上げ」られてから出されているセリフだからです。

それは単に今回のエヴァンジェリンとの修行を超えたから…って事ではなく、修行中に挿入されていた回想シーンで圧縮されているように、ネギくんがこれまでの冒険を経てきたその果てで出ているセリフです。
…いや、先程言ったように、このセリフや発想自体は普通にある展開なんですよね。でも、“口先”が先行すると(ああ…セリフが先で、行動が後回しだから“口先”って言うんだな)そんな事言っても実際どうするの?って思っちゃうんですよね。理想というのは誰でも言えて、言えば自分は正しい事を言った!それで満足!って人もいるでしょうけど、理想は実現する事こそ難しくってあんまり後付け後で辻褄合わせる的に吐いていい言葉じゃないと。要するにそういうのは何か泥縄的に感じてしまう事も多いです。(泥縄的に何とかする「物語」も痛快なものは痛快ですが)

…いや、そうじゃないなwネギくんのこのセリフはこの理想を最終目的地にしていないから痺れるんですね。今までの物語で、魔法世界は本当に崩壊してしまうのか?魔法によって生み出された人々は救えないのか?魔法世界に居る元人類のみを救う行為は否定できるのか?そもそもその時地球世界の方はどうなってしまうのか?そういった何が正義で何が悪か分からない「世界の在り様」が語られて行って、それでもどうしようもなくカタストロフは来ると。それら各々の理論を止揚する唯一解としてこのセリフがあって。一見無茶(理想のみ)に見えるこのセリフがネギくんにとって“出来る”ものとなって初めて口をついたセリフだからこそ「強い」のでしょう。まあ、どのようにアプローチするのかは分からないんですがwそれでもそれが“出来る”事は今までの「積み」上げから分かる。感じる事ができる。(ただ、ここまで来るのに肉体的には相当ボロボロになっている印象もあります。多少ゆるやかながら「HxH」のムキムキゴンさんのイメージ(´・ω・`)…大丈夫かな?)



この回の前にフェイトは「君との戦いこそが僕の望みだ!!」と言った。その不倶戴天を高めておいてこのセリフを置くところもいい。主人公としての面目躍如というもので、そこには今までギリギリと引き絞ってきた弩弓をカチリと止め金にはめて、狙い(目標)を定めた美しさがあります。

もう一つ。こういう境地に一発で到達してしまう、しかも、それが出来る事が分かってしまう「スーパーヒーロー」も「物語」の中に確かに居るといえば居て。僕はそういうキャラクターが大好きで追っているんですが、ネギくんからは全く違った角度の眩しさを感じますね。
何かって言うとネギくんはとことんまで「理屈」人間なんですよねw僕が「理に屈する」と言って揶揄するそういう小さいレベルに留まっている人間ではないですけど、でも、その延長上の人間。でも「ネギま!」という物語をずっと読んでいけば分かりますけど、ネギくんはずっと何度も何度も「理に屈して」は抜け出せない命題をいくつも突破して来ていて(それは、あるいは父の遺伝子や他の「理屈じゃない」大人たちの導きの幸運があるのでしょうが)それが長い時間をかけたにしろ、この境地に到達できるなら、そのかけた時間に意味があったなと。
いや、ぶっちゃけ、皆を危険にさらす反面をスルーし、難しい事や心配事は他人任せ、口ではキレイ事ぬかして相手を丸め込むという、ある種定番の“王道ヒーロー”が誕生したんですが(汗)出発点から考えた時に、ここまで来たのはすごいなと。そう思っています。


「ネギま」の以前の記事です。

【今週の一番付記「魔法先生ネギま!」情報圧縮して描かれる先の物語】
http://blog.goo.ne.jp/ldtsugane/e/a83c0e2d45de438ef5d547bc9c1e6b7d

【今週の一番追記:ネギま黙示録編】
http://blog.goo.ne.jp/ldtsugane/e/1876b4b70bdd144d9938661a2321d296



魔法先生ネギま! 限定版(32)
赤松 健
講談社


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (てんもん)
2010-06-13 11:44:46
記事を読ませて頂きました。
そうですね。そうですよね。
基本、心理的、思想的に負けていた感のあるネギ君が、とうとう(実力はまだともかく)思想・心理的に初めて上に立ったという、記念すべき回ですよね!
感慨深いです……

ただ…、ネギまはまとめて読むと伝わるけど、連載でぶつ切りで読むとツッコミ処に見えるのが仕方ないけど残念な所でしょうか(^^;
読み込んでないと、情報量が多くて長い分伝わり難い部分がある気がします。
そこが勿体無くて哀しいです。
こんなにも面白くて深い物語なのに!

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Re:てんもんさん (LD)
2010-06-14 05:01:16
これから、ようやくネギのターン(攻撃)なんですよねw
これまで常に守勢とも言えたネギくんが「友達になりたい」攻撃に転じるかと思うとワクワクします。

ただ、今回のなんか「リリカルなのは」のパロイディのように思われている所もある見たいですねwまあ、そういう面もあると言えばあるのでしょうけど…w

情報量が多いのは「ネギま」の宿命みたいな所があって難しいですね。バランスとは言え情報量が多いからこそこのセリフの重みも増すという面がありますしね。
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