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今週の一番付記「バクマン」リアル(?)なサクセスストーリーと少年マンガ志向は両立しないのか?

2009年10月23日 | マンガ
【10月第2週:めだかボックス 第21箱「やり過ぎだ」】
http://www.tsphinx.net/manken/wek1/wek10432.html#608

【漫研】
http://www.tsphinx.net/manken/



ローズ・トゥ・人気漫画家マンガ「バクマン」ですが。今、担当の港浦さんと新連載の方向性でもめていますね。普通に想像すると新連載が打ち切りで終わってしまったら、へこんでどうすればいいか分らなくなって、担当の方針に従ってしまいそうなんですが、ここらへんサイコーたちはさすがというか、簡単に折れない。先へ行ける心を持っていると思います。w
しかし、この港浦さんとの確執も「面白い」……というか興味深いです。「バクマン」は少年マンガ…それもジャンプマンガの規格に収まりきれない(収まりきってはいけない)所があって、1週毎の展開の難しさというか悪戦苦闘っぷりが感じられます。ノリノリとは言えない、手探り感がありますね。

たとえばこの港浦さん、基本的にはダメな担当編集として描かれていて、かつ主人公たちと対立関係にあるわけですから、港浦さんは少年マンガ的に言えば“倒すべき敵”(あるいは障害)とも言えるんですね。いや、いきなり“倒すべき敵”と行っても港浦さんはそんな風に描かれていない(はず)なのでピンとこないかもしれませんが、しかし、この回の港浦さんは、こうも言っている。

もし、この読切が本誌に載り連載になって人気マンガになったら僕は編集を辞めます!

しかし、すぐに周りの先輩編集たちが「馬鹿を言うな」、「辞めるなんて嫌味になるだけだ」と言ってその発言を取り下げさせている。でも、まだ少年であり、かつ既に港浦さんにケンカを売っている認識のあるサイコーたちは(心のどこかでは)港浦さんが、そう言い出してくれる事こそを望んでいたかもしれません。「人気マンガになったら僕は編集を辞めます!」←こういう“分りやすい展開”、“決着/結末のハッキリした展開”こそが、少年マンガ的展開って言えると思うんですよね。作者もそれが分っているからこそ、港浦のセリフにこういうものを入れて、それが観えている事は示しているはずです。

しかし、実際の一般社会はそういう風には“回っていない”。嫌な奴、分からず屋がいたとして、その人と“その場の勝負”をしてやり込め「そらみろ、やっぱりオレの方が正しかったんだ!」などとやっても、社会人的には評価されないし(むしろ減点)大局的に観れば全体の前進を阻んでいる事がほとんどです。「バクマン」で言えば、どんなに分からず屋でも港浦はやはり共に戦って行く味方であり、互いに上手くやって行く方法を考えて行かなくてはならないんですよね。まあ、それが有能な敵よりも無能な味方の方が恐ろしいという格言(?)の元にもなるんですがww…とにかく気に入らないからといって安易に相手(味方)を叩き潰せ!という具合に社会は“回って”いない。
※ 味方だから唯々諾々と従えって事ではないですけどね。ここらへんの匙加減は難しい話です。また、本当に全体の前進を阻害するくらいにダメな人もいたり、そういう人を排除する手管もないではないのですが、そこらへんはマンガの中では“汚い大人”として描かれている部類に入って行く気がしないでもない(汗)

いや、しかしそうは言っても少年マンガに限らず、青年誌のサラリーマンものなんかでも、こういう煮え切らないような対立をそのまま描かないですよね。もっと分りやすく相手を(叩きつぶしても心が痛まないような)嫌な奴に描いて、まあ大抵主人公は社長や会長に気に入られているなんてワイルド・カードをもっていて、彼らが“神の手”で“分りやすい勝負”に持っていってくれるとか、対立は先輩社員の愛のムチwwだったとか、そうやって分りやすく描いて行く。
しかし、「バクマン」でそういう事はできない。……と僕は観ています。いや、ここらへん最初に手探りと言ったように、最終的にどこに舵切るか分らないですけどねwしかし、現状、そういった“分りやすさ”のために、荒唐無稽な設定や展開に走って、それで“成功”を得る物語を「バクマン」は志向していないように観えます。だから港浦さんの“分りやすい展開”に乗ってこない。上手く言えませんが、何か成功するに到る“本当の苦労”(なんだ?本当の苦労って?)というか、そういうものを描きつつ、それをエンターテイメントとして成立させようとしている苦悩が「バクマン」では伺えるんですよね。

【今週の一番付記「バクマン」】
http://blog.goo.ne.jp/ldtsugane/e/da25ad1f12f4718a4a74ca325a190587

ん~~~、ちょっと脱線気味なんで、戻しますが…(汗)対戦相手がはっきりしていて、自分がどのように成長すべきかもハッキリ示される、バトル/スポーツ・マンガとはまた違った緊張感を感じています。またマンガ家稼業は、一度失敗してもまた挑戦できる…というモノでもあり、これもまた「打ち切りの展開も有り得る」という緊張感を出すものになっているんですよね。

ここらへんで先の展開の読め無さを語ったりしていますが、たとえば「擬探偵TRAP」が打ち切られる…つまり“負ける”所なんかは少年マンガ的にはかなり美味しいシーンのはずなんですよね。一敗地に塗れた主人公が、絶望に打ちひしがれながら、再び立ち上がるシーンを感動的に描いてきた作品は数多くあると思います。対して「バクマン」は…そりゃガックリうなだれてはいましたけど、すぐに気分を切り替えて、少年マンガ的には実に淡泊に“立ち上がって”次の連載の打合せをしている。そもそも「TRAP」が“負けた”理由がはっきりしていない。連載再開を望むファンの手紙がどっさり来ていると言いつつ、あれよあれよという魔に打ち切りが決まってしまっている。(誤入力だけどなんかOK)

そもそも新妻エイジをライバルと“分りやすく”設定して、新妻エイジに勝とうとしているけど、そもそもこの世界の“勝ち”って何だろう?何かわからないですよね?一週でも、新妻エイジを人気投票で追い越せば勝ちなの?一週でも?収入が新妻エイジより上になったら勝ち?結局、分りづらくない?いや、それ故にこの作品、そこには固執していないと思いますが、そうすると対立という分りやすい構図はぼやけるんですよね。

【今週の一番付記「バクマン」のボイコット運動は何をもたらすのか?】
http://blog.goo.ne.jp/ldtsugane/e/ff1db03e6aa6f72ca4d3a106ba806e77

…やはりボイコットあたりの流れから分からない。こんな形で“編集権に介入”してもいい事ないと思うし、編集部の対応も何かおかしい。そういう普通のつっこみは既に「一番チャット」の中でも論われているのでくり返し書きませんが、その普通のツッコミが的を得ているのかどうかさえ判然としなくさせる展開なんですよね。

この話、結局よく分からなかったです。5作品が休載なんて前代未聞の事件を起しながら編集長は相変らず健在だし(汗)その後の影響も(今のところ)観てとれない。…まあ、ここらへんも手探りの産物というか、分りやすい緊張感とカタルシスを出そうとして、その過程で失敗があったかな?とそう観ています。

それで結局、こういう現実リアリティ(?)と少年マンガ的エンターテイメントの両立の話なんですが…。とりあえず…

「CROW」とか「ラッコ11号」とかの内容や展開をもっとバンバン連載の中で描いてしまえばいいようにも思うんですけどね~。

って言うか読みたいんですよねえ~w何というか断片情報で“何となく面白そう”な感じだけでいいんでwそうすれば本編はかなり地味でもアリになってくるんじゃないかって思ったりもします。…って言うか、そうしようとして最近、作品の人気投票したんですかね?きっとそうなんでしょうね。


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