導入牛の初期育成を運動場に放した方が良いか、舎飼いのみの方が良いかは、一長一短有ある。
当方では一マス8×15mの屋内に付随している運動場15×50mがあり、約20頭を凡そ3~4ヶ月間群飼いしている。
やや運動過多であるが、粗飼料や前期飼料の食い込みは抜群であり、その後の舎飼いでの増体成績も抜群である。
運動量の効果のために、強健で足腰の強さも当初から舎飼いの群より明らかに優れている。
しかし、運動量が多い分飼料の摂取量は多い。
そこで、最近はその育成舎での群飼いを中止している。
これらの飼い方の判断に窮していたところ、興味深い新聞記事が目に入った。
日本産肉研究会での研究報告の記事である。
和牛を放牧肥育した研究報告で、放牧により筋繊維の一つ赤色筋繊維が太くなり、6ヵ月間の放牧が終了し舎飼いでの本格的な肥育期間中にも同筋繊維の太さは衰えることなく維持され、結果的に増体結果が見られたというものである。
この結果を受けて、過去5年間の去勢出荷牛2025頭について、6箇所ある育成舎毎の肥育成績を集計比較した結果、上記育成舎(680頭)の場合、増体(枝肉量)は2番目、肉質(BMS)は1番目であった。
単純に判断すれば、運動効果があったことになる。
只、記事にあった研究報告では、運動場付きの肥育ではなく、放牧肥育と有り、牛は運動とともに生草を摂取していることになる。
研究の結果が、生草によるものか運動効果であるかは説明されていない。
敢えて言えば、おそらく、研究発表では供用数の詳細や大方の採食量や草種などは説明があったであろうが、新聞ではそれらが掲載されていなかった。
今後、同様の研究を継続され、効果の要因をさらに追求して頂きたいと願っている。
筋繊維は運動を行う、つまり人でもスポーツの効果により増強することは知られており、それに栄養を必要以上に加えれば、さらに筋肉量が増加するは予想できる。
研究者のコメントのように、放牧と筋肉の関係を明らかにしたいとあり、研究成果に期待している次第である。
これらの研究が肥育育成技術に活かせることをも期待しているところである。