牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

頼みの綱になる一冊

2009-08-19 20:21:23 | 肥育技術

昨日の続きである。
2000年頃に養賢堂から「ビーフプロダクション」(著者:善林明治)という冊子が発行され、著者からその1冊を頂戴した。
著者は産肉生理学が専門であり、同書はこれまでの飼育学的な著書とはひと味異なり、肉用牛の筋肉・脂肪・骨などを中心とした発生や成長そして生産過程のメカニズムについて、品種・性別・栄養レベル・肥育期間ごとに調査研究した自らの研究実績に加えて、世界中の関連研究をも網羅した内容となっている。
老いを重ねると鮮明となる記憶と、話が煩雑になるにつれ喪失しつつある記憶があり、その時の頼みの綱がこの1冊でもある。
頁を捲れば、筋肉や脂肪組織の構造であったり、それらの発生や筋肉内脂肪の蓄積のメカニズムなどが理解できる。
牛肉は何故旨いかや肉や脂肪の発色などの詳細項目もある。
今や著名人と成られた松本大策先生も、自らの玉稿の中に同書からの引用が見られる。
先達の声や専門書などは、長年掛けて修得する諸々を一纏めにして修得できる貴重な存在である。
これらの書籍は、なかなか熟読することはないが、側にあることで千人力の味方を得た如き安堵感がある。


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