りっぱに成育したヒエ

ヘイレージを飽食中の新規導入基礎牛群
本日撮った写真である。
この時期になれば、飼料作物は夏枯れして既に終わってしまった種類もある。
この時期この地では、写真のように反収4,000~5,000kgを収穫できる草種は、そんなにない。
写真にある成育良好な草種は、日本飼養標準・肉用牛編に、その掲載がない「ヒエ」である。
確か、昨年も紹介したと記憶しているが、k大学の約10haの圃場では、毎年今頃になれば、待ってましたとばかりにヒエがエネルギッシュに成長する。
ヒエは、飼料作物ではなく、それらにとっては紛れもなく雑草である。
晩秋にイタリアンライグラスを蒔き、早春には、鮮やかなグリーンの絨毯が広がる。
ゴールデンウィークの前後に1番刈り、そして1月後に2番刈りする。
運が良ければ7月に3番刈りする。
しかし、収穫量が期待できるのは、1番刈りで、2~3番刈り合わせても1番刈りにはおよばない。
その後は、多収が期待できるヒエの自生えである。
つまり、耕起や整地作業も入らず、種子も肥料も入らず、シーズンによっては2番刈りも可能である。
ヒエをほったらかしにするなどは、なまくら者のすることと、大きな声では口外できなかったヒエの搾取は、実に効率的に粗飼料として確保できるのである。
このヒエは、刈り取られ、1日天日乾燥した後、カッティングロールベーラでベールし、ラッピングしてヘイレージ化して保存され、繁殖雌牛や育成子牛たちの主要な粗飼料となる。
嗜好性はイタリアンライグラスのものより、好んで食べる。
硝酸塩などの被害を回避するために、穂が結実してからの収穫のために、その被害は過去約20年間一度も発生していないという。
良好な嗜好性の一因に、種子が結構多いことがあるようだ。
k大学では、約60頭の繁殖雌牛に、イタリアンライグラスとヒエのヘイレージを年間を通して飽食給与している。
大学だから、ヒエヘイレージの成分は分析できるが、同飼養標準にも掲載されては如何だろうか。
多収を期待してイタリアンライグラスの基肥や追肥が行われているが、その後ヒエがそれらの余分な肥料などをかなり収奪してくれるために、圃場の土壌環境も過肥から正常化されているはずである。