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牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

厳寒時に刈り取れる

2010-01-25 22:55:55 | 飼料


暫く鹿児島で繁殖農家を見て回る機会があった。
さすがに温暖な地方だけあって、草地のイタリアンライグラスは既に草丈が30~40cmにも伸び青刈り適期となっていた。
関西の中部から北部にかけては、飼料作物の栽培畑をめったに見なくなったが、公共の牧場などでは、草丈は未だ10cm程度で刈り取りどころではない。
温暖な九州地方は、牧草などの栽培に適し、大規模でない農家の大部分でイタリアンライグラスなどを栽培して、冬季は生草で夏以降では乾草調整後に保存して乾草で給与している。
粗飼料を自給していることで、自らが栽培した給与飼料の中味を自らが確認出来ることで安全性を自覚できる。
併せて、草食動物は生草給与が本来の摂取であり、含まれる成分や付着している栽培土壌等に含まれるミネラル効果が自然な形で摂れることにもメリットがある。
生草を給与している牛は、被毛の艶が良く、繁殖性に富むことになる。
写真は10/01/21に写した。

国産稲わらのβカロチン含量は軽視できない

2009-11-23 16:49:57 | 飼料


近畿東海北陸連合肉牛共進会場で、N社の編集者N氏と合う機会があった。
氏によると、各地の取材で、肥育の粗飼料に国産稲わらを使用してきたら、肉質の成績が下がったので、再び中国稲わらに切り替えたという話を聞くことがあるが、何故だろうかという質問を受けた。
筆者はその原因が何故かは確認していないが、予測できることは、国産稲わらの収集時期の天候が良く、稲わらと言えども、乾草並みの調整が出来たため、βカロチンの値が通常値より意外と高く、それをV/Aコントロール時期に給与することで、完全なコントロールが出来ていなかったのではないだろうか、と筆者の意見を話した次第である。
和牛の肥育用粗飼料にカビや腐敗していない稲わらは不可欠であると述べたことがあるように、稲わらを給与することで、牛の消化器官ルーメン壁などを正常にする働きがあり、そのために配合飼料の順調な摂取量に繋がる効果がある。
先に但馬牛の肥育マニュアルについても記述したが、そのマニュアルに稲わらは出来たら生後月齢20ヵ月目頃から与えるとあり、その根拠に窮していたところであったが、βカロチン含量がその一因であったのであろうと昨日今日予測を深めている次第である。
この予測が当たっていれば、当然国産稲わらの使用法についてきめ細かに対処すべきである。

今年は、国産稲わらの収集については、10月一杯までは順調であったが、その後は天候不順のため、九州などでは未だに取り込めていない地方があると聞いている。



腐れわらが届いた!

2009-10-01 19:55:27 | 飼料











写真は、到着したばかりの中国産稲わらである。
中国産稲わらは、コンテナ単位で契約して搬入している。
しかし、引き込み道路が、急カーブのため2km手前でトラックに積み替えて搬入している。
到着したばかりの積み荷を見て驚いた。
写真上で判るように、個々のベールにはビニール製のネットが掛けられている。
そのビニールネットの色が異なるものが、抱き合わせて約30ベールを一括りにしてある。
不審に思って、色違いのベールを開いて見ると、案の定白っぽいネット(写真下)のものは、稲わらの桿茎の形が壊れて、色は焦げ茶に近く、匂いを嗅いでみると、稲わら特有の匂いはなく、腐れわらの匂いがする。
黄色いネット(写真中)の場合も稲わららしい匂いにはほど遠いが、腐った匂いではない。
何れも品質にかなりの問題があり、いくら何でもこれらを牛に与えことは出来ない。
早速、導入業者に連絡した結果、輸入業者ともども来訪したので、その酷さを確認させた。
結局、全面的に交換することとなった。
写真下のわらは、農水省が加熱処理することで、輸入を再開した一昨年秋にも同様のわらが納入されたことがあり、今回のわらもその時クレームが出て倉庫におかれていたものを、最近のものと抱き合わせて輸出したものと想像が付く。
実に、悪質な中国側の輸出業者と輸入業者も品質の確認を徹底することなく、電話の上だけの取引の弊害が出るべくして出た感がある。
農水省は、これらの検査体制はどうなっているのであろうか。
家畜への福祉が重要視されつつある昨今、腐れわらを牛に与えよと言うのか!
由々しき事態である。



わら収集

2009-09-12 17:35:40 | 飼料











9月に入り稲刈りが始まり、当センターでも稲わら収集を開始した。
天気に左右されるため、正しく戦闘状態である。
幸いなことに、昨秋と異なり好天日が続いて順調に回収できている。
農家サイドで、コンバインで刈り倒したわら束を2枚目の写真のように、トンガリ帽子状に立てて乾かす。
今のうちは、高温のため、刈り倒してから3~4日目には、3枚目の写真のように、立てていたわらを横一列に寝かせて、カッティングロールベーラーで結束してトラックで持ち帰る。
今のところ順調であるが、べーラーが1機のみのため、トラブレば予定通りにはいかなくなる。
収集可能な水田面積は約10ha前後であるため、当センターが年間利用する稲わらの15%程度に過ぎないが、折角の資源であり、確かな国産品という思惑から昨秋から収集を開始している。

粗飼料生産

2009-09-07 22:29:33 | 飼料
りっぱに成育したヒエ



ヘイレージを飽食中の新規導入基礎牛群


本日撮った写真である。
この時期になれば、飼料作物は夏枯れして既に終わってしまった種類もある。
この時期この地では、写真のように反収4,000~5,000kgを収穫できる草種は、そんなにない。
写真にある成育良好な草種は、日本飼養標準・肉用牛編に、その掲載がない「ヒエ」である。
確か、昨年も紹介したと記憶しているが、k大学の約10haの圃場では、毎年今頃になれば、待ってましたとばかりにヒエがエネルギッシュに成長する。
ヒエは、飼料作物ではなく、それらにとっては紛れもなく雑草である。
晩秋にイタリアンライグラスを蒔き、早春には、鮮やかなグリーンの絨毯が広がる。
ゴールデンウィークの前後に1番刈り、そして1月後に2番刈りする。
運が良ければ7月に3番刈りする。
しかし、収穫量が期待できるのは、1番刈りで、2~3番刈り合わせても1番刈りにはおよばない。
その後は、多収が期待できるヒエの自生えである。
つまり、耕起や整地作業も入らず、種子も肥料も入らず、シーズンによっては2番刈りも可能である。
ヒエをほったらかしにするなどは、なまくら者のすることと、大きな声では口外できなかったヒエの搾取は、実に効率的に粗飼料として確保できるのである。
このヒエは、刈り取られ、1日天日乾燥した後、カッティングロールベーラでベールし、ラッピングしてヘイレージ化して保存され、繁殖雌牛や育成子牛たちの主要な粗飼料となる。
嗜好性はイタリアンライグラスのものより、好んで食べる。
硝酸塩などの被害を回避するために、穂が結実してからの収穫のために、その被害は過去約20年間一度も発生していないという。
良好な嗜好性の一因に、種子が結構多いことがあるようだ。
k大学では、約60頭の繁殖雌牛に、イタリアンライグラスとヒエのヘイレージを年間を通して飽食給与している。
大学だから、ヒエヘイレージの成分は分析できるが、同飼養標準にも掲載されては如何だろうか。
多収を期待してイタリアンライグラスの基肥や追肥が行われているが、その後ヒエがそれらの余分な肥料などをかなり収奪してくれるために、圃場の土壌環境も過肥から正常化されているはずである。



配合飼料の価格改正

2009-07-28 22:15:41 | 飼料



配合飼料の価格が依然と高値で推移している。
輸入国との為替相場も依然高値で推移しているにも関わらずである。
価格改正前には、JA全農系の価格改正の理由と同様な文書が届く。
生産者には判り辛い横文字や外国での様々な単位を引用した値上げ内容となってる。
本音に、内容を理解して欲しくないための理由書のようである。
販売メーカーは、単味当たりの前相場との上げ下げの幅を示して、配合飼料単価をトン当たり2~3千円の値上げを提示してきた。
そこでこちらも、近年にない枝肉相場の低迷を説明しながら、今時何故値上げなのかと迫り、ドル当たりのレートを幾らにして算出しているかを問うが、言葉巧みに交わされる。
それは判るがと相槌を打ちながら一歩も退こうとしない大手企業の強さの実態を、今さらながらに痛感させられた。

結局、トン当たり1,000円程度の値上げで決着し、こちら側の敗北に終わった。
トン1,000円、つまり1kg当たり1円は、当方では年間換算200~250万円に相当する。
この相当額の争奪戦に、メーカーも当方も決死の折衝であったが戦いは終わった。
同様のやりとりを3ヵ月毎に実施して、価格改正を行っている。
複数メーカーによる見積もり合わせや自家配合施設の導入なども視野にすべき時期かもしれない。

乾草調整のシーズン到来

2009-05-14 19:47:53 | 飼料










ゴールでウィークが過ぎると毎年、乾草調整のシーズンが到来する。
近くにある大学の圃場でのその作業風景である。
いつもは、雨に打たれ倒伏するので、今年はそれに強い品種に替えたとのことである。
イタリアンライグラスの茎が細めの品種で早生系統のようであるが、昨日の夕刻近い頃に刈り倒したと言うが、写真は今日の同時刻の風景である。
若干収量は少ないらしいが、ヘイレージにするには、絶妙の乾燥具合で最高の出来である。
草の芳香も素晴らしく、ヘイレージ調整して、ラッピングを開けた時にも、ヘイレージ特有の素晴らしい芳香の中で和牛繁殖牛たちが頬張ることだろうと、思い浮かべながらこの調整風景に暫し見とれながら時を過ごした。
この様な粗飼料は、輸入乾草にないオリジナルなもので、担当者らの取り組みのタイミングと努力に感嘆した。
牛たちが喜ぶ風体を見たいものである。


配合飼料の価格

2009-02-03 22:05:35 | 飼料


当方で使用している和牛肥育用仕上げ配合飼料は、原材料とその配合割合をメーカーへ指定したオリジナル飼料となっている。
配合飼料の1~3月分の価格が、トン当たり11,000円下がった。
21年度第1四半期の4~6月にはさらに下落すると明言した。
20,000円/トン位下がることを期待していたが、原材料毎の値下がり価格を提示し、それらを配合割合に照らし合わせれば、11,000円/トンになると説得された。
同時に次回はさらに下がるなどと説明され、価格交渉はやや押され気味であったが成立した。
つまり、11円/1kgの値下がりである。
配合飼料は、その期間内の約15ヶ月間で平均8.5kg/1日を給与するが、今回の値下がりでは、1頭当たり約4万円余のコスト減となる。
これでは不本意な値下がりで、次回以降は円高に加えて穀類や原油等の下落レベル等を考慮した時、今回以上の値下げが続くと予測している。



ビール粕等発酵飼料

2008-12-13 01:08:19 | 飼料








導入後は、乾草で飼い直しをすることは前述したが、同時に、2~3日後からは、発酵飼料と呼んでいるビール粕や醤油か酢などを混合して発酵させたものを乾草と同時に与えている。
最も多い時で、約4kg与えている。
この飼料は、発酵状態のため、フレコン内のビニールに詰められて入荷しているが、大凡2週間くらいで使い切るようにしている。
多少酸っぱいニオイがするが、子牛たちは意外と残すようなことはない。
その後、前期配合を与えるが、2~3ヶ月間は、併用して与えている。
発酵飼料を与えることで、どちらかと言えば整腸作用に効果がある。
つまり、エコフィードとして認識して与えている。

中国産稲わら

2008-12-10 22:14:43 | 飼料






昨秋解禁された中国産稲わらである。
日本の農水省は、解禁に際して、輸入先の生産地を特定し、加熱処理施設を設置させ、全てに加熱処理したものについて輸入解禁した。
中国側では、口蹄疫等に汚染地でない東北地に輸出地を限定し、加熱処理施設を設置させ、生産者を特定した。
農水省は以来、担当者を中国側に常駐させ、監視体制を整えた。
解禁され輸入された中国産稲わらには、3×10cm程度のシールが梱包毎に貼付されている。
それが写真上のシールである。
1行目には、処理施設の番号と生産者番号が記入され、2行目には、加熱処理年月日がスタンプされていて、最低限の内容が判るようになっている。
中国稲わらは、加熱処理のために、かなり変色しているが、嗜好性には問題がない。
ただ、加熱処理したため、一つひとつの梱包は、硬く締まり給与するのにくずしにくい。
くずすのに、三つ又(鍬)を使ったり、動力固定式のくずし器を使ったり、ホイルローダーのバケットでくずしている。
近く、中国稲わらや稲わらのロールベールなどをくずして給与できる機器を導入する予定である。