栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

司法が揺れる~「世論」に迎合し始めた司法の現場

2010-04-30 17:46:59 | 視点
 最近、司法の現場がおかしい。
 司法は本来、厳正に独立性を堅持しなければならない。ところが、このところマスコミ迎合ともいえる態度を示す例が垣間見えるし、裁判における争点の事前整備手続きが行われ、事件の奥に潜む背景が明らかにされないまま結審する例が増えつつある。
 ともに冤罪を生みかねないし、事件の背景に踏み込めない裁判は似たような犯罪の防止にも役立たない。

 中でも問題は「推定無罪」の原則が最近崩れつつあることだ。マスメディアの報道は明らかに「推定有罪」で行われ、そのマスメディア報道により市民感情が司法の捜査段階から「推定有罪」に導かれ、さらにマスメディアがそれを「世論」として報じることで、より大きな「世論」が形成され、さらにマスメディアが「推定有罪」を煽るという循環の構図ができつつある。
 その顕著な例が「松本サリン事件」である。マスメディアの加熱報道の中で河野さんが犯人扱いされ、一歩間違えば冤罪を生んだ可能性があった。しかし、あの事件の反省はその後も生かされることなく、マスメディアは次の「獲物」を追い求め、危険な「世論」の誘導に走っているのは憂慮すべき問題である。

 さらに憂慮すべきなのは、「推定無罪」の原則が崩れつつあり、大衆裁判が行われる傾向が出ていることだ。しかし、その危険性を指摘する大きな声が司法に関係する人間から出てこないのは憂慮すべきことで、その方が問題である。
一体、司法の現場はいまどうなっているのか。

 例えば小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる収支報告書虚偽記入事件での検察、さらに今回の検察審査会の対応に至ってははなはだおかしい。
 一部の司法関係者から収支報告書虚偽記入問題で小沢氏の起訴まで持っていくのはおかしいとする意見はあったものの、マスメディアはまるで疑獄事件ででもあるかのような報道を連日繰り返し、「世論」を誘導していった。マスメディアによる「推定有罪」報道による世論形成といえるだろう。

 ちょっと横道にそれるが、最近気になっているのが「説明責任」という言葉。小泉政権時代の「自己責任」という言葉によるバッシングと似ており、最近は「説明責任」のオンパレードだ。本来、「説明をして欲しい」「説明した方がいいのではないか」というべきところでさえ「責任」を押し付けようとしている現象に、集団主義的な危険な兆候を感じる。本来、責任とは利害関係が発生している関係者の間で生じるものであるはず。それなのに何を勘違いしているのか誰にでも「説明」を求めようとする。

 さて、話を本題に戻そう。
司法の独立性が揺らいでいる好例として、先述の「陸山会」の土地購入をめぐる収支報告書虚偽記入事件に対する小沢氏の関与で検察審査会が出した議決の問題を取り上げたい。
 検察審査会の今回の議決には次のような問題点がある。なぜ、マスメディアはこの点を敢えて取り上げようとしないのか不思議である。

 1.検察審査会の審議日程が従来に比べ異例といえるほどの速さで行われたのはなぜか。
 鳩山首相の問題でもそうだったが、明らかに今回の審議日程は速すぎる。計8回審議が行われたというが、集中審議はその時の雰囲気に影響されやすい欠点がある。しかも審議会のメンバーは全員がプロの司法関係者とは限らない。というより、その逆である。司法改革で法律関係文書が徐々に分かりやすくなりつつあるとはいえ、一般国民にとっては難しい専門用語の羅列であることはいまだ変わりはない。その専門用語で書かれた検察の大量資料を素人が短期間に読み、理解し、判断を下すことが果たしてできるだろうか。

 2.議決の中で小沢氏を「絶対権力者」と断言しているが、根拠も示さずにこうした言葉を法的な文書で乱暴に使われることが許されるのか。
 この点はとても大きな問題だと思う。
公的な一般的な文書でも根拠もなく、このような言葉を使うことは許されないことである。いわんや司法関係の公的な文書である。そもそもこのような言葉を使用して書く議決文自体の適格性こそ問題にすべきだろう。

 他にもいくつかの問題があるが、総じていえることは、今回の検察審査会の議決は先に結論ありきで決められた、あるいはその時の「世論」で決められたと考えざるを得ない。
 もし、そうしたことを許すなら、法の独立性はなくなり、法は時の権力、大衆権力の手先に堕してしまう。今後は公平・公正な裁判は期待できなくなり、冤罪が生まれる危険性が増えるだろう。そうしたことをふせぐためにも、法はあくまで厳正に解釈し、適用すべきだろう。
 最近、一部マスメディア、政治家の間でも混同が見られるが、法的な問題と道義的な問題、政治的な問題は別物である。道義的な問題を法的な問題と同一視し、それでもって論じるのは明らかにおかしい。にもかかわらず、こうした混同が最近、各所で見られる。

 重ねていうが、検察審査会に一般市民感覚が求められているということと、道義的な問題と法的な問題を同一視して論じたり、「世論」に迎合して非論理的な言葉を乱暴に使って断ずることは別である。それを「あえて」使う手法にはとても危険なものを感じる。
 こうしたことは親小沢、反小沢というようなこととは関係なく、客観的に論じられるべきだろう。

検察vs.小沢一郎―「政治と金」の30年戦争
産経新聞司法クラブ
新潮社

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小沢一郎 完全無罪 「特高検察」が犯した7つの大罪
平野 貞夫
講談社

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小沢一郎の最終戦争
大下 英治
ベストセラーズ

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美作市・佐用町、水害後の風景

2010-04-28 17:17:03 | 視点
 
 昨夏、岡山県美作市・兵庫県佐用町は台風による集中豪雨で床上浸水するなど多大な被害を被ったが、今春、佐用町には写真のような光景が現出した。
桜と菜の花と青空。
こののどかで幸せな光景が見る人の心を大いに癒してくれる。
猛威を振るった自然の罪滅ぼしか、被災地へのエールなのか・・・。
いずれにしろ自然はバランスの取れた感覚の持ち主らしい。

 
 線路がジェットコースのようにひん曲がった上月地区の姫新線もいまは修復され、何も知らない人にはのどかな風景にしか見えない。

 
 水害で押し流された美作市作東地区の堤防。
いまもえぐれたままで復旧作業は捗っていないが、そこにも菜の花が・・・。


 土砂が流れ込み荒れ地になった田んぼ。
菜の花は無惨に刈られ、ここではまだ爪痕が人々の心の奥底に残されたままだ。







威勢がいいのは最初だけ、前原国交相

2010-04-27 22:57:10 | 視点
 どうもこの人を見ていると、威勢がいいのは最初だけ、というか、政治家として柔軟性に欠けるマニュアル人間のような気がする。

 国交相就任当時、八ツ場ダム建設中止を「マニフェストに謳っている」からと説明した。
もちろん、その後、建設中止の理由を説明してはいるが、一度決めたことだから替えられないという意志を感じる。

 同じことが今回の高速道路料金でも出た。
上限2,000円制を導入すると発表したが、実質値上げになることから小沢幹事長に「おかしい」と批判され、鳩山首相は見直しをしたいと折れたが、前原国交相は見直しはしないと言明した。

 そこには小沢幹事長に対する反発しか感じられない。
まるで子供が駄々をこねているようにさえ感じられる。
「マニフェスト通り」を主張するなら、高速道路無料化を実行しなければならない。
しかし、それでは財源不足は目に見えている。
だから国民は高速道路全面的無料化には批判的だった。
それを察して、小沢幹事長が助け船を出した。
すると、出してきたのが実質値上げになる上限2,000円制だ。
 これなら小沢幹事長でなくても怒る。
もう少し考えた案を出してこい、と。

 まるで最近の若い社員と社長、幹部とのやり取りを見ているような気がする。
ヒントを出しているのだから、もう一歩突っ込んで考えてくるのが企画案というものだろう、と怒っている幹部や社長の顔が目に浮かぶ。
 いつから日本社会は、1から10まで事細かに説明しなければ動けない人ばかりになったのだろう。
「1を聞いて10を知る」という言葉はもう死語になったらしい。

深いい話~人はまだ捨てたものじゃない。

2010-04-23 21:55:47 | 視点
 今回は最近体験した、ちょっと深くていい話を。
 8年前、妻が膵臓ガンで旅立った頃、毎週のように電話をかけて私を励ましてくれた男がいた。
「奥さんの様子はどうや。そうか、大変やろうけど、あまり無理したらあかんで。あんたまで倒れたら奥さんはもっと悲しむぞ」

 私が彼と知り合ったのはその数年前。私のHPを見、ベンチャー情報に詳しいようだから一度会って話をしたい、と電話がかかってきたのだ。
それ以降、連絡を取り合う関係になったが、大半は彼からの連絡だった。全国のベンチャー技術情報についてよく知っていたし、福岡にも何度か来たが、大半は電話やFAXを送ってくることが多かった。
 彼が私に求めたのは、福岡の企業に会う時の同席ぐらいで、私を強引に投資話に誘うこともなかったが、私を同席させる理由を尋ねると、「あんたの冷静な目で見て欲しいんや。その判断を参考にしたいんや」と言っていた。
 そのうち段々友達感覚になってきたが、それはいつ聞いても彼が話す内容が変わらなかったし、「おいしそうな話」をほとんどしなかったので、彼を信用し始めたからからだった。
 人は上手に嘘をついているようでも、あっちで言う話とこっちで言う話が違ったり、以前聞いた話と食い違う箇所が出てきたりするものだ。彼にはそれがなかった。私が紹介した人に会う時は必ず事前連絡と事後報告を、こちらがうるさく感じるくらいにくれたぐらいだ。
 その彼が「北海道で牧場を経営することになった」と北海道に渡ったのは知り合って1、2年した頃だった。

◆裏切り

 少し合点がいかないところもあったが、妻の入院中ずっと電話をしてきてくれ、その電話で随分励まされたので、彼が困っている時には助けてやらなきゃあと思い

◆8年後の返済

 それから8年。そんなことがあったことすら忘れていたが、突然見知らぬ相手から電話がかかってきた。



       (以下、略)


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売れない店には共通点がある。

2010-04-19 00:15:12 | 視点
 元気がいいスーパーとして、最近よくマスメディアに取り上げられている、北部九州が拠点のHスーパー。
その系列に高級路線のBスーパーがある。
福岡市内に数店舗展開しているが、南区の店舗はお世辞にも客の入りがいいとはいえない。
それでも全体では利益は出ていると聞くから、他の店舗でカバーしているのだろう。

 ところで、売れない店舗には共通点がある。
1.店に活気がない。
 客が少ないのだから活気がないのは当たり前だ、といわれそうだが、それは客の活気の方で、店側の活気ではない。
 暇な店は従業員の態度に活気がなくなるのだ。
 まず、声掛けがなくなる。
次に動きが緩慢になる。
態度に明るさがなくなる。

 食品スーパーは鮮度が生命(いのち)だ。
明るさ、きびきびした動作がなくなれば、活きのいい魚も鮮度が落ちているように感じてしまう。

 2.客の立場ではなく店の立場が中心になるく。
 暇な店は知らず知らずのうちに客の立場ではなく店の立場で考え、行動するようになる。

 先日、久し振りにBスーパーに寄ってみた。
時間は7時ちょっと過ぎだったが、閉店間際と勘違いしそうなぐらい店内に客が少なかった。
恐らく翌水曜日がBスーパーの売り出し日だから、この日は少なかったのだろう。
 まあ、それは置くとして、魚コーナーの前では年配の店員が写真のように商品をきれいに並べ替えていた。
だが、この写真をよく見ればちょっと変なことに気付くはず。
そう、商品が遠くにあり取りにくいのだ。
商品が減っているのだから、もっと客の側に近付けて並べれば取りやすいのに、わざわざ取りにくいように奥から並べている。
これでは背が低い女性はなおのこと取りにくく、買うのを諦めてしまいかねない。
ちょっとしたことだが、こうしたことの積み重ねが客離れを起こしていく。
そのことにこのスーパーは気付いていないようだ。


ソースネクスト パソコンなんでも相談サービス ほっ


ビンの底を抜き、光らせることに執念を燃やす男(2)

2010-04-15 16:43:50 | 視点
 それから数年後--。
今年、「アロマボトルランプ」の写真と「底抜け光房」という文字が入った年賀状が届いた。

 それはなんとも幻想的な光景だった。
暗闇の中で黒いビンの周囲に描かれた絵が光で浮き上がるのだ。
それだけでインテリアとしての役目は十分果たしている。
しばらくすると、アロマのほのかな香りが室内に漂ってくる。
光と香りで1日の疲れが癒され、リラックスしてくるのが分かる。

 アロマランプといえばアルコールを燃やす型のものが多いが、
1.これは電球の熱でアロマオイルが溶け、香りを発していく仕組みであり、火を使わないので火災等の心配がないのが一番である。
2.アロマオイルはビンに入れられた水の中に適量垂らす方式のため、香りの濃度が調整できる。
3.ビンに水を入れるというと、電気との関係を心配する人がいるかもしれないが、実は電球と水は直接触れないから安全。
 彼がビンの底をきれいに切り抜くことにこだわった理由の一つはここにもあるのだ。
4.ビンの周囲に描く絵は自作のオリジナルで作れるし、デジカメ写真などを貼り付けてもいい。
 絵はビンを削って描くエッチング。

 当初は洋酒の空きビンを再利用していたが、常に一定数を確保するのが難しいため、現在はガラスビン業者から黒いビンを仕入れて使用している。
 黒いビンといっても材料そのものが黒くては光を通さないのでランプにならない。そのため透明なビンを黒く塗るわけだが、塗り方にムラがあると光が漏れるので、表面を黒く塗ったビンを仕入れることにしたのだ。

 とにかくここまで超スローペースで来ている。
タクシーに乗務しながらだから仕方ないとはいえ、そうしたハンディを逆手に取り、小ロットでも作り置きして販売する方法を取ろうとしないところが面白い。

 これは逆転の発想で、手作りで、オリジナルという点にこだわり、不利な条件を有利に変えたといえる。
 ガラスビンの周囲に描く絵は客から提供してもらい、それをエッチングでガラスビンに描いて(削って)いくから、まさに世界に一つしかないオリジナル作品のボトルランプだ。
 しかもエッチング加工はプロとのコラボレーション。作品の質にもこだわり、レベルの高い製品に仕上がっている。
 4月17日(土)のリエゾン九州の例会に現物をいくつか持参し発表するので、興味がある方はぜひ参加を。

パナソニック EH-SA90専用アロマオイル(約10mL)真正ラベンダー EH-4S01

Panasonic

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   --「世界に一つだけのアロマボトルランプ」の発表--

●日 時: 4月17日(土)13:30 ~ 17:00

◎場 所:正友ビル5F
(福岡市中央区天神4丁目5-20)
       
       日本銀行(昭和通り沿い)とガーデンパレスの間の道を浜の方
    (須崎公園の方)に進む。
       「ほっともっと」の先の「光ビル」の向かいのビル。

●内 容:

企業発表
  「世界に一つだけのアロマボトルランプ」

   発表者:そこぬけ光房代表・執行生滋 氏
       作品は同社のHPに載っています。
         http://www.sokonukekoubou.com

勉強会
  「知らずに損している保険請求の話」



●例会参加は誰でも可能です。(但し、事前に参加申し込みをして下さい)
  参加費用:会員は 1,000円。
非会員は 2,000円。



ビンの底を抜き、光らせることに執念を燃やす男(1)

2010-04-15 09:52:17 | 視点
 「継続は力」というが、「そこぬけ光房」代表の執行生滋さんにはこの言葉がピッタリ来る。
私が彼に最初に会ったのはもう10年ぐらい前になる。
その頃彼は福岡市が百道浜に設けたインキュベーションに入居するベンチャー企業で、家庭用蓄電システムの開発を目指していた。
 電気は素晴らしいエネルギーだが、唯一の欠点は「貯めることができない」こと。
そのため常に作り続けなければならない。こんなムダなことはない。貯めて使うようにすべきだ。しかも、それは一般家庭でこそ必要だ。
 彼は会うと、よくそう話していた。
 ところが、システムのある箇所の開発を依頼していた企業が突然「突然」降りたことから、先に進まなくなった。他社にもいろいろ当たったが、代わりに開発をしてくれるところが中々見つからなかった。

 その余った時間を潰すように、彼はガラスビンの底に穴を開け、中に小さな電球を入れたボトルランプを作り始めた。ほのかな灯りに照らし出される世界に、やすらぎと癒しを求めるかのように。
「ガラスビンの底にきれいに穴をあけるのは結構難しいんですよ」
 尋ねていった私に彼はよくそう言ったものだ。
 薄いガラスビンはすぐ割れるし、分厚いビン(その頃彼は洋酒の空きビンを再利用していた)に穴を開ける工具はなかった。ビンが厚すぎてカッターの刃の方がすぐ壊れるばかりか、寸法通りに、きれいな形で切るのはそうたやすいことではない。もちろん、高価な加工機械を使えば可能なのだろうが、趣味でいくつか作るものにそこまで高価な加工機械を使うことは考えられない。
それでも結局、知人の超音波加工機を借りてガラスビンの底をくり抜き始めた。

 その一方で本来の事業の方は中断したままで進まなかった。代わりにその箇所を開発してくれそうな会社を私も紹介したりしたが、思うようには捗らず、時間ばかりが過ぎていた。
 そして、ついに決断した。資金不足もあり、事業継続を断念する道を選んだのだ。
彼からその話を聞いた時、私は彼の決断を支持した。仮にここで多少の資金を手当てしても、コア部分の開発のメドが立たない以上、事業化に何年かかるか分からなかったからだ。

 翌年、彼はタクシードライバーになっていた。そしていまも同じ会社で乗り続けている。
 以来、私はタクシーを利用する時は必ず彼の携帯に電話し、彼のタクシーに乗るようにしているが、ある日、彼が私に小さなアルバムを差し出しながらこう言った。
「やっとここまで出来ましたよ」
 そこには何種類かのボトルランプが写っていた。
なんと彼はその後もボトルランプを作り続けていたのだ。
「これって最近作ったの?」
「そうですよ。あの後も少しずつ作り続けていたんですよ。かなり思い通りのものが出来るようになりましたけど、もう少しですね」
「作るって、タクシーに乗っているでしょ。いつ、作るの」
「休みの日ですよ」
「そりゃあ大変だ。でもスゴイね」
 聞けば、天神の雑貨ショップにも置いてもらっているようで、1つ、2つは売れたとのこと。
 だが本格的な販売はもう少し先になりそうで、まだいくつか解決しないといけない問題がある、と言っていた。
「ここまで来るのに随分時間がかかりましたから、もう少し時間がかかってもなんということはありませんよ。じっくりやります」
                          (2)に続く

高速道路のSAが販売拠点に変わりだした。

2010-04-14 22:30:27 | 視点
 最近、高速道路のサービスエリア(SA)が面白い。
おやっと思うものを見つけたり、レストランが変わったり、メニューも充実してきた。
 人も増えている。
それには土日祝日の1000円高速の恩恵もあるのだろうが、もう一つの側面は高速道路利用者だけでなく一般道利用者にもSAを開放したことがあるだろう。
特に特徴があるレストランは一般道からの利用者が確実に増えているようだ。

 来店客が増えれば店の方はさらに変わる。
従来のようにドライブ関連グッズだけでなく女性客を意識したものを多く置きだした。

店内の商品陳列にも工夫が見られ出した。
販売商品にも特色を持たせ出している。
もちろん、どこのSAでもそうなっているわけではないが、売り上げが伸びているSAは間違いなくそうなっている。

 写真(一番上と一番下)の商品は中国自動車道の美東SAで見かけた「だんご」だ。
ショーケース1台をだんごがズラリと占めていた。
その数の多さに思わず見とれたが、中でも目を引いたのは苺大福と生チョコだんご。
 生チョコはだんごの中に生チョコを入れたものだが、だんごという和菓子に洋菓子の生チョコを組み合わせたところが面白く、つい買ってしまった。
といっても1本(150円)だけだが。

 それとなく見ていると、お持ち帰りケースに何本かを入れて買っていく女性達もいた。
 1本1本をラップでくるんだこと、見た目の可愛さ、和洋の組み合わせの面白さなどで、これは案外売れるのではと思った。
 最近は和菓子、洋菓子の範疇を超え、和洋を組み合わせた商品が様々な分野で増えているが、既成概念に捕らわれない面白い商品づくりがヒット商品を生み出すに違いない。

 そうそう、生チョコだんご。それ程甘くもなく、案外あっさりしていて結構おいしかった。

ネーミングが売れ行きを左右する。

2010-04-09 20:50:28 | 視点
 中国自動車道、山口県のSAで思わず目に止まったのがこのネーミングの菓子。
武蔵と付くネーミングで一般的に多いのは武蔵側の立場で付けられたもの。
ところが、この菓子のネーミングは明らかに小次郎側のものだ。
それが目に止まった理由だった。

 商品化されるものには勝者のネーミングを付けるのが普通である。
勝者にあやかって商品も売れるようにという願いもあるだろうし、敗者の名前はゲンが悪いという気がするに違いない。
それを思い切って敗者の側で付けたネーミングという点に引かれた。
もしかすると最近商品化した菓子かもしれない。
遅れて商品化した菓子だから、遅れた菓子、遅い菓子、「遅いぞ武蔵」となったのか。
そんなことを考えさせる菓子である。

 パッケージのデザインもいい。
感心しながら他にも見ていたら「巌流焼」というのもあった。
「巌流焼」と「遅いぞ武蔵」の違いは餡が白餡か黒餡かだ。
結局、白餡、黒餡の両方入ったものを買った。
中身はいわゆるどら焼きである。


 パッケージの中には巌流島と両者の決闘に関するいわれが書かれている。
「宮本武蔵」は吉川英治の小説で有名になったが、小次郎のことを描いた小説もある。
村上元三の「佐々木小次郎」である。
 武蔵の養子、宮本伊織が小倉の手向山に建てた碑文には「両雄同時に相まみえ」とある。
伊織が身内びいきからそう記したといえなくもないが、武蔵が決闘の場に2刻も遅れてきたというのはいくらなんでも信じられない。
1刻はいまの時間で2時間だから、2刻といえば4時間になる。
(この辺りのことについては私のHP内の「栗野的視点2」で書いているので、そちらを参照していただきたい)

 仮にこの商品を「下関銘菓どら焼き」としていたら売れるだろうか。
恐らくノーだろう。
餡が違う、大きさが違う、といっても、それは消費者にとって差別化にならない。
消費者の感覚は「どら焼き」という概念の中で捕らえるからである。
 結局、中身によほど個性がなければ商品のネーミングやパッケージ、販売方法によって売れる売れないが決まるのである。
 そういう意味、大いに感心した商品だった。

速解!“売れる商品を創る”開発マーケティング50のステップ
石川 憲昭
日刊工業新聞社

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平沼新党はシルバーばかりの「辛(い)党」

2010-04-08 10:09:44 | 視点
 平沼新党の名称が決まった。
「たちあがれ日本」だというが、果たして名称通りに立ち上がれるかどうか。

 平沼赳夫氏は2005年の郵政民営化法案に反対して離党。
以来5年、復党の誘いも断り、筋を通してきた。
近年珍しい信念の政治家であり、そういう意味で評価もしていた。

 しかし、今回の新党結成には同氏らしい信念が見えない。
当初は両代表とも噂された与謝野馨氏とは麻布高校の同級生であり、かつては同じ派閥に所属した旧知の仲とはいえ政策や政治理念は異なる。
 平沼氏は保守タカ派だが、与謝野氏はむしろ現実主義的でタカ派色は感じられない。
郵政民営化路線に対する見解も異なる。
また与謝野氏が消費税引き上げを持論としているのに対し、平沼氏は財政出動による経済対策を主張している。

 このように政策や政治理念が大きく異なる両氏が協力して新党を立ち上げるというのだから、これはどんな党?と多くの人が感じるのは当然だ。
 しかも参加メンバーは70歳代で、40代は皆無。
自民党離党後は平沼グループの一員であり、「真正保守」を標榜する城内実氏はなぜか結党時からの参加を見合わせている。

 平沼氏がいずれ新党を結成するのは間違いないと思っていたが、こうした内容を見ると少し首を傾げざるを得ない。
果たして平沼新党は無事に「たちあがれ」るのだろうか。
シルバー人材ばかりの新党は立ち上がるのも辛い「辛党」ではシャレにもならないが。

まとまりに欠ける組織

2010-04-05 22:28:55 | 視点
 「社長が来ているのに社員がまだ来ないとは、どうなっているんだ」
桜の木の下にブルーシートを敷き、花見の準備は整っているのに、肝心の人が集まらない。
弁当の配置をしながら、苛立たしい声で男が誰かに叫んでいた。
どうやら社長は時間通りに来ているのに、社員がまだほとんど来てないらしい。

 いまでこそ日本人は時間を守るのが当たり前のようになり、アジア諸国の時間のルーズさを云々する人が多いが、ちょっと前まで地方には「○○時間」というのがあった。
大体約束の時間に30分から1時間遅れて人が集まり出すのだ。
それをとやかく言っても仕方ない。
まあそうセカセカしなさんな。ゆっくりやろう、というわけだ。
それがでいい時代があったのも事実だ。
しかし、世の中のスピードが速くなるにしたがって、いまでは「○○時間」というのは日本全国どこに行ってもほとんど聞かれなくなった。

 もちろん熊本も例外ではないはず。
なのに社員の大半が時間を守れないというのはどういうことだろう。
花見は勤務時間外だからいいではないか、というか、
それとも普段から仕事のペースが遅いのが、こういう場面でも出たと見るか、
指示の周知徹底が不十分な組織なのか
あまり規律にこだわらない自由な雰囲気の組織と見るか・・・。

 なににしろまとまりに欠ける組織が弱いのは事実だ。
そういえば最近の与党は現も前もまとまりに欠け、動きがてんでバラバラ。
だからどちらの支持率も下がる一方で、上がる気配すら見えない。

トヨタのクレームで気になること(読者からの投稿)

2010-04-02 17:39:33 | 視点
 以下はジュンコンサルタント・山永順一(元ホンダの技術者)さんから届いたコメントです。

     ◇          ◇

 いつも情報を有難うございます。
トヨタのリコールの問題はいろいろな評論家が論評しています。
中でも藤本隆宏東大教授の論評が知られているようですが、栗野さんの解説は違った側面からの解説で興味深く読ませていただきました。
 栗野さんは残念なことだが車にとってリコールは避けられない問題のようだと書かれていますが、本当に残念ながらそれは正解のようです。

 今回のリコールに関してはリコールの処理の問題がクローズアップされていますが、私は技術屋としてリコールになったトラブルが何故発生したかに興味があります。
 トヨタの品質管理は製造業に携わる者にとって模範となる厳しいものでした。
若宮工場を見学したときに、話に聞いていたラインの一箇所でトラブルが発生するとライン全体を止めて解決する現場を見ました。
すごいなと思いました。
 ですから、何故このように連続してトラブルが発生するのか大変興味があります。
標準化が原因であるとか、電子化が原因であるとか、いろいろ言われていますが、本当の原因は・・・

        (中略)


     ◇          ◇

 山永さん、お久し振りです。

 ところでトヨタ車の問題ですが、リコールにはならないまでもトラブルは結構多いと聞いています。

ただ、山永さんもご指摘のようにそういう経験が社内や現場でデータベース化されていない(いなかった)ことが問題だと思います。
 今回のトヨタ車の問題に関しても技術関連の人は純粋に技術面からアプローチしようとする傾向が見られました。

 私はこのアプローチ方法は間違いだと思っています。
そういうアプローチをしていると問題の本質を見失い、将来的な問題解決にはならないと思っています。


       (以下、略)


      「まぐまぐ」から毎回全文を配信しています。

      全文は「リエゾン九州」のHPでも見られます。

フレーム価格だけでメガネが作れた。

2010-04-01 23:20:29 | 視点
 かつてメガネは高い物だった。
その後メガネの価格破壊の波が起こり、一時低価格を売りにした新興メガネ店が次々に出店していったが、いつの間にか消え、再び前に近い状態に戻った。

 それでも「追加0円」を大きく打ち出すチェーン店もあるが、実際に作ってみると「追加0円」どころか、レンズの種類、遠近両用などにより追加価格がどんどん増え、「レンズ込みで25,000円」のフレームがほぼ倍になっている。
まるで詐欺にあったような気になるが、まあ、こんなものだろうと、半ば諦め気味でメガネを作ってきた人は多いだろう。
 実際「追加0円」を店頭に大書しているメガネチェーンで、数か月前メガネを作った時もそうだった。
遠近両用ではなく近視用だけなら「追加0円」なのだろうと自分自身を納得させはしたが。

 ところが先月、メガネスーパーが超薄型非球面レンズも遠近両用レンズもフレーム価格だけの「追加0円」で作れるシステムを導入したという記事を読み、半信半疑ながら今日店頭に足を運んだ。
 気に入ったフレームがあったので、「このフレームに遠近両用レンズを入れ、カラーにするといくらになる」と尋ねると、カラー代3,100円(だったと思う)が追加になり、18,950円と言う。
 それでも半信半疑ながら視力検査等をしてもらい、いよいよレンズ選び。
レンズは軽い薄型もあるので、超薄型の方にしますか、という店員の言葉に、やはり、ここで価格が上がるのかと思いつつ、超薄型レンズで作ってもらうことに。
 しかし、本当に追加価格なしだったのには驚いた。

 この半年間で新規にメガネを作ったりレンズを入れ替えたりしたのが3本。
新規に作ったメガネが5万円弱。
それが18,950円で作れたのだから、もう1本作ってもいいぐらいだ。
ただメガネスーパーの店舗は九州地区にはまだ少ないのと、中国地方にないのがちょっと残念だ。