栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

なんでも一律は逆効果、細かい対応が必要。

2008-07-30 01:00:14 | 視点
デパート・映画館・空港、ぬるい夏 広がるクールビズ(朝日新聞) - goo ニュース

 日本人の欠点はなんでも一律に規制したがる点だ。
たしかに冷房温度を1、2℃上げればCO2は削減できる。
しかし、県庁、市役所は「28℃に設定されていて、エアコンの温度を変えられないから暑くて仕事にならない」という現場の声はもう何年も前から聞いている。
 午前中と午後では温度も違うし、晴れた日と曇った日や雨の日でも温度が違うのは当たり前。
それなのに「28℃と決められているから28℃」だ。

 その一方で、福岡市天神のレストランや居酒屋に入れば分かるが、寒くて脱いだ上着を着なければいけない程エアコンが効いているところは一杯ある。
 午前中は少し高めに、午後の客が多い時間は少し低めにし、客が減ればまた設定温度を上げるのが気が利く店というものだが、残念ながらマニュアルで育った世代にはこういう細やかな対応など思いもよらぬらしい。
店の経営者や店長はこういう教育こそすべきだろう。

 役所だって同じことで、一律にマニュアルで規制するのではなく、日や時間など状況によって細かく変えるように指導すべきだ。
朝顔を窓側に植えるなどというのもいいが、必要なのはもう少し細かな対応を教えることだ。
そうしたことを通じて行政サービスとは何か、自分達に欠けているものは何かを気付かせるのである。

 福岡市役所に関して言えば、市役所西広場のコンクリート舗装が天神の昼夜の温度を上げているので、コンクリート舗装を掘り起こし、芝生に替える決断をすべきだと私は以前から主張している。

 かと思えば、相変わらずノー天気なのが福岡タワーだ。
夜間のネオン、コンビニの24時間営業すら禁止しようという動きもあるのに、8月末まで福岡タワーに天の川ノイルミネーションを今年も点灯している。
これこそ無駄な電力の使用だが、一向に改める気配はない。
 一体、この国、この県、市はどうなっているのだ。





8月以降、リエゾン九州の例会はますます面白くなる。

2008-07-29 10:56:37 | 視点
 ベンチャー・中小企業の経営サポート活動をしている「リエゾン九州」(主宰・栗野良)の8月以降の例会内容は下記の通りです。

面白いテーマ、大物講師をズラリと揃えているので、手帳に予定表を記入するなどし、是非ご参加を。

8月9日(土)13:30~17:00
 場所:福商会館(福岡市大名)

 勉強会「老舗酒造メーカーの挑戦
      ~地方の小さな老舗酒造メーカーをいかにして立て直したのか」

     講師:池亀酒造・蒲池輝行社長

9月13日(土)13:30~17:00
 場所:九大西新プラザ

 勉強会「なぜ私は下請けを脱し、メーカーになれたのか
      ~中小企業の経営者に必要なものは何か」
(仮題)
     講師:第一施設工業・篠原統社長

10月10日(金)18:30~20:30

 勉強会「ケイタイが変えるビジネスのいまと今後
      ~携帯電話からケイタイへの変化がビジネス環境を変えた」
(仮題)
     講師:ティーエムモバイル・田中裕一郎社長

11月8日(土)13:30~17:00
 場所:九大西新プラザ

 勉強会「企業再生を通してみた経営者の資質について」(仮題)

     講師:萬年・山口法律事務所所長・萬年浩雄弁護士
  企業再生請負人ともいえる萬年弁護士。いままでに手がけた実例をもとに
  しながら、中小企業の経営者に必要な資質とは何かを話してもらいます。

 乞う、ご期待!

街からコンビニが消えた。

2008-07-27 18:08:13 | 視点
 この1、2年、コンビニの閉鎖・廃業が相次いでいる。
我が家から半径2km以内で、コンビニがすでに3軒なくなった。
範囲をあと数km広げると、確認しているだけでもさらに2軒増える。
閉鎖コンビニ5軒の内訳はセブンイレブン2軒、ミニショップ3軒。
その内セブンイレブンの1軒は地区で最初にオープンしたコンビニだった。
もう1軒のセブンイレブンは団地の真ん中に位置していた。

 両コンビニもある日突然シャッターが下り、廃業した。
廃業する時はどの業界でも似たようなものだが、昨日まで営業していた店舗がある日ではなく、ある時間に突然シャッターを下ろし閉鎖したのだ。
恐らく夜中に閉鎖し、商品その他もすべて運び出されたと思われる。
まるで夜逃げのような撤退である。
というのは一度下ろされたシャッターが、荷物の運び出しその他で開けられたのをその後見たことがないからである。

 この両コンビニに共通している点が2つある。
 1つはサラリーマン経営者。
 コンビニ経営は見た目よりもはるかに苦しい。
利益が出ている店舗はオーナー経営者、いわゆる土地、建物持ちの経営者で、その次が土地か建物のどちらかのみ持っている経営者。土地も建物も自家所有でない、いわゆるサラリーマン経営者は火の車だ。
 サラリーマン経営者のコンビニはマンションなどの1角に入っていることが多く、本部が用意した店舗に入居し、コンビニ運営をするわけで、実際にオープンした後、「話が違う」というトラブルが多いのもこのタイプだ。
 ただ一度契約してしまうと、その後売り上げが事前予測とどんなに異なっていても規約金は返ってこず、なくなく営業を続けているというのが実情。

 もう1点は駐車場がなかったこと。
いまコンビニに駐車場は絶対条件で、建物面積の倍以上を駐車場面積に確保するのが当たり前になっている。
 ところが古いタイプのコンビニ、つまりコンビニ初期時代にオープンしたコンビニは駐車場を確保していないから、売り上げが下降線を辿る、あるいは当初から売り上げが予測通りに行かず苦戦の連続というパターンになる。
 といっても本部にとっては痛くも痒くないわけで、バカを見るのは経営者のみということになる。

 最近、フランチャイズ業界に対し、契約方法を見直すよう国から指導が行われているが、コンビニ残酷物語が減ることはないだろう。
むしろ今後さらに表に出てくると思われる。


 HPの 「街からコンビニが次々に消えていく」も一読ください。





牛乳はもう飲めない時代になる。

2008-07-25 18:47:10 | 視点
 スーパーに牛乳を買いに行ってビックリ。
1,000mlの紙容器入り牛乳が安い時は178円だったのが、いまでは軒並み198円に値上がりしていた。
大体夏場は牛乳が品薄で安売りがなくなるが、今年は特別のようだ。
原因は猛暑で乳牛の乳の出が悪くなるのが一つ。
これだけなら例年のことだから、仮に九州が猛暑でも、山口から牛乳を手配したで、いままでならなんとかしてきたが、今年はちょっと事情が異なるようだ。

 もう一つの原因は地球温暖化だ。
地球温暖化ときいて、暑くて牛も乳が出なくなっているのかと思ったら大間違い。
そんな単純な構造ではないのだ。
地球温暖化防止のために石油等の化石燃料の代わりにバイオ燃料がにわかに注目されている。
このバイオ燃料の中心に位置しているのがトウモロコシである。
トウモロコシが急に注目された農家は食料より燃料用に回す。
食用だと検査もうるさいが、燃料用だと例えば残留農薬の基準も食用よりは緩くなる。しかも大量に買ってくれる。
つまり作り手にとっては食用よりはバイオ燃料用に回した方がはるかに儲かる。
やはり、ここでも理念より目先の利益が優先する。
そこに投機的な思惑も絡み、トウモロコシが異常に値上がりしている。

 この値上げが直撃したのが酪農家だ。
トウモロコシが主原料の配合飼料が値上がりし、牛乳を売っても餌代の方が高いという逆転現象が起こっている。
乳牛を飼えば飼うほど酪農家の借金がかさむのだ。
そのため廃業する酪農家が急増している。
 つまり、夏場の牛乳不足に酪農家の廃業が重なり、牛乳の総出荷量が激減した結果、小売価格が値上がりしているのだ。

 では、廃業した酪農家はどういう人達かというと、いままで結構頑張ってきた中堅酪農家である。
いわば日本の酪農を支えていた中核の人達がいまこぞって廃業しているのだ。
彼らが廃業する理由はいまのうちならまだ借金がないか、少ないうちに辞めたいから。
 逆に残っている酪農家は借金がかさんで辞めるに辞められない人達。
でも、この人達もさらに借金がかさめば破産せざるを得なくなる。
いずれにしろ酪農家が1、2年うちに激減するのは間違いない。

 牛乳を飲まなくても死にはしないから飲まない。
そういう単純な人もいるだろう。
しかし。ことはそう単純ではない。
牛乳不足からくるカルシウム摂取不足は人のイライラを増幅させる。
その結果、訳の分からない喧嘩、殺人が今以上に増える。

 地球温暖化防止は急務である。
しかし、バイオ燃料=トウモロコシではない。
環境問題がややこしいのは1方面からのみ論じられないことだ。
いまこそトータルでものを考える能力が皆に要求されている。
諦めずに知恵を出し合っていきたい。

 深夜のネオンサインは本当に必要なのか。
お店に入れば相変わらず冷房は寒いほどガンガン効いている。
コンピューターはますます電力を喰っているのに、無人の机で今日もパソコンが付けっぱなしになっていないか。
一人一人が総合的にものを考え、できるところからいますぐ始めようではないか、明日のために。

甘夏と白桃ゼリー 甘夏と白桃ゼリー

プロに聞くシリーズ(3):なぜ裁判員制度なのか(後)

2008-07-23 17:29:12 | 視点
 前回に引き続き、裁判員制度導入の背景、同制度で何が変わるのか、何を変えよ
うとしているのかを、弁護士12人を要し、九州ではトップ規模の法律事務所、萬年
・山口法律事務所(福岡市中央区赤坂1、tel092-751-5006)の所長、萬年浩雄弁
護士に聞く。

当初目指したのは陪審制、それがいつの間にか

 --では、なぜ当初目指した陪審員制度が裁判員制度に変わっていったのですか。
 萬年 陪審員制度導入の目的は何かというと、一つは人質司法と調書裁判を打破するという大義名分があった。

 --裁判員制度そのものの問題も色々いわれていますね。
 萬年 いまマスコミ、最高裁、検察庁がいっているのは裁判員の負担を軽くすることばかりでしょう。軽くするためには争点整理、証拠の選択をきちっとしとかないかん。それをずっとやっていたら刑事裁判は儀式になってしまう。被告の立場からすれば、一体誰の裁判なんだということになるわけ。

 --ところで、もう一度お聞きしますが、当初目指した陪審員制度が、なぜ裁判員制度に変わったのですか。
 萬年 それが七不思議の一つ。

裁判員制度で死刑判決は増えるか減るか

格差社会はこんなところにも

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なぜ見抜けない、巨額の使い込み

2008-07-21 23:58:07 | 視点
6億円が使途不明、徳島・阿南土地改良区の女性職員告訴へ(読売新聞) - goo ニュース

 昔は1億円の使い込みでびくりしていたが、近年、金額がどんどん増えていき、1億、2億円ではさして驚かなくなったが、6億円にはさすがにビックリ。
 使い込んだ方も方だが、6億円もの金を使い込まれた土地改良区の方も社内体制に問題ありだろう。
6億円もの金をどれくらいの期間で着服したのか記事では分からないが、見抜けない方もどうかしている。

 大抵この種の事件が起きた後に言われることは決まっている。
「信用していた」
信用するということと、チェックをしないということは別問題で、セキュリティーに対する認識があまりにもお粗末すぎる。

 セキュリティー対策といってもそんなに難しいことではなく、通帳と印鑑を別々に管理するとか、別の人間が帳簿をチェックする、といった基本的なことだ。
 ところが、それをしないから、上司はノーチェック、あるいは帳簿を見てもどうせ分からないんだとなめられ、ごまかしをやられるのである。
 それにしても6億円もの金、誰が返済するのだろう。
上司も監督責任を問われてしかるべきで、応分の負担をすべきだろう。
そういう先例ができれば、恐ろしくて今後ノーチェックということはどの業界でもなくなるだろう。

 怖いのは中小企業の場合だ。
数千万円使い込まれれば倒産ということもある。
それが怖ければ1人の人間を長いこと経理に置かないことだ。
といって数年おきに経理を替えるのも大変と思うなら、社長夫人を経理にすべきだろう。
それが現実的な対応だ。


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プロに聞く:なぜ裁判員制度なのか(前)

2008-07-18 00:30:49 | 視点
 来年(09年)5月21日から裁判員制度が始まる。国民の司法への参加の名の下に、ある日突然、誰もが刑事事件の裁判員になるのだ。アメリカ映画でよく見る陪審員ではなく裁判員である。両者の決定的な違いは量刑まで決めるかどうかだ。果たして我々はその重荷に耐えられるだろうか。その時のムードに流されて量刑判断を誤らないだろうか。特にいまのように無差別殺人が多発する時に。
 現状の裁判(裁判制度ではなく)に多くの問題があるのは事実である。時間が、というより年数がかかりすぎる裁判、保釈を認めず、見せしめ的な長期勾留・・・。
 検事と弁護士が法廷の場で丁々発止にやり合うのは映画の中だけの話。現実にはそんな裁判は数少なく、多くは退屈な場面に終始する。退屈のあまり、居眠りをしているようにさえ見える裁判官もいる。
そんな司法のあり方を変えようと、次々に行われている司法改革。しかし、その割には知らない裁判員制度。そこで今回は裁判員制度導入の背景、同制度で何が変わるのか、何を変えようとしているのかを、弁護士12人を要し、九州ではトップ規模の法律事務所、萬年・山口法律事務所の所長、萬年浩雄弁護士に聞いた。

◆裁判は調書引き渡しの儀式に過ぎない

 --まず、裁判員制度ができた背景からお聞きしたい。

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社名を聞いて会社の内容がある程度分かる方が絶対いい。

2008-07-11 12:13:44 | 視点
 私が主宰しているリエゾン九州で今月発表してもらう企業は2社とも社名が面白い、というか、最近社名を聞いても内容が全く分からない企業が多いが、この2社はなんとなくやろうとしていることが分かる。

 まず(株)ドレトドレオ(doretodorewo)。
一見イタリア語のようであり、イタリアに関係した仕事をしているのかと思わせるが、どうも日本語の「どれとどれを組み合わせる」などの「どれとどれを」から取ったみたいだ。
 それならカタカナ表記ではドレトドレヲになるはずだが、そこをイタリア語風にドレトドレオにしたところが面白い。
 この辺のセンスは代表者の瀧川浩美さんが元貿易の翻訳とか通訳に関わる仕事をしていたことからきているようだ。
 「私はコンセプターですから」という彼女の言葉通り、現在同社で取り扱っている商品は自社開発商品の「ボキャップ(Bocap)」。ストローを入れたままペットボトルのフタが閉まるキャップだ。
  同社のHP:http://www.doretodorewo.com
 
 もう1社はローカリンク(localink)。
こちらはアルファベット表記を見ればなんとなく分かる。
そう、LocalとLinkを組み合わせた言葉なのだ。
恐らく地域を結ぶ仕事をしたい--そんな思いで付けた社名だろう。
 本業はWeb、ホームページ制作から広告・グラフィックデザイン、そしてOA機器
・事務ソフトのリース・販売。
その同社が那珂川を対象にした地元密着のフリーペーパーを発行しようとしている
(すでに1号は発行済み)点も面白い。

             --記--

●日 時: 7月12日(土) 13:30 ~ 17:00

場 所: 農民会館(中央区今泉1-13-19)3F
092-761-6550
       ビックカメラ(西鉄電車高架下)の裏
      1.西鉄今泉ビルの所の辻を、国体道路を背にして右へ入ると左手。
      2.国体道路・警固神社前の信号から今泉側へ入り、最初の辻を左。

●内 容:
1.発表企業
  「マイクロ地域フリーペーパー なかがわについて」
   発表者: ローカリンク 代表 式 啓 様


2.発表企業
  「ストローを入れたままフタが閉まるペットボトル用キャップについて」
   発表者:株式会社 ドレトドレオ 社長 瀧川 浩美 様

●例会参加は誰でも自由です。
  参加費用:会員は 1,000円。
非会員は 2,000円。

iPhone 3G サプライ製品 【サンワダイレクト】

流行る企画には理由がある~女性の変身願望を捕らえた企画

2008-07-09 17:54:38 | 視点
 モノが売れるには商品力や企画力などいくつかの要素がある。
商品力とは商品そのものが持っている魅力で、これが強い商品は黙っていても売れる。
そこにしかない、それしかないオンリーワン商品などがそうだ。
 別に商品に限ることではなく技術も同じで、他に変わるものがない技術は相手の方から求めに来てくれる。
 ただ、こうした商品、技術は少なく、ほとんどのモノはなにかしらどこかに似たようなモノがある。
となると、数ある似たようなモノの中から選んでもらわなければならないわけで、そのためには見せ方、訴え方が重要になる。
いわゆる企画力で勝負が決まるというやつだ。

 ところで最近、30アラウンド女性の間で密かなブームになっている旅行がある。
海外で写真集を出す旅行だ。
 人気の秘密はどこにあるのか。

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「成長する企業はココが違う!」講演要約

2008-07-01 08:30:25 | 視点
 先日、リエゾン九州の例会で「成長する企業はココが違う!」と題して話したので、今回はその時の講演内容の要約を紹介する。

         ◆           ◆

 取材を通していままで数多くの企業を見てきたが、成長する企業と、そうでない企業の間にはどうやらある種の境界があるように感じる。ハードルと言い換えてもいいかもしれない。それを乗り越えられるかどうかが成長するかどうかの分かれ道になっている。

 では、その境界とは何なのか。

1.ノーと言わない

2.ソニー型より松下型

 九州の成長企業には「九州型」ともいうべき傾向があるが、その特徴は・・・

1.九州男児型

  虚勢を張るタイプ

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ホテルヨーロッパから迎賓館まで
5つの魅力的なホテルを有するハウステンボス