栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

深いい話~人はまだ捨てたものじゃない。

2010-04-23 21:55:47 | 視点
 今回は最近体験した、ちょっと深くていい話を。
 8年前、妻が膵臓ガンで旅立った頃、毎週のように電話をかけて私を励ましてくれた男がいた。
「奥さんの様子はどうや。そうか、大変やろうけど、あまり無理したらあかんで。あんたまで倒れたら奥さんはもっと悲しむぞ」

 私が彼と知り合ったのはその数年前。私のHPを見、ベンチャー情報に詳しいようだから一度会って話をしたい、と電話がかかってきたのだ。
それ以降、連絡を取り合う関係になったが、大半は彼からの連絡だった。全国のベンチャー技術情報についてよく知っていたし、福岡にも何度か来たが、大半は電話やFAXを送ってくることが多かった。
 彼が私に求めたのは、福岡の企業に会う時の同席ぐらいで、私を強引に投資話に誘うこともなかったが、私を同席させる理由を尋ねると、「あんたの冷静な目で見て欲しいんや。その判断を参考にしたいんや」と言っていた。
 そのうち段々友達感覚になってきたが、それはいつ聞いても彼が話す内容が変わらなかったし、「おいしそうな話」をほとんどしなかったので、彼を信用し始めたからからだった。
 人は上手に嘘をついているようでも、あっちで言う話とこっちで言う話が違ったり、以前聞いた話と食い違う箇所が出てきたりするものだ。彼にはそれがなかった。私が紹介した人に会う時は必ず事前連絡と事後報告を、こちらがうるさく感じるくらいにくれたぐらいだ。
 その彼が「北海道で牧場を経営することになった」と北海道に渡ったのは知り合って1、2年した頃だった。

◆裏切り

 少し合点がいかないところもあったが、妻の入院中ずっと電話をしてきてくれ、その電話で随分励まされたので、彼が困っている時には助けてやらなきゃあと思い

◆8年後の返済

 それから8年。そんなことがあったことすら忘れていたが、突然見知らぬ相手から電話がかかってきた。



       (以下、略)


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