栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

地方を旅する面白さ~カタクリが取り持つ縁(後)

2013-04-26 10:02:50 | 視点

「桜の写真を撮って、あちこちに行かれてるんですか」
「はい、ここに来る前は佐用町にカタクリの花を撮りに行ってました」
「カタクリ? カタカゴか。もののふの八十娘子(やそおとめ)らが汲み乱(まが)ふ寺井の上の堅香子の花、か」
「堅香子(かたかご)」はカタクリの古語で、万葉集に上記の歌が見られる。詠み人は大伴家持。
 この歌を知っている人はよほど歴史かカタクリに詳しい人だろう。

「この近くにも咲いていますよ」
続いてそう言われた時にはさらに驚き、思わず雀躍した。
大原地区にカタクリの自生地があるという話はついぞ聞いたことがなかったからだ。
「あなたが言っているのはそこのコウテイに咲いている花のことでしょ」と横に座っていた女性。

 えっ、コウテイ? それはどの辺りのことなのか。
近くだと言っていたから、いずれにしてもそう遠くない場所に違いない。
隣の鳥取県かなどと期待に胸膨らませながら思いを巡らす。
「見に行きますか? 案内しますよ」
「ダメよ。あなたが言っているのは花壇に咲いている花だもん。この方が見たいのは山に咲いている花なんだから」

 えっ、花壇? コウテイって、まさか校庭? 
もしそうなら他の花をカタクリの花と勘違いしたに違いない。
カタクリは他の場所に移植して簡単に咲くような花ではない。
せっかく喜んだけど糠喜びかと今度は落胆。
これはグズグズせずに津山市まで行き、「畝の桜」の場所を探そう。
 そう考えていると「さあ行きましょうか」と、先ほどの男性が立ち上がった。
 この男性も私同様、いや私以上にお節介焼きと見える。
せっかくそこまで言ってもらっているのを断るのも気が引けるので、好意に甘えることにした。

 最初に向かったのは市役所大原総合支所。
そこの前庭にカタクリが可憐な花をたしかに咲かせていた。
花の数は12,13本。よく咲かせたものだと感心する。
「ここは元小学校跡で、この場所に昔、二宮金次郎の銅像があったんですよ」と説明してくれたが、この男性、最初「この辺の人間ではない」と言っていたのに、この辺のことに随分詳しい。
乗っている車は大阪ナンバーだったから、地の人間ではなさそうだ。
職業を尋ねると「お医者さんだった」と言う。
大阪の方で眼科の医者だったが辞めて、生まれ故郷に帰って来、週何日か市立総合病院でアルバイトをしているとのこと。

 この後、近くの志戸坂峠の桜並木がきれいだから、そこも案内すると言われ、いや、もう結構ですとも言えず、さらに好意に甘えることに。
 たしかに桜並木はきれいだったが、私が撮りたい桜の写真のイメージとは少し違っていた。
「では、私はここで撮影をしますから」と、色々案内してもらったお礼を言い、そこで別れたのだが、30分程後に再び会うことに。
 話をしているうちに相手への興味関心が高まったこともあるが、それよりなにより彼の家族が始めた椎茸栽培会社に興味があったから、桜の撮影はそこそこに切り上げ、帰りに椎茸栽培会社、株式会社ムサシ農園(岡山県美作市古町1365)にもう一度寄ることにした。







地方を旅する面白さ~カタクリが取り持つ縁(前)

2013-04-25 10:09:57 | 視点

 地方を旅すると時々面白いものに出合う。
「面白い」というのは興味を惹かれるとかユニークという意味で、それは物だったり人だったりするが、そんなものに出合うと、うれしくてつい時間を忘れてしまう。今回もそうだった。

 この日、白いカタクリの花を撮るため、午前中に兵庫県佐用郡佐用町まで出かけたが、カタクリの花はすでに散ってしまったようで、敷地入り口の扉も閉まっていた。
Uターンして帰ろうとした時、やはりカタクリの花を見に来たと思しき熟年夫婦が乗った車がゆっくり通り過ぎて行った。
少し首を傾げている風に見えたので、場所を迷っているのかと思い、よせばいいのにまたまたお節介虫が首をもたげ、その車を追いかけ、信号で停まった時に声を掛けた。

 カタクリの花を見に姫路から来たが、もう終わっていたみたいですね、と言う。
せっかく来たのに空振りで帰るのも気の毒と思い、同じ町内の他の場所にもカタクリの自生地があり、そちらはまだ咲いていると教えてあげた。
地名と大体の方向は教えたが、カーナビは持ってないとのことだった。まあ大丈夫だろうと思いつつ自分の車に引き返すと佐用町の地図を2つ持っていることに気付いたので、再び追いかけて1つをあげた。
我ながらつくづくお節介だと思う。

 空振りだったのはこちらも同じで、仕方なく行き先を津山北部の桜に変更。
その前に腹ごしらえをと思い、途中、美作市大原でレストランに入る。
岡山県内地図を見ながら、目的地の津山市畝(うね)を探すが見つからない。
ネットで見た地図の記憶では津山市尾所(おそ)の桜の近くだったが、いくら地図を眺めても畝の地名がない。
やむなく、近くの席で食事をしていた4人組に声を掛けた。

「済みません、津山市畝というのはどの辺りか知りませんか」
「この辺の人間ではないから」と、その中の一人が言いながら、それでも他の人に聞いたり、挙句には友人に電話までして尋ねてくれた。だが、誰も知らなかった。

 もしかすると地名間違いか、記憶間違いか。
そんな不安が少し頭を過る。
しかし、尾所の近くだったのは間違いない。
メモしなかったことを後悔したが、元々その日はカタクリで、桜は予定に入ってなかったのだから仕方ない。
 後程、帰宅して調べ直して分かったのは「岩井畝の大桜」(真庭市)と、津山市加茂町黒木・レイクパーク加茂の桜の混同だった。






奇妙な形の雲

2013-04-19 09:38:49 | 視点

 4月15日13時半頃、岡山県美作市古町(旧大原町)のムサシ農園で話をしていた時、

同農園の晃氏が「変な雲やな~。今まで見たことない形をしとる」と空を見上げて呟いた。

最初は意に止めず話を続けていたが、また言うので空を見上げてみると

ドーナツ型の雲が目に入った。

方角はほぼ南方向。

2日前の13日午前5時33分頃には淡路島で、2日後の17日午後5時57分頃には三宅島で

地震が起きているだけに、つい関連付けて考えたくもなるが、まあ関係ないだろう。

ただ、雲が現れた方向の先に三宅島が大体位置しはするが・・・。

地震が続くとついこんなものにも気を引かれてしまう。

枯れ尾花を見てお化けと怯える類か・・・。






「柔らかい空間~竹からの建築発想」ーー有機体建築家・武田正義氏の展覧会

2013-04-18 16:31:29 | 視点
 母がインフルエンザにかかり急遽、先週帰省し、岡山県に1週間程滞在しています。
急な帰省になりましたが、悪いことばかりではなく、今年は見られないだろうと諦めていたカタクリの花を見に行くことができました。
その可憐な姿はブログ「栗野的風景」でご覧下さい。

 さて今回は有機体建築家、武田正義氏が福岡市赤煉瓦文化館で氏の作品展覧会、講演その他が行われるので、その案内を致します。

 「有機体建築家」ー聞きなれない言葉ですが、一体何でしょうか。
「有機体組織としての建築」という言葉、私は好きですね。

 武田さんは以前、国連HABITAT専門家としてブータンで仕事をしていたこともあり、その頃から有機体建築ということを強く考えだされたのではないかと、私は思っていますが、違っているかもしれません。
その辺りは直接ご本人に確かめて下さい。

 今回は竹を使った建築を提案されています。
こういう発想は面白いですね。
自然界に直線はない。あるのは曲線だ、という言葉も以前どこかで聞いたことがありますが、近代西欧建築は四角な物ばかり作っているようです。

 武田さんと面識がある方も、ない方も一度彼の作品を見、話を聞き、話をしてみませんか。
楽しいと思いますよ。
 期間中は作品の展示だけでなく演奏会、対談、講演もあります。

<案 内>
期間:5月8日(水)~5月19日(日) 9:00~21:00
入場無料

 5月11日(土)PM6:30 「音の響きと感性の空間」
   クラリネット奏者・安本文拓
 5月12日(日)PM3:00 武田正義建築講演
   武田正義の作品を通してー建築手法の展開ー
 5月18日(土)PM6:30 「デザインの未来」
   武田正義×網本義弘×貞包博幸
 5月19日(日)PM3:00 「建築・都市のサスティナビリティー」
   武田正義×藍谷鋼一郎

場所:赤煉瓦文化館(福岡市中央区天神1-15-30)tel 092-722-4666
問い合わせ先:アデカッツギャラリー(武田さんの事務所) tel 092-524-3030



ソフトサービスに力を入れるバルコム福岡

2013-04-15 09:31:52 | 視点
 Balcom BMW福岡(以下バルコム福岡)がオープンして約1年。業績は順調に推移しているのか、それとも当初予想ほどではないのかが気になるところだ。業界動向に詳しい某氏によると、予想以上に健闘しているとのことだったが、果たしてそうなのか。

 いまさら言うまでもないだろうが、車検を含め車の点検・修理をする場合、次のいずれかだろう。
1.ディーラー
2.街の修理工場
3.ガソリンスタンドや大型カー用品店
 このほかに車検だけならユーザー車検(代行業含む)という手もある。
手間暇さえ惜しまなければユーザー車検が最も安上がりだ。
 国産車の場合は上記3つのいずれもが使えるが、輸入車の場合は選択肢がかなり狭められ、ほぼ1と2しかなくなる。しかも年式が新しい車ほどコンピューター化され、もはや機械というより電子ユニットの組み合わせに近くなっている。そうなるともう街の修理工場では変化と知識に追い付いていけなくなる。さらにドア1枚剥がすにも専用の工具が必要になり、そうした道具を装備しているところでないと点検さえできない。
 かくして選択肢はほとんどディーラーしかなくなる。顧客に質の高いサービスを提供するために、と言うが、総代理店とディーラーが儲かる仕組みを作っているだけだ。

 ところで、顧客とは何だろうか。
客はなぜその店で買い物をするのか。
欲しい商品がその店にあるから。商品がいいから。価格が安いから。店の雰囲気がいいから。販売員の感じがいい、知識が豊富だから等々いろいろあるだろう。
 これは次のように言い換えることができる。
1.商品に付く客
2.店(会社)に付く客
3.個人に付く客


    (以下、略)


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第一施設工業が低価格・ハイスピード・省スペースのスパイラルリフターを発売

2013-04-04 11:23:36 | 視点
 第一施設工業(福岡市)が一般物流向けに「低価格」「ハイスピード」「省スペース」を謳い文句にした「スパイラルリフター」を開発、2013年2月から販売を開始した。

他を持って替えがたいモノを

 開発のきっかけは「半導体不況」だと篠原統社長。
同社の主力商品はクリーンルーム内で稼働する搬送装置「クリフター」で、海外では「Daiichi」の名前はよく知られているが、半導体の好不況に売り上げが左右されやすい。特にこの1、2年は半導体業界が設備投資を控えたこともあり、同社も「その影響で売り上げが激減した」と嘆く。

 こういう時に取る方法は2つ。半導体景気が戻るまで我慢の経営をするか、半導体以外の分野に活路を求め、社内の半導体関連シェアを低くするかだ。

 同社が採ったのは後者の方法。

 従来、物流分野で使われている昇降機はワイヤーロープかチェーン、油圧で台やカーゴを上下させる方式である。
ところが、騒音がしたり、装置を止めて点検する必要があり、メンテナンスに時間と経費がかかるという問題点がある。
なにより点検のために機械を停止させなければならないのが問題。
もっと作業効率が上がるモノがないか。そんな顧客の要望に応えたのがスパイラルリフターだ。

    (以下、略)


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