栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

突如、店頭に復活した「麦の薫り」、その背後に見えるのは

2009-11-27 18:28:02 | 視点
 華々しい前宣伝をしながらあっという間に店頭から消えたイオンのPBビール「麦の薫り」。
 その背景として考えられる理由を前項(栗野的視点No.326_2)で4つ挙げたが、実はイオンの本音は客寄せ戦術だったのではないかという疑問はその後も消えなかった。

 だからユニクロに追随する形で低価格ジーンズを発売した時も初期ロットだけで終えるのではないかと注視したが、取り敢えず店頭からは消えていないようだ。
 ただし、現在、欠品サイズが多いとか、ボタン穴が小さく、ボタンを留めるのに時間がかかるなどという点は大目に見ての話で、だ。

 はっきりいえばやる気があるのかないのかよく分からないのがイオンの姿勢で、今春の「反省」は形だけ、あるいはイオンが反省したのは「お客様が本当に求めている商品やサービス」をすることではなく、単なる低価格志向だけではないのかと疑いたくなる。
 やることがすべて中途半端なのだ。
これは消費者に最も嫌われる態度である。
今中間決算で減収減益だったイオンの傾向は止められないだろう、と他人事ながら思ってしまう。

 さて、そのイオンに10月下旬~11月初旬にかけて異変が起きた。
一時店頭から忽然と姿を消した、イオンのPBビール「麦の薫り」が突如姿を現したのだ。

 なぜ今頃?という疑問が消えないが、背景に透けて見えるのは流通とメーカーのしのぎ合い・・・・


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技術が文化を変える。

2009-11-25 23:38:08 | 視点
 秋の紅葉シーズンにはこのような光景をあちこちで見かけるが、年々増えているのがデジタル一眼レフカメラを提げている人。

特に中年以上の男女にその傾向が著しい。

5、6年前まではレンズ付きフィルムカメラで写す人が圧倒的に多かった。

それがコンパクトデジカメに替わり、いまはデジタル一眼レフカメラ。

カメラの価格が下がったことが一因だが、それでもデジタルはフィルム一眼レフカメラに比べればまだ高い。

とすれば価格より他の要因が普及に一躍買っていると見るべきだろう。

では、それはなにか。

まず手軽さである。

撮ったその場で確認できることもさることながら、現像・焼き付けに要する時間が不要になったことだろう。

パソコンがあればいつでも見たい時に見られるというのは大きい。

またパソコンがなくてもSDカードなどの記録媒体をプリンターに繋げば、自宅でプリントできる。

この手軽さが受けた。

気が付いたら写真撮影文化もすっかり変わっていた。

いまや撮影は一部プロのものでも男性のものでもなく、写したい人なら誰でも気軽に、しかもプロ並みの腕を振るうことができるようになった。

それを可能にしたのは優れた技術である。



デジカメオンライン










秋の有田陶磁器まつりの楽しみ方

2009-11-21 00:23:14 | 視点
 21日から4日間、秋の有田陶磁器まつりが始まる。

秋の陶磁器まつりのいいところはゆっくり、じっくり見て回れること。

工房によっては工房の中を開放しているところもあるから、写真のような光景が楽しめる。


 「青花」ブランドで知られる「しん窯」は話しかけると職人さんが色々説明もしてくれる。

ベテラン揃いで、皆さん慣れた手つきで皿の上に直接一気書き。

下絵の上をなぞるのだろうと思っていたから、ちょっとビックリ。

左の写真の職人さんはこの道20年。

最近、有田焼も中心は転写。技術の進歩で転写の方がきれいな色が出ることもあるが、ここ「しん窯」は手描きにこだわっている。

「手描きの場合、厳密にいえば同じ模様や文字にしても描く人によってそれぞれ違うでしょ?」と尋ねると、「見ればこれは誰の作品か皆分かりますよ」とのこと。
それが手描きのよさだという人もいるが、最近の技術は進歩しており、手描き風に線の太さを乱したりもできるそうだ。
そうなると専門家でも中々見分けは難しいという。

 香蘭社のショールームに展示してあるこの作品は、同社の女性達が企画し製品化したもの。

いままでの有田、香蘭社になかったものだけに、その辺りは賛否両論あるだろうが、斬新な色遣いやデザインが面白い。

若い女性に人気があるとのこと。

これを見れば有田焼に対するイメージが変わるかも。

情報収集の原点は消費の最前線

2009-11-20 14:44:18 | 視点
 消費の最前線で異変が起きている。
モノ余りに消費不況が加わり、景気低迷が追い打ちをかけ、モノが売れなくなったといわれてきた消費に異変が起きている。
ユニクロが仕掛けた1000円を切るジーンズは爆発的に売れているし、ニトリも売り上げを伸ばしている。
たしかに圧倒的な低価格が魅力で売れているとはいえ、「モノ余り=消費不況」という図式は成り立たないということをユニクロは証明した。
 では、モノは売れないのか。
売れる企業と売れない企業の差はどこにあるのか。

 今春、イオンが全国紙に1面広告を出して「反省」した。
「イオンはお客様が本当に求めている商品やサービスを提供できていませんでした」。今後は「お客さまの声に深く耳を傾け、他の優れた企業から積極的に学びます」と。
 イオンのこの「反省」を、どれだけの企業が真剣に受け止めただろうか。
おそらく大半の企業は「モノあまりだから」「消費不況だから」「100年に一度の不況だから」ということを言い訳にし、売れなくても仕方ないと諦めているのではないか。
 本当にモノは売れないのか。
少なくともユニクロはモノあまりの時代でも売れることを実証した。「お客様が本当に求めている商品」を、求めている価格で提供すれば大量に売れることを証明した。そのことはユニクロに追随したイオンその他の企業でも証明されている。

 いま売れないといっているところはひと言で言えば努力不足。
なにもしてないのだ、小売業も製造業も。


  全文はリエゾン九州のHPで



Windows7にアップグレードした。

2009-11-16 12:31:36 | 視点
 7月下旬にWindows7への無料アップグレード権付きで買ったEverex Step Note VC1700J。

Windows7発売後の11月10日、ネットでマイクロソフトにアップグレードCDの送付を申し込んだ。

CD到着後、早速インストール。

所要時間は約1時間半。途中何度かシステムの再起動を要求されたが、すべて自動で行われるので、迷うことも問題もなく無事終了。

 さて使い勝手だが、もともとインストールしたノートパソコンが買って間がないこともあり、起動その他の時間が劇的に速くなった印象はない。
正確に計ったわけでもないからなんとも言えないが、まあ、速くなったと言われれば速くなったのかなというぐらいだ。

 操作方法その他も面食らう箇所もいまのところない。
マイクロソフトのオフィスが問題なく稼働するかどうか知人からを尋ねられたが、同じマイクロソフト製。まず自社製品が問題なく動くかどうかは確かめているはずだ。
 正直なところ、マイクロソフトのオフィスは使ってないので使用感についてはコメントできないが、同製品と互換性があるOpenoffice.orgは問題なく動いた。

 ただWin7にアップグレード以降、Firefoxが頻繁にダウンするようになった。

 (追加)
 いままでビスタで問題なく動いていたホームページビルダーver11はまったく起ち上がらなくなった。
 バージョンの古いソフトは他にもwin7で動かないものが出るかもしれない。

我が輩はハマである。

2009-11-14 00:03:28 | 視点
 「我が輩はハマである。焼き物の下に居て、いびつな形を決して作らない縁の下の力持ちである。
 焼き物は高温で焼くとおよそ二割縮む。
我が輩もご主人を支えて二割縮む」

 有田の「しん窯」でもらった「ハマ」にはこのように書かれた添え書きが同封されていた。
 器などは窯の中で焼くとき直接台の上に置けば、台と器の収縮率の違いで、焼き上がったとき器が歪になることがある。
それを防ぐために、器と同じ素材(収縮率が同じ)で作った「ハマ」を器の下に置いて一緒に焼くのだ。
 ハマの役目はそれだけで、窯から出された後は用済み。廃棄処分にされる。(昔は文字通りの廃棄だったが、近年は砕いて粘土にし、再度ハマへと再生産されている)

 このように従来は廃棄処分にされていたハマだが、有田焼の産地を訪れた人にお土産としてでも持って帰ってもらえればと、ハマに新しい生命を吹き込んだのだこれ(写真左の白いコースターのようなもの)。
 しん窯を訪れた人は自由に持ち帰れるだけでなく、JR武雄温泉駅にも「旅の記念に自由にお持ち帰り下さい」と書いて置いている。

 10日、有田窯業技術センターで「有田(焼)を再構築する経営戦略とは」と題して講演した際に、私もしん窯の梶原社長からマグカップ(写真右)と一緒に頂いた。

 飾りとして使ってもいいし、コースターとして使ってもちょうどいい。
私は早速コースター代わりに使っている。
 表面に書かれた文字は「吾唯足知(われ、ただ足るを知る)」。
足ることを知る人は不平不満がなく、心豊かな生活を送ることができる、という意味で、人は欲張らず、いまの自分を大切にしなさい、ということだ。
 バブル期は誰も彼もが欲張って足ることを知らず、人から奪うことばかり。
そしていまは一度膨れあがった胃袋を満たすだけの食べ物がなく、やはり足るを知ることができず、不平不満ばかり言っている人のなんと多いことか。

 いま必要なのはまさに「足るを知る」こと。


本格ドリップコーヒーが1杯18円。こだわりのコーヒー専門店カフェ工房

コロプラで人気の有田焼窯元

2009-11-09 23:05:04 | 視点
 9月上旬のある日、有田窯業技術センターで「有田(焼)ブランドをどうするのか」と題して講演した後の懇親会で面白い話を耳にした。
「青花」ブランドで知られる「しん窯」に遠方から若者が来ているというのだ。
なんでも彼らはケータイのGPS機能を使い、互いの位置情報を知ることができるらしい。
なぜ有田へ来ているのかよく分からないけど、ネットでは有田のしん窯が有名になっているらしい、ということだった。

 なんといっても説明してくれる人がよく理解していないものだから、聞いているこちらもその場では朧気にしか分からなかったが、なんとなくバーチャルゲームの世界と現実(最近流行りの言葉ではリアルの世界となる)を結び付けた動きらしいということは分かった。

 ネット上に現出する世界はバーチャルリアリティといわれるように仮想現実で、その仮想現実世界が現実世界と関係し合うことはなかった。
ところが近年、その境界が意識の上で曖昧に捕らえられたり、一部のモノを現実世界に出現させたりすることで、両者の境界は意識上だけでなく現実上にもどんどん曖昧になり、バーチャルの世界が現実世界に影響を与えだしている。

 しかし、それでもバーチャルな世界はあくまでバーチャルで、現実世界とリンクし、現実世界に影響を与えることはなかった。
 ところが、この若者達(写真の左側3人、右側はしん窯の梶原茂弘社長)はネット上のゲーム世界での移動を、現実世界で物理的に移動するという行動をしたのだ。

 それをさせているのは「コロニーな生活☆PLUS」(略してコロプラ)というケータイの位置登録情報を利用したコミュニケーションゲームである。
 コロニーという街とその住民を発展させていくゲームだが、この種のゲームは従来もあったが、コロプラが異なるのは街の場所は固定したモノではなく、自分と一緒に移動していく点で、コロニーが移動し、別のコロニーと接触し、コミュニケーションをするという発想。

 また現実世界で移動した距離に応じてゲーム内の通貨やアイテムをゲットすることができる。
 特に東京から佐賀県有田のように、人があまり移動しない距離を移動すると「プラ」と呼ばれるゲーム内の仮想通貨も多く獲得できるので、いま有田焼きの「しん窯」を訪れる若者が増えているのだ。

 講演翌日に私が同窯を訪問した時も写真のように若者3人が来ていた。
ただ、彼らは時間を効率よく使って九州内を移動し東京に帰るので、点が面に広がる直接的な動きにはなりそうにないが、有田と有田焼を知らない世代に有田焼を知らせる大きなきっかけにはなるだろう。

 関連記事:秋の有田陶磁器まつりの楽しみ方
      我が輩はハマである。





「営業力のない製造業は生き残れない」と題して講演

2009-11-08 22:18:02 | 視点
 10月30日、岡山市で「営業力のない製造業は生き残れない」と題して講演した。
主催は県工業技術センター。

 市場が拡大期にある時は機能による差別化が行われるが、成熟期に入ると機能はほぼ似たり寄ったりになるから機能による差別化はできなくなる。

この時期は逆に機能を省き、デザインやカラーでの差別化が行われてくる。

 そうなるとユーザーへの売り込みも機能や仕様の説明ではなく、使い勝手のよさや、どの辺がコストダウンに繋がるかといった、使うシーンを相手に見せたり(想像させる)、この製品を導入(購入)することにより、どのようなメリットが相手に生じるかといったことを説明(提案)する能力が要求される。

 つまり高い営業力が求められるわけだが、多くの中小企業はまだそのことに気付いていない。
 あるいは気付いてもそうした能力を持った人材が社内にいないか、営業に回す余力がない。

 これは一見、鶏が先か卵が先かというのに似ているように思われるかもしれないが、まったく違う。
 そうしなければ生き残っていけないので、生き残りたければ社内の営業力を高める以外にないのである。


 ところで、せっかく岡山に来たので紅葉の名所をと思い、県北の美作三湯(みまさかさんとう)の一つで有名な奥津温泉近くの奥津渓に行き、撮影してきた。
ちょうど今が見頃。
渓谷が真っ赤に染まっている光景を見ることができるはず。

肌の悩みを癒す製品の研究開発の発表

2009-11-07 21:51:13 | 視点
 福岡女子大名誉教授・若松國光先生が「皮膚(肌)の悩みを癒す製品の研究開発」を行い、この度製品化に向けて大きな1歩を踏み出した。

 製品化されればアトピー性皮膚炎など皮膚炎で悩んでいる人には朗報になるだろう。

 以下は開発に至る経緯を含め、若松先生から届いたメール。

 大学在職の最後の3年間、アトピー性皮膚炎の学生・院生がいて、その悩む姿を毎日見ていながら、何もしてやれませんでしたので、退職後は、現代の医療で解決されない「皮膚(肌)の悩みを癒す製品の研究開発」を遂行することで、人生最後の社会への奉仕を、と決意していました。

 そのとき、必要な成分の調合も頭の中では描いていました。
 退職後の体調不良で、全く手をつけていませんでしたが、ふと、そのことを思い出して、調合し、患部に塗布しましたところ、3日で痒みがとれ、1週間で発疹が治りました。

 胃がんの手術を受けて術後の薬の服用で、発疹と痒みのある富山の大学教授に提供しましたところ、3日後電話があり、気持ちがよくなったとのことでした。
 それから親戚や知り合いの皮膚の悩みをもつ方々へ試供品を使って貰いましたところ、いずれも好評でした。
 但し、10年以上アトピー性皮膚炎に悩んでいる方4名には、残念なことに効果がありませんでした。

 軟膏など皮膚の薬や化粧品には、抗菌剤の添加が義務付けされていますが、皮膚の弱いひとには、抗菌剤によって、影響を受ける可能性があります。

 抗菌剤を含まない代わりに、滅菌した容器にクリーンベンチ内で無菌的に無菌処理した成分を充填していますので、基本的に使い捨て用に開発しています。

 「製造許可」、「製造販売許可」、「知的財産権」の問題、効果がありながら、薬事法の関係で、「化粧品」として取り扱うことなど、いろいろな課題に遭遇して少しずつ進めています。


 そこでリエゾン九州の11月例会で製品について発表してもらおうと考えている。

●日 時: 11月14日(土)13:30 ~ 17:00

◎場 所:光ビル5F(中央区天神4丁目9-12)
      日本銀行(昭和通り沿い)とガーデンパレスの間の道を
      浜の方(須崎公園の方)に進む。
      「ほっともっと」を通り過ぎ、道路に交差する手前、右側のビル。


●内 容:
1.発表
  「皮膚(肌)の悩みを癒す製品の研究開発」について
   発表者:福岡女子大名誉教授・若松國光 氏


●例会参加は誰でも可能です。(但し、事前に参加申し込みをして下さい)
  参加費用:会員は 1,000円。
非会員は 2,000円。


かつての面影はどこにもないベスト電器

2009-11-06 12:13:46 | 視点
 最近使わなくなったカードが2枚ある。
1枚はベスト電器のベストカード。
もう1枚はダイエーのOMCカード。
どちらも上得意にランクされていたが、最近すっかり店に足を運ぶことがなくなった。
最大の理由は他店の方が安いからだが、それだけではない。
特にベスト電器に関していえば、従業員の接客力が格段に落ちているからだ。

 では、いつ頃から落ち始めたのかといえば、ビックカメラが天神に進出して1、2年後。決定的になったのは博多駅近くにヨドバシカメラが進出してからだ。
この頃から天神のベスト電器本店の集客は目立って落ちた。
 集客が減り始めた頃は危機意識もあり、経営幹部から店頭販売社員まで頑張らねばという気持ちになり、一生懸命に頑張るが、やがてそれが常態化し出すと、今度は客が少なくてもそれが異常ではなく、それが普通なのだと思い出す。

 こうなると全てがその状態(来店客が少ない状態)を基準にしだす。
来店客への声掛けも、接客態度も、動作も。
さらに事態が進むと客を客と見なくなる。
客ではなく通行人としか見なくなるのだ。
どうせ買わないだろうと。
 こうなるともう完全に負のスパイラルである。
ますます売り上げは落ち、客は離れていく。

 そのベスト電器本店に久し振りに行ってみた。
ビックカメラと提携して少しは変わったのではないかという淡い期待を抱きながら。
 たしかに価格は変わった。
従来は「価格競争はしない」という方針もあり、ビックカメラなどと比べると全体的に少し高めだった。
ところがビックカメラと提携以後、価格は以前より下がり、ビックカメラと比べても遜色なくなった。

 変わった箇所はもう1点。
販売員の数がさらに減少したことと、年配の販売員が増えたことだ。
年配者が増えたことで以前よりサービスが向上するかと思ったが、客への声掛けはせず、商品をしばらく見ていても寄ってこず、わざわざ呼ばないと側に来なかった。
これでは売り上げが回復するわけはない。
他人事ながらもう少し接客技術向上の研修をしたらどうだと、つい憤慨してしまった。


ソースネクスト