栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

過剰生産こそが問題

2017-06-25 17:56:03 | 視点
 いま私達は歴史の転換点に立っているのではないだろうか。
このまま破滅への道を突き進むのか。それともここらで立ち止まり、この星の未来について真剣に考えるのか。

 近年、この星に関係しているあらゆるものがおかしくなりつつある。
自然も生物も気候も、さらには人の営みに関する生産、流通、政治といったものまでもが、というかそれらこそが秩序を失い、バランスを崩し、まるで滅びへのサイクルを縮めているように見える。
人はなぜ急ぐのか、なぜ急がなければならないのか--。

相次ぎ存続の危機を迎える日本企業

 デジタル社会があらゆるもののスピードを速めたのは間違いない。
その結果、我々は利便性という恩恵を享受している。
だが、それは一方で部品のコモディティ化を招き、モノの価格と価値を下落させ、モノの氾濫を招いた。

 溢れるモノは出口を求めて世界中を彷徨い、自由貿易という名の差別貿易を開発途上国に押し付けることで先進国は富の分配を受けてきたし、これからもさらに受けようとしている。

 しかし、ここに来て、いやもうすでに来ているが、中国やインドといった開発途上国は原材料と安い労働力の提供地から脱し、先進国と競合する国になってきた。
それらの国が作るモノはかつてのように低価格で低価値のものではなく、付加価値がある割りには価格が安い、いわゆるコストパフォーマンスのいい商品が増えている。

 そのいい例が家電製品やPC、スマートフォン(スマホ)だ。
一時期、世界のPCやケータイ市場をリードしたIBM製PCやモトローラ製ケータイはいずれも中国企業に売却されてしまった。

 日本勢も同じで98にあらずはPCにあらずとまで言われた(?)NEC製PCはいまやレノボに売却され、NEC名で売られているPC、タブレットは実はレノボ製というのはよく知られている事実だ。

 スマホに至ってはメード・イン・ジャパンはほぼ全滅で、いまやスマホは中国企業の存在なくして成り立たない状況である。

 かつて一世を風靡した「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は今や見る影もなく、日本企業は国際市場で草刈り場になった感さえある。
サンヨーは消え、シャープは鴻海グループの傘下に入り、東芝は生死の境をさまよっている。

 ニコンも前車の轍を踏み、今年に入って1000人超の希望退職者を募るなど大幅リストラに踏み切ったが、果たして再生できるのか否か。
 
 なぜ、このような状況になってしまったのか。

「消費者のニーズを読み間違えた」「市場の変化に素早く対応できなかった」「過去の成功体験が邪魔し、大胆な構造改革ができなかった」「大型投資案件が足を引っ張った」等々。

 いずれも当たっていると思われるが、その一方で、そんな通り一遍の言葉では済まされないもっと根本的な問題があるのではないだろうか。

 例えばニコン


ショッピングモールの廃墟が米国で急増

 モノは売れているのか、いないのか。
安倍政権の掛け声にもかかわらず国内消費は一向に上向かない。
中国人など外国旅行者による「爆買い」はあったものの、「爆買い」ブームが終わってみれば前以上の売り上げ減だ。

 問題はこうした動きが日本だけでなく先進国で起きていることだ。
日本の小売業が見本にしてきたアメリカでは廃墟と化す大型ショッピングモールが続出


お買い得すぎた「撒き餌」

 スマホの普及とスマホのカメラ性能アップでコンデジが売れなくなったことに関しては過去にも何度か触れた。
 しかし、ニコンの落ち込みはコンデジだけではない。
レンズ交換式カメラ(デジタル一眼レフカメラ、ミラーレスカメラ)でも見られる



モデルチェンジが早すぎる

 中級機市場が縮小し始めたのは他にも要因がある。

1つは大きいものを好むと思われていた欧米市場でミラーレスカメラが売れ出したように、日本人=小型、欧米人=大型を好むという図式が崩れた

 もう1つはカメラの性能と新製品発表サイクルの問題


作りすぎと売りすぎの関係

 ローカルからグローバルへと資本主義を展開させていく大きな力になったのが自由貿易と金融商品である。

 自由貿易の主力商品が当初のモノから最近は金融という商品に移っているが、モノが形を変えても本質は先進国と発展途上国の間の不自由貿易であり、発展途上国が先進国に労働、賃金、材料を不当に搾取される関係は変わらない。

 しかし、途上国もいつまでも途上国のままでは留まらない


           (以下 略)




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