栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

投票率はかなり高い。

2009-08-30 14:56:52 | 視点
 午前中、投票所に行ってきたが、今回は様相が違った。

投票所に向かう人、投票所の中の人が非常に多いのだ。

一見して投票率が高いと分かったが、念のため選挙管理委員に「今回は多いですね」と

声を掛けてみると、「そうなんです。朝からずっとこんな感じなんですよ」という言葉が返ってきた。

今回の投票率は過去何番目かの高い率になるのは間違いなさそうだ。

民主党が300議席を超えるのはほぼ間違いないだろう。

被災地からのレポート(3)--母が少しずつ壊れていく。

2009-08-28 17:48:15 | 視点
 「もう何かもかも無茶苦茶」「長生きしたばっかりに、こんな目に遭った。早う死んどけばよかった」
 あの日以来、母は日に何度となく、来る人ごとに、あるいは独り言のように繰り返している。
そして日が経つに従って、この繰り言は減るどころか増えだした。
ここ数日はいましたことまで忘れるようになってきた。

「もう私もいけん。最近は少し惚けよるで」
「そんなことはない。大丈夫や。まだしっかりしとる」
 弟も私もそう言って母を励ましているが、もしかして、と思わないでもない。
いままで突いていた杖がない、財布がない・・・。
その度に探し回らなければならない。
「水害の時の方がシャンとしとったのに、最近の方があかんわ」
 自分でもそう言う。
いままで自分でなんでもしていたのに、水害以降こちらがなんでもしてやるようになったことが逆効果なのか、それとも認知症の症状が出始めたのか・・・。

 大きな災害などの後、老人が認知症になる例は数多く報告されている。
老人だけではない。年齢を問わずPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ。
 最初の頃、母がよく聞いてきた。
「今日は何日?」「水害が起きたのは何日だったかな?」
そしてその後、必ずこう言ったものだ。
「もう日にちさえ分からんようになった。惚けて来だしたで」と。
 日にちの感覚が分からなくなるのは母に限ったことではない。
私も同じだった。
外界との接触がなく、来る日も来る日も同じようなことをしていると、今日は何日なのか、あれから何日経ったのか分からなくなる。
第一そういうことが必要でないから考えもしないが、なにかの機会にふと今日は何日なのだろうかと思い、日にちが分からなかった時は誰しも不安に襲われる。
もしかして認知症になったのでは・・・、と。
高齢者ほどの不安にさいなまれる。
そして不安がさらに不安を呼び、ますます不安を増幅していく。

 こうした不安は他のことをしたり、誰かと話すことにより多少なりとも解消するものだが、独り生活だったり、避難所暮らしだと、不安を口にすることもできないからますます不安になり、そのことがかえって認知症を引き起こすきっかけになる。
 今回の被災でも避難所生活を余儀なくされた人も結構いるようだが、幸い我が家は避難所生活をすることもなく助かった。
 同じ美作市でも土居地区は水道、プロパンガス、電気などのライフラインがストップし、厳しい復旧作業になったが、幸い実家がある江見地区はライフラインがストップしなかったのが不幸中の幸いだった。

 被災直後は身内の加勢もあり、皆が忙しく動き回っていたので、母も気が張っていたようだが、それでも目の前に繰り広げられている光景を現実として受け入れられないように見えた。
 していることもちぐはぐだし、自分の身の回りの小さなものを指してはあれがない、これはどこへ行ったというので、かえって作業の邪魔になった程で、とてもいつもの母ではなかった。

 このままでは認知症になる。
そう感じたので、弟と相談して早く畳を入れることにした。
できるだけ早くいままでの状態に近い環境に戻すことが必要だと感じたからだ。
いままでの状態に近い環境といっても、おいそれとできるものではないが、最も悲惨な状態を隠し、一見普通の生活に近い感覚にするためには畳を敷く以外にないと考えた。
 それに畳屋は仕事が忙しくなるだろうから、予約だけでも早くしておかないと畳がいつ入るか分からなくなると考え連絡した。
それが盆前の12日。その日のうちに採寸に来、盆明けの17日に納品するというので、ちょっと早すぎるかもと思ったが即決した。

 床上浸水した家屋の中で畳を入れたのは我が家が一番早かったと思うが、畳が入った翌日から母の行動が変わった。
いままでなにもできず、ただウロウロしていたのが少しずつ自分の身の回りのことをし始めたのだ。
「無茶ばっかりしよる」と言いつつも、行動に落ち着きが見られ出したので、このまま一気に認知症にはならないだろうと少しホッとした。

 しかし、本当に心のケアが必要なのは、これからだった。


  ★美作(みまさか)市・佐用町の水害被災写真は下記ブログに載せています。
    「栗野的風景」 http://blog.livedoor.jp/kurino30/


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被災地からのレポート(2)--コミュニティーの復活

2009-08-25 21:49:53 | 視点
 9日の夜、母は「テレビでバレーを一生懸命観ていた」ようだ。
「その時は雨もそんなに降ってなかったから、まさか水がそんなに溢れているなんて思いもしなかった。雨でも激しく降っていれば注意して外を見るけど」
 その後、水嵩は急速に増し、400m程離れている木材会社の材木がうちの庭にも流れてきたというから、もうそこら辺り一面川になっていたのだろう。

 母はなすすべもなく寝室のベッドの上で一夜を過ごしたようだが、まんじりともせず朝まで過ごしたのか、それとも開き直って寝たのか・・・。

 翌朝、地域の消防団の人達が来て、取り敢えず居間の畳を上げてくれたみたいだが、昨夜からその辺りまでのことが母の記憶にはほとんどない。


 床上40センチというのは、落ち着いてから測ってみて驚いたが地面からだと90センチの高さだった。
 ガソリン給油所の店主が「道路の向かい側に渡るのが怖くて渡れなかった」と話していたが、女子供年寄りでなくても流される危険がある。

 ここ数年の豪雨水害の特徴は突如水嵩が増していることだ。
美作市、兵庫県佐用町の場合でも、皆の話を総合するとほぼ10分前後で急激に水嵩が増したようだ。

 近年、日本ではコミュニティーが急速に崩壊している。その原因は様々だが、そのことは別の機会に触れるとして、コミュニティーの崩壊が現代日本が抱える様々な問題の一因になっている。

 例えばかつて犯罪の多くは自分が所属するコミュニティー以外の場所で行われていた。

ところが、近年の犯罪は圧倒的に勝手知ったる身近な場所で行われている。

それは


  全文はリエゾン九州のHP

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  ★美作(みまさか)市・佐用町の水害被災写真は下記ブログに載せています。
    「栗野的風景」 http://blog.livedoor.jp/kurino30/

被災地からのレポート(1)--人の行動には3パターンある。

2009-08-22 12:59:37 | 視点
 9日夜から10日の未明にかけて岡山県美作(みまさか)市、兵庫県佐用町(両市町は隣接している)を集中豪雨が襲い、両地域で河川が氾濫し、多くの世帯が床上浸水し、死者も出た。
 美作市で大きな水害被害に遭ったのは作東地区。被災後、延べ1,000人を超えるボランティアが県内外から美作市に入り、復興支援活動をいまも続けている。私の実家も被災し、現在、後片づけに追われているが、少し時間を取れるようになったので被災地から現状を含めレポートしてみたい。

 まず最初にボランティアの方々に感謝したい。手弁当という言葉があるが、ボランティアの方は文字通り昼食を自分で用意して支援に駆け付けてくれるのだから、本当に頭が下がる。
 美作市の被災状況は土砂崩れによる死傷者4人。家屋の全壊5棟、一部損壊2棟、床上・床下浸水約800軒である。

 10日の朝6時半、神戸にいる弟からの電話で起こされた。
「兄貴、美作市が集中豪雨で大変・・・」
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 実家が被災したので、明日帰省する予定。片付け等もあるし、しばらく美作に滞在することになるだろうと、友人に伝えたところ、ある友人はその日の夕刻、ペットボトル入りの水やお茶にパックご飯、缶詰、レトルト食品、軍手、ゴム手袋、マスク等を入れて、必要だろうからとわざわざ持ってきてくれた。

 この気が利いた親切な行動にはとても感謝した。後片づけの祭、軍手、ゴム手袋、マスクが大いに役立ち、改めて先を見越した差し入れに大いに感謝したものだ。
 また後程ペットボトル入りの飲料を送ってくれた友人もいたし、メールで手伝いたいと言ってくれた岡山の友人もいた。
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 こうして見ていると、人が危機に直面した時に取る行動はいくつかのパターンに分かれるようだ。
 1.押っ取り刀で駆け付けるタイプ
 2.頃合いを見計らって行動するタイプ
 3.見て見ぬ振りをするタイプ

 どのような組織であれ組織には必ずこの3タイプが存在する。
3番目のタイプは組織に不要だが、見分けるのが案外難しい。

    全文はリエゾン九州のHP





岡山県美作市、ボランティアの数が圧倒的に不足と現場の声

2009-08-14 15:27:24 | 視点
 9日の夜、岡山県美作(みまさか)市、兵庫県佐用町一帯を襲った集中豪雨で、両地区に大きな被害が出ている。

マスコミには佐用町の被害が大きく取り上げられているようだが、美作市も被害状況は似たようなもので、私の実家を含め多くの家が床上浸水の被害を受けた。

 地方の町はどこも似たようなものだが、美作市も過疎、高齢化が進んでいるから、自然災害が起こると復旧に時間がかかるのが問題。

被災直後は男手が必要だが、どこも若者が少なく、対応しようにもできないのが実状。

おまけに被災直後は道路が寸断され、美作、佐用町は孤立状態になり、外から入れない(実際にはなんとか入る道はあったのだが)状況だったので、よけいに救援活動が遅れたようだ。

私の実家も床上50㎝の水害を受け、電話機をはじめ電気製品が水を被って皆ダメになった。

そのため実家にいくら電話をしても通じず、避難しているのか、無事なのかさえ分からず困ったものだ。

携帯電話を持っていればいいが、年寄りは携帯も持たず、操作もできずで、そういう家族は結構多いのではないだろうか。

 今回の水害では美作市の対応の遅れも一部では指摘されているようで、「美作水害ボランティアセンター本部」が美作市社会福祉協議会がある場所に設置されたのが、本日14日である。(この場所は実家の隣なのだが)

 早速、ボランティアの人達が救援活動を開始してくれたが、ボランティアセンター本部の話によれば、まだボランティアの数が圧倒的に不足しているとのこと。

志のある人達にできるだけ協力して欲しいと言っていた。

現在参加しているボランティアの方達は大半が岡山県内在住の人だが、それでも児島市からボランティアに来てくれた人もいるとのこと。

 ボランティア活動も力仕事だけでなく、お年寄りの話し相手になったり、泥水を被った食器類その他を洗ってもらうなど様々な支援活動がありそうだ。

 ボランティア支援活動にご協力いただける方は下記に連絡を。

「美作水害ボランティアセンター本部」
 Tel 090-8000-6106
    090-8001-0324
    090-8001-1068(番号はどれでも構わない)

美作市作東地区の被害

2009-08-10 15:52:53 | 視点
 最近の豪雨は想像、予想を上回る。

まるで西から順に被害を広げていっているような感さえある。

自然が人間社会に復讐しているのではとさえ思ってしまう。

昨夜、岡山県美作市田原地区で土砂崩れが起き、1人が死亡、2人が行方不明になっている。

隣町の兵庫県佐用町では町内を流れる千種川と佐用川があふれ、町役場を始め町内広範囲が浸水被害を受け、死者も出ている。

 美作市も床上浸水被害を受けたが、同市が床上浸水したのは50年ぶりぐらいで、林野地区には避難勧告も出たようだ。

 昼頃には避難勧告も解除されたようだが、私の実家がある作東地区も床上浸水で、道路が寸断されている中、あちこちの迂回路を通りながら神戸からなんとか帰った弟の報告によると、浸水は床上50センチ。

想像以上の被害だ。

 中国自動車道は津山インター~山崎インターが不通になっているし、JR姫新線も運行ストップしているが、中国自動車道上り線の場合、津山インターで降りても美作市まではなんとか走れるようなので、お盆の帰省を早め明朝帰省することにした。

 床下ならまだしも床上浸水になると後片付けが大変だ。

1階の畳は全滅だし、冷蔵庫の中にも濁流が入っているので食料もない。

タンスも下の方の段は全滅だから、着替えもない。

電話機も水没で使えなくなっているようで、こちらからかけても呼び出し音はするが、向こうではベルが鳴らないらしい。

だからいくら電話をかけても応答なしで、今朝はとても心配したが、弟が帰省してからは携帯でやり取りできるようになり助かっている。

さすがに弟も疲れたようで、「とても1人では片付けられない!」と電話口でこぼしていた。

しばし待て。
救援物資を積んで、明日行くからと、弟に告げる。





強い組織に必要なのは副官、それとも参謀?

2009-08-05 23:55:01 | 視点
 組織における「副官」と「参謀」の違いがよく議論されるが、中小企業にとって必要なのはどちらのタイプだろうか。

 そのことを考えるには副官(ナンバー2と言い換えてもいいだろう)とは何で、参謀とは何かを明確にしておく必要がある。

 ところが、一般的によく言われる「副官」は副官の本当の姿だろうか。

どうも誤解されているような気がする。

そこで歴史上の副官、参謀を見ながら、真に強い組織にはどのような副官、参謀がいたのか。

中小企業が必要としているのは副官なのか、参謀なのか、それとも別のタイプなのかを見ていきたい。


●日 時: 8月8日(土)13:30 ~ 17:00

◎場 所:福商会館(大名1-12-57)の2F
      天神西通り、岩田屋本館(旧Zサイド前)の前に大福うどん、
      ケンターッキーフライドチキンがあり、その角を赤坂方向に
      入ると角から2、3軒目左手のビル(1FにPumaの赤いショップ)

●内 容:
1.勉強会
  「中小企業が見習うべき最強の組織形態は」
   講師:ジャーナリスト・栗野 良

政権与党の自公が民主党の財源論を批判するのはおかしい。

2009-08-02 18:34:53 | 視点
 今回の選挙戦を見ていると与野党の立場が逆転しているように感じる。
支持率の話ではない。
相手政党のマニフェスト批判のことだ。
本来政権与党は野党のマニフェスト批判ではなく、自らの政策PRに主眼を置くべきだが、今回の選挙戦では自民党は民主党のマニフェスト批判に力を入れている。
「ばらまきだ」「財源はどうするんだ」と。

 こうした批判は野党の言い分だ。
まさに攻守ところが入れ替わっているが、すでに自民党は今回の選挙で野党になることを確信しているのだろう。

 「ばらまき」「財源難」は自・民とも50歩100歩だが、少なくとも政権与党の自民党側に野党の財源論を批判する資格はない。
 なぜなら選挙対策で直前に生活給付金という名でばらまき、国庫を空にした(それに近い状態に持っていっている)のは自民党だからだ。

 もう一つは、財政問題は野党にははっきりわからないと事情がある。
これは政権を取らないとどこにどれだけあり、何がどのように使われていたのかといったことが分からないのだ。
 にもかかわらず、民主党は独自に調査をして金の使われ方を結構調べ上げている。
この点は大いに評価すべきだろう。
 マスコミも民主党の財源論を批判するのではなく、政権与党にもっと情報を開示せよと迫るべきだ。

 ところで、なぜ民主党が「埋蔵金」にしてもかなりのところまで数字を調べられたのか。
それは小沢一郎がいたればこそだろう。
 かつて権力の中枢にいた小沢氏だからこそ、金の配分など政権与党しか知り得ない内容を知っているわけで、そのときの経験に基づき官僚を突くから数字が出てくるのだ。

 こうしたことは別に官僚に限ったことではなく一般社会でも同じで、相手が知っている程度に応じてしか情報は出されない。
つまり情報を聞き出そうとする側に知識がなければ一切情報は得られないのだ。

 逆に言えば、自民党が民主党の財源批判等をせざるを得ないのはそれだけ民主党側が的を射ているということでもあるだろう。