近年、国会議員から地方自治体の首長になる人物が増えている。地方重視の表
れなのか、それとも地方自治体を舐めているのかは定かではないが、地方から国
へというステップアップの逆が起きているのは間違いない。
牛後より鶏頭と考え、やりがいをそこに求めるのかと思えば、権力志向で地方
自治体の首長を目指した人もいる。そういう人物の中には「反(脱)原発」を掲
げて当選した後、原発容認に傾き、2期目は初出馬の際に対立した自民党に推薦
を求めた知事もいた。
政治家としてこれほど優れた男はいないと思われるが、彼ほど成したプラス面
よりマイナス面や好きか嫌いかという本筋以外のことで語られることが多い政治
家も珍しい。
政治家は政治思想や業績、手腕で評価されるべきである。ところが小沢一郎に
限っては、そういうことより好きか嫌いで語られ、親小沢、反小沢という本来の
政治とは関係ないところで分かれ、話題になる。
民主党政権時代がまさにそれだった。民主党が政権を取った影の主役は小沢一
郎というか、小沢一郎なくして民主党政権はなかったにもかかわらず、政権奪取
後に親小沢派と反小沢派に分かれ内部紛争を行ったが故に民主党政権は瓦解した。
少なくとも瓦解の一因になった。
小沢一郎ほどブレない政治家はいない。彼は議員になりたての頃から「政治改
革」を標榜し、良し悪しは別にして、現在の小選挙区制は小沢一郎が目指したも
のである。政権交代が可能な2大政党政治にしたい。彼は議員になりたての頃か
らずっとそう考え続けてきたのである。そのために身を捧げてきたといっても過
言ではないだろう。
そして小選挙区制は実現できたが、彼が目指す2大政党政治は実現できなかっ
た。野党が弱すぎたからで、強い野党を作り政権交代を可能にしなければならな
い。そのためには数がいる。
まあ大雑把に言えば、小沢一郎はそう考え、野党の結集を訴え、仕掛けてきた。
過去2度は曲がりなりにも「成功」した。それでも小沢が目指す政権はできなか
った。
3回目の正直、という言葉がある。小沢一郎の3回目の挑戦は成功するだろう
か。残念ながら失敗に終わるだろう。
非情になり切れない小沢一郎
なぜ、失敗に終わるのか。
「俺は西郷南洲が本当は好きです。彼には情がある。人間は、やっぱり情だよね」
その一方で「政治家としては大久保利通に惹かれます」とも小沢は言っている。
小沢一郎の失敗は「大久保利通になり切れなかった」からだろうと思っている。
情に引きずられ、非情に徹しきれなかったのだ。
もし小沢一郎がもっと能弁だったら、日本の政治は変わっていたのではないだ
ろうか。彼は例えるなら中小企業の職人タイプの社長である。社員や部下に懇切
丁寧に教えたり、マニュアル化をするのが苦手で、自分でした方が速いと考え、
また自分ですれば望んだ通りの結果を出せる。
それなら社員教育に力を入れ、自分のノウハウを教えればいいではないかと思
うが、職人タイプの人間にはそれが出来ない。「技術は盗むものだ」という考え
が染み付いている。
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