栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

ロマネスク様式の赤レンガ造り教会

2006-08-30 15:58:54 | 雑感
 福岡県小郡市にブラウン管や液晶ディスプレイの検査装置を製造している(株)メックという会社がある。取引先は大手家電、半導体製造メーカーである。
私は一応同社の顧問ということになっているので、月に1回本社を訪問し社長と情報交換をしたり、相談があればそれに応えたりしている。
経営相談というほどでもないが、毎回様々な話を雑談して帰ることが多いが、今回は帰りにちょっと寄り道をした。
 小郡市の隣に大刀洗町という田園地帯があり、そこにレンガ造りの古い教会があると耳にしたからである。

 大刀洗町大字今地区は隠れキリシタンの里だったようで、田んぼの中に2塔式の立派な教会が聳え立っていた。
教会の名前は今村教会。完成したのは大正2年。
長崎五島出身の大工、鉄川与助の手になるが、珍しいのは教会内部の床が板張りで靴を脱いで入るようになっていたことだ。
和洋折衷が見て取れる。

 2つの塔を持つロマネスク様式の赤レンガ造りの教会では、国内に現存する最古の教会ではないかと言われている。

当初から怪しさを感じていた近未来通信

2006-08-29 11:25:46 | 視点
投資配当“自転車操業”新規資金を分配…近未来通信 (読売新聞) - goo ニュース

 どうも実態がよく分からず、以前から要注意に分類していたが、やはりという感じだ。
 なぜ要注意だと思ったかというと、
1.オーナー募集広告ばかりで利用者募集広告・チラシの類を目にしたことがない。

2.同社の支社が東京、関西、九州しかなく、中部支店開設も平成17年になってであり、主に九州でオーナーを募集している風があった。

3.利用者が増えてはじめて会社が回っていくはずなのに、当初から有名タレントを使った派手な広告を行っていた。

4.IP電話通話料のメリットは双方が同じIP電話を使って初めて享受できるのであり、利用者増が普及の決め手になる。
 にもかかわらず、利用者増を図っている動きが見えなかった。

5.IP電話はすでに既存電話業者も参入しており、後発組が新規設備投資を伴って参入するにはリスクが大きすぎる。

6.スカイプが急速に広がりを見せる中、わざわざIP電話を単独契約する需要があるとは思えない。

 今回、東京国税局の調査で所得隠しも発覚し、数億円の追徴課税もされたようだから、今後の成り行きが注目される。

脱デフレ、カード会社が分割手数料を値上げ。

2006-08-26 08:50:38 | 視点
 総務省は7月の全国消費者物価指数が前年同月よりも0.2%上昇したと発表するなど、日本経済はデフレからの脱却がほぼ確実となっている。
 消費者にとって望まれるのは銀行預金金利の上昇だが、こちらにはまだその動きがない。
代わりに早くも金利上昇の動きが現れたのがカード会社の分割手数料率である。

 NICOSは10月6日以降のカード利用分について手数料率を改訂すると、今月に入って通知してきた。
 例えばアドオン月利が現行の0.57%から0.68%に
分割払いの場合、3回が現行の10.25%から12.25%に。
6回 11.75%から13.75%、
12回 12.50%から14.75%に
24回 12.75%から15.00%にアップする。

 仮に20万円の買い物をして24回払いにすると、現行の25,000円が30,000円になるから、手数料だけで5,000円も余分に払わなければならなくなる。
消費者物価が上がり、カードの分割手数料が上がり、預金金利が上がるのはそれからずっと後だ。
値上げの秋・・・。
しばらく忘れていた言葉がまた再び甦りそうだ。


反戦の国際世論を。

2006-08-12 15:51:38 | 視点
イスラエル軍が北上 安保理決議採択後も空爆続行 (朝日新聞) - goo ニュース
 イスラエルによるレバノン空爆、地上軍の侵攻を即時停止を要求する。
こんな理不尽な侵攻はないと考えるからである。
イスラエルがレバノンへの侵攻を開始した大儀はイスラエル兵2人の奪還であったはず。
兵2人を奪還するためにレバノンへの空爆、地上軍の侵攻をするというのはいくらなんでもおかしいというか許されることではないだろう。
他国への地上軍の侵攻はどんな理屈を付けようとも侵略戦争以外の何ものでもない。
今世界は第2次大戦前夜に非常によく似ている。
愚かな選択で第3次大戦が勃発しないよう、反戦の国際世論を高めなければ。

経営者の資質

2006-08-11 17:28:57 | 視点
 先月の下旬、ある人から電話がかかってきた。
HPで私の記事を見てかけてきたようだった。
最近、HPに収録している記事を見て、見知らぬ人からメールや電話がよくかかっ
てくるが、話を聞くと12、13年前に取材した会社の関係者らしく、社長のH氏に会
ってもらえないかということだった。

 社名と社長の名前を聞いて、私はすぐ思い出した。
当時のベンチャー企業の経営者である。
その会社は87年に上場したが、02年に破綻していた。
破綻の過程に興味があったので、取り敢えず会うことを了解した。
 会って話を聞いて分かったのだが数100億円の粉飾決算と詐欺罪で当人は逮捕さ
れていたのだ。
 詐欺罪というのは金融機関2行から破綻前に都合30億円の融資を受けていたが、
これが破綻すると分かっていながら融資を受けた(返還の意志が当初からなかった)
、しかも融資目的と実際の使途が違っており、それは詐欺に当たると、倒産後、訴
えられたのだ。

 本人は粉飾決算に対しては認めているが、詐欺罪は冤罪だと一貫して争っている。

注意したいのは会社が倒産した時、経営者は同じような目に遭うということである。

もう一つは、経営者の資質である。

 H氏に倒産の原因を尋ねると「人です」と言っていた。
最後は「人に裏切られた」と。
 九州の大手スーパーが倒産した時もそうである。
倒産前何年にも渡って粉飾決算をしていた。
組織が粉飾をしていて、社員に潔癖で優秀な人間がいるだろうか。
もちろん、中には何人かそういう人間もいるだろう。
だが大半は上に倣えで、会社の金をごまかしたりしてくる。
要は組織ぐるみで規律が緩み、乱れるのだ。

 裏切られるような人間しか自分の下にはいなかった、そういう人間しか登用して
こなかった経営者の資質にこそ問題があるのだ。

<経営者の資質とは何か>

そのことをもう一度しっかり考える必要がある。


クリーンルームで動かせるリフトを作れ!

2006-08-09 09:58:54 | 視点
「クリーンルームで動くリフトを」
ユーザーの一言が開発につながった。


 2度目のチャンスは90年に幕張メッセで開催された東京国際物流展の会場でやって来た。
「クリーンルーム内で動かせるリフトが作れないか」
 高速で稼働するハイリフターの様子をじっと見ていたソニーの社員が、近付いてくるなりそう言った。

 それまでリフトはゴミを撒き散らすためクリーンルーム内では一切使われてなかった。そのため一回一回外に出して、エレベーターで上げ、さらにクリーンシャワーを浴びてという煩わしい工程を採らざるをえない。もし、クリーンルーム内で稼働するクリーンなリフトがあれば、作業工程が短縮され生産性が格段にアップすることになる。高速で昇降するリフトを作れるぐらいだから、クリーンルーム内で稼働するリフトも作れないか、と言うのだ。

「やりましょう」
 そう返事をしたものの、クリーンルームなど見たこともない世界である。最速リフターを開発した時とは随分勝手が違った。

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企業再生弁護士が教える失敗する経営者像

2006-08-04 12:44:59 | 視点
 萬年弁護士はリエゾン九州の新年会で挨拶して頂いたり例会でも時々話をして頂
いているので、お聞きになった人はいわゆる弁護士らしくなく親しみやすくて、話
がとても面白く、かつ有意義なことは充分ご承知でしょう。
 でも、まだあまりご存じでない方に簡単に紹介しておきましょう。

 現在、萬年・山口法律事務所は10人の弁護士を抱える福岡では大手の弁護士事
務所です。
 刑事裁判でも遣り手弁護士と評判が高く、近年では美容師バラバラ殺人事件の主
任弁護士(1審)を務めました。
 その一方で企業顧問も数多く抱え、企業の再生も数多く手がけるなど企業再生弁
護士としても有名です。
帝国データバンクの機関誌に連載もしているので、お読みになっている方も多いこ
とと思います。

 講演のタイトルは「企業再生弁護士が教える失敗する経営者像」について。
萬年弁護士はよく「経営者の資質」について言及されますが、私と共通しているの
経営者の顔を見るという点。

 そういえば、ウシオ電機やセコムなどが資金を拠出して作った日本ベンチャーキ
ャピタルのトップが投資先を選定する基準について同じようなことを言っていまし
たね。「選定基準は人です。面接で経営者の資質を見極める」と。

 では、経営者に求められる資質とは何か?
その辺は講演でじっくりお聞き下さい。
懇親会にも出席されますから、例会、懇親会の席を合わせて、この際にしっかり勉
強してもらいたいと思います。

             --記--

●日 時:8月19日(土) 13:30 ~ 17:00

●場 所:福商会館2F(大名1-12-57)
      天神西通り、岩田屋本館(旧Zサイド前)の前に大福うどん、
      ケンタッキーフライドチキンがあり、その角を赤坂方向に入ると
      角から2、3軒目左手のビル(1FにPumaの赤いショップ)が
      福商会館

●内 容
1.勉強会
  「企業再生弁護士が教える失敗する経営者像」


  講師:萬年・山口法律事務所・萬年浩雄所長・弁護士

2.発表企業
  「免疫力を育む海洋ミネラル」について


  発表者:(株)うぇるねすさぽーとコーポレーション・下田雅美社長

   元気・活力の低下や成人病の発生は慢性的なミネラル不足に起因している
  とはよく言われていることです。
  ミネラル不足を補うためにはミネラルを多く含んだ食べ物から摂取するのが
  一番いいんですが、近年の食環境は大きく変化しており、食事で必要なミネ
  ラルを摂取できないのが現実。
  そこで注目されているのが海洋ミネラル。
  血液と同じ成分、羊水と同じ成分で、今回紹介する「MCM(マリーナ・ク
  リスタル・ミネラル)」はガン細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞の活性
  を倍にしたという報告もあるようです。

●例会参加は誰でも自由です。
  参加費用:会員・非会員共に1,000円。
 
●例会後、懇親会を予定しています。
   予算3,000円程度。

●例会・懇親会とも参加申し込みは事前に!
   当日、会場準備の都合上、事前に参加申し込みをお願いします。

●ネームプレートを各自お持ち下さい。


日本最速のリフターを開発した第一施設工業

2006-08-03 12:04:37 | 視点
「これで業界に革命を起こせる」

 いつものように実験を繰り返していたある日、突然社員が叫んだ。
「社長、浮きました。浮いています」
 ワークはわずかに浮上していた。
 浮上を確認した篠原は大きく頷いた。
「よし、これで半導体業界に革命を起こせる」
 半導体の大見忠弘でさえ「あれはダメだ」と言った非接触搬送装置を、九州の名も知られてない中小企業が開発した瞬間である。

「人間一人ぐらいは浮きますよ」
 どれぐらいの重さのものまでなら浮上させられるかとの問いに、笑いながら平川はこう答えた。
 搬送速度は分速50m。従来のローラー搬送の速度が分速20mだから、一気に2.5倍にスピードアップしたことになる。うれしい副産物だった。

屈辱をバネに脱下請けを決意
メーカーに転身を図る。


 第一施設工業はもともとリフター(昇降機)のメーカーである。といっても会社設立から20年あまりはエレベーターの据え付け保守工事の下請け仕事に甘んじていた。それがいまでは世界のクリーンルーム内で稼働するリフターのシェア90%を誇る企業にまで成長したが、その陰にはメーカーへの脱皮を強く決意させたある出来事があった。

       続きは「九州の技術」で