栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

冷静さを取り戻すにつれ「専門家会議」の誤りを指摘する専門家も

2020-07-24 11:52:39 | 視点

栗野的視点(No.698)                   2020年7月14日
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冷静さを取り戻すにつれ「専門家会議」の誤りを指摘する専門家も
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ここ数日、東京では感染者集が100人を超える日が続いていますが、

社会全般で言えば、当初の慌てふためきはなく、少し落ち着きを取り戻しているようです。

そして感染学専門家の見解も当初に比べて2つに分かれてきたようです。

 だが「(No.685):「巣籠もり」作戦は本当に正しいのか、事態を打開できるのか。」で

「未知のモノや予期せぬ出来事に遭遇した時、人が取る行動は次のようにパターンに

分かれる」と指摘した5段階ではなく、まだ3段階と4段階の中間くらいのようです。

 1.身構えと様子見

 2.右往左往

 3.怯えと軽視

 4.敵対と協調

 5.反転攻勢

 なぜなのか。アメリカ、ブラジルの感染者数、死亡者数が減少に転じないことが1つ。

もう1つは東京の感染者数が連日100人を超えていること。

3つ目には初期の「警告」があまりにも極端だったことなどが挙げられるでしょう。

 特に「専門会議」の提言はとても科学者とは思えないもので、

きちんとしたエビデンスを示さず「人との接触を8割削減」などと唱えて、

人々の恐怖を煽ったりした弊害は大きいでしょう。

当のご本人は「8割おじさん」などと言われたり、言って悦に入っているようですが、

その数値の根拠を示さないのは科学者の態度とはとても言い難い。

 それにノーベル賞受賞の教授までが乗って同調するものだから、

権威に弱い人たちは皆信じて右往左往することになる。

 それでも最近は「専門家会議」と異なる見解をメディアも取り上げ始めています。

例えば朝日新聞は7月2日の朝刊で宮坂昌之・大阪大学免疫学フロンティア

研究センター招聘教授へのインタビュー記事を

<「新型コロナで集団免疫はできない」免疫学者の警告>と題して載せています。

 その中で宮坂教授は次のように指摘しています。

「日本のコロナ対策に関する議論には、いくつか大きな誤解がある」

「抗体だけが免疫だと短絡的に考えるのは誤り」で、COVID-19では

「集団免疫は獲得できない」と指摘する一方、

「自然免疫が強ければ、自然免疫だけで新型コロナウイルスを撃退できる人もいる。

ここが完全に見落とされています」と述べ、「一時期言われた、

人々の全体の接触率を8割減らすといったマスの対策は必要ないと思います」と。

 また7月11日の朝日新聞朝刊で<ウイルスの実態と合わない対策 

過剰な恐怖広げた専門家>という見出しで、国立病院機構仙台医療センターの

西村秀一・ウイルスセンター長へのインタビュー記事を載せています。

 その中で西村センター長は「病院と一般社会は分けて考えるべきだ」と言い

「ウイルスが現に存在して厳しい感染管理が必要な病院と一般社会では、

ウイルスに遭遇する確率が全然違う」にもかかわらず「スーパーでも病院で

使っているフェースシールドを着けて」いるが「街中そこかしこでウイルスに

遭うようなことはありません」。

それなのに過剰とも思える防衛対策が取られているのは

「突き詰めて考えると、専門家の責任が大きい」と述べています。

 さらに「ウイルスは細菌より接触感染のリスクがずっと低い。

なんでもアルコール消毒をする必要はない」

「確かにプラスチック面では比較的長く生き残るという論文はありますが、

それは、面に載せた1万個弱のウイルスが最後の1個まで死ぬのに、

3、4日かかったというものです。ただ、そこにある生のデータを細かく見ると、

生きているウイルスは最初の1時間でほぼ10分の1に減っています」

 こうした記事を読む限り、ウイルスや感染症の専門家の意見も1つではないと分かります。

 私はどこぞの大統領のような楽観主義者ではありませんし、

緊急事態宣言が解除された途端に夜の街に行く蛮勇も持ち合わせていません。

6月中旬にある人とレストランで昼食を共にしましたが、その時「久し振りに

中洲(福岡の歓楽街)に行きましょうよ」と誘われましたが、はっきりお断りしました。

「どうぞお一人で行って下さい。私は行きません」と。

 ただ、エビデンス(根拠)が示されない説を信じて怯えたり、

それで人や地域を差別するようなことはしたくないし、そうした風潮を

煽る動きには反対だというだけです。

その先にキナ臭いものが待っている感じがするから。

 えてして専門家は時の政治に利用されやすい、ということも頭に入れておいた方がいいでしょう。


栗野的視点(No.687)                   2020年5月24日
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「コロナ」が変えた社会(1)~民主主義が崩壊し、戦時中に逆戻り
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◆怖いのは人の心に棲む鬼
◆行政とメディアが煽っている

 http://www.liaison-q.com/kurino/PostCORONA1-1.html

 


「コロナ」が変えた社会(3)~世界は中国化していく

2020-07-10 20:47:33 | 視点

栗野的視点(No.691)                   2020年6月17日
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「コロナ」が変えた社会(3)~世界は中国化していく
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 「アメリカファースト」に凝り固まったトランプ米大統領は自国経済の悪化も

COVID-19による米国民の死者数増も、悪いのは全て中国のせいにして自身の

支持率アップを図ろうとしている。だが彼の思惑とは反対に中国の世界への影響力は確実に広がりつつある。

 そしてCOVID-19の世界的大流行(パンデミック)が一段落した後、世界はほぼ間違いなく中国化しているだろう。

「コロナ」後は中国が世界標準に

 なぜ、世界の政治指導者達はここまで強権的な方法に踏み切ったのか。

なぜ、民主主義国家の国民が大した反対もせず、自由と私権の制限にやすやすと従ったのか。

本当にSARS-CoV-2は狂暴なウイルスなのか。

 そうしたことが本当に解明されるのはもう少し後になりそうだが、

現段階でもはっきり分かっていることが1つだけある。

 後の時代に「COVID-19の前と後」と語られるほど、この感染症が我々の世界を

変えてしまったということだ。

 それは何か--。

結論から先に言えば、民主主義の崩壊と世界の中国化である。

さらに言うなら、アメリカという「帝国」の完全なる崩壊と、それに代わる

中国という「新しい帝国」の覇権確立だろう。

 そして意図するとしないとに関係なく、それまで世界の秩序を維持していた

民主主義国家はCOVID-19を契機に経済のみならず政治的にも中国の覇権の下に

ひれ伏したことを意味する。

それと同時に、それまで「グローバルスタンダード」とほぼ同意語だった

「アメリカスタンダード」は「チャイナスタンダード」に変わることも。

 

「帝国」になれない中国の覇権主義

   (略)

増加する監視システムと追跡アプリ

   (略)

 

 

 

  全文はHPに収録、「まぐまぐ」からも配信しているので、そちらでどうぞ

栗野的視点(No.691):「コロナ」が変えた社会(3)~世界は中国化していく