さくらおばさんの ひとりごと

日々の想いを綴ります。

「NHKに対する国際放送命令に反対する緊急アピール」

2006-10-30 | 暮らし
 NHKへの「放送命令」というニュースには ドキン としました。

 私などはすぐに「臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。大本営発表・・・・」というラジオの声を思い出してしまいます。

 (このために私は今でもラジオやテレビの“ニュース”が嫌いなのです。ニュース=怖い、のイメージが離れません。)

 
 11人のメディア研究者・ジャーナリストからの呼びかけです。



 「NHKに対する国際放送命令に反対する緊急アピール」賛同のお願い

 このほど菅義偉総務大臣は、NHK短波ラジオ国際放送で、北朝鮮による拉致問題を重点的に取り上げるよう命令を発することの是非を、11月8日に開かれる電波監理審議会に諮問する方針を明らかしました。

 この放送命令は、政府によるさらに踏み込んだ介入で、表現・報道の自由に対する重大な侵害と考えます。私たちメディア研究者・ジャーナリストは連名で、この放送命令に反対するアピール(下記)を発表しました。

 つきましては、このアピールに賛同のご署名をいただきたくお願い申し上げす。
 お忙しい中恐縮ですが、ご返事は11月6日(月)までにFAX(03-3226-0684)かメール(mail@mediasoken.org)にてお送りいただければ幸いです。

【呼びかけ人】
梓澤和幸(弁護士)、石川 明(メディア研究者)、岩崎貞明(「放送レポート」編集長)、桂 敬一(日本ジャーナリスト会議会員)、醍醐 聰(東京大学授)、田島泰彦(上智大学教授)、津田正夫(立命館大学教授)、野中章弘(アジアプレス代表)、服部孝章(立教大学教授)、原 寿雄(ジャーナリスト)、松田 浩(元・立命館大学教授)

連絡先:メディア総合研究所  岩崎貞明
〒160-0007 東京都新宿区荒木町1-22-203
Tel:03-3226-0621 Fax:03-3226-0684
e-mail: mail@mediasoken.org

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○ 「NHKに対する国際放送命令に反対する緊急アピール」に賛同します。

 氏名:
 公表する際の肩書き:
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      「NHKに対する国際放送命令に反対する緊急アピール」


 菅義偉総務相は、今月24日、NHK短波ラジオ国際放送で拉致問題を重点的に取り上げるよう(「拉致問題についての留意」を求める)命令を発することの是非を11月8日に予定されている電波監理審議会に諮問する方針を明らかにした。

 この放送命令の企ては、憲法の表現・報道の自由や放送法の番組編集の自由を根底から脅かす危険があり、看過することができない。

 確かに、放送法には総務相がNHKに対して放送事項等を指定して国際放送を命じることができ、その費用は国の負担による旨の規定(33条、35条)がある。

 この規定のもとで毎年、「時事」「国の重要な施策」「国際問題に関する政府の見解」の三点の放送について命令がなされ、今年度の国の負担は22億5600万円にのぼっている。

 だが、今回の放送命令の試みは、従来の抽象的な大枠の提示を超えて、北朝鮮による拉致問題という個別具体的な政策課題を特定して放送を命ずる点で、また今年3月末、今年度の命令書の交付に際し、「テロ」「自然災害」とともに「拉致」につき重点的に扱ってほしい旨の口頭の要請が既に総務省によりなされたことがあるが、今回は単なる要請ではなく正式の命令という形をとる点でも、政府による放送介入の新たな次元を示すものだ。

 総務相は、表現・報道の自由は守らなければならないし、放送内容まで踏み込むものではない旨弁解しているが、今回企図されているような個別具体的な政策課題の放送が時の政府により命じられるということになれば、政府の放送介入という性格はいっそう鮮明となり、憲法が保障する表現・報道の自由(21条)の根本原則に反し、これを具体化した放送法の放送の自由(1条)、番組編集の自由(3条)などの基本原則を侵害することは明白である。

 また、憲法の表現の自由条項にあからさまに背く放送命令を企てることは、国務大臣の憲法尊重擁護義務(99条)に反し、大臣としての適格性が疑われるとともに、任命権者としての首相の責任も問われて然るべきである。

 放送命令が強行されるような事態になれば、放送の自由と自立を旨とすべき公共放送としてのNHKは、政府のプロパガンダを担う国策遂行の手段と堕し、実質的な国営放送への道に向かいかねない。

 そうなると、NHKは日本政府と直結した国策放送局として国際的にも認知されることとなり、独立・自由な放送を自認してきたNHKの信用を損ねる重大性は軽視すべきではない。

 放送の自由や自立など憲法・放送法の民主的な放送制度の理念から考えると、現行の一般的、抽象的な放送命令の慣行さえ、自主編成の国際放送との区別がなされておらず、政府広報が自主的な番組編集を侵食しているなど重大な問題を抱えている。

 より本質的には、そもそも大枠の提示とはいえ時の政府が国費により一定の放送を命じるという仕組み自体が憲法・放送法の原則に背馳するものであって、この機会に批判的に見直すことこそが必要だと私たちは考える。

 さらに注意を喚起したいことは、この放送命令の企ては、NHKのラジオ短波放送だけにとどまる問題ではないということである。

 総務省はNHKのテレビ国際放送についても来年度予算案に3億円の費用を盛り込み、放送命令の対象を広げようとしているし、さらに総務省は6月の政府与党合意を受けて、映像による国際放送強化のために民放からの参加も求めNHK子会社を新たに設置する方向で検討委員会等を通して準備を進めており、この設立までの経過措置としてNHKテレビ国際放送に対する命令放送が位置づけられている。

 菅総務相は、拉致問題の関係で、北朝鮮向け短波ラジオ「しおかぜ」のため、NHKの施設活用等の支援策に乗り出すことも表明している。

 このように、今回の放送命令問題の射程は、NHKのラジオ短波放送に限られず、NHKのテレビ国際放送にも広げられ、また拉致問題支援策としての短波ラジオのためのNHK施設活用とも密接に関わり、さらには民放も加わった新たな国際放送組織の設置という形で放送界全体にまで及ぶものである。

 有事法制により放送局は指定公共機関として政府の有事体制に組み込まれ、警報や避難の指示等政府が求める事項の放送を既に義務づけられている。

 これに加え、拉致問題等政府が求める特定の政策の放送がNHKのラジオやテレビに命じられ、さらには対外プロパガンダの国策国際放送組織が国のサポートのもとNHKや民放により設立されるとしたら、この国の放送の自由と自立、そして放送ジャーナリズムの前途に重大な困難をもたらすことになる。

 私たちは、以上のような理由から、今回企てられようとしている放送命令に断固として反対するとともに、以下のように申し入れるものである。

1 総務大臣は電波監理審議会への諮問を取りやめることを含め、今回の放送命令 実施の方針を撤回すること。

2 電波監理審議会は、以上の件につき、かりに諮問がなされた場合でも、事案を 慎重に吟味し、今回の放送命令を認めないよう答申すること。

3 NHKは、万が一今回の放送命令が発せられてもこれを安易に受け入れ、従う ことをせず、国際放送について自主編集を徹底して貫き、拉致問題等につき公正 な放送に努めること。

4 総務大臣は、放送命令をNHKテレビ国際放送にまで広げる方針を撤回するこ と。

5 現行の放送命令をめぐって、次の措置を取るよう求める。
 1)総務大臣は当面、この制度の活用を可能な限り自制、回避し、援用しないよ うにすること。
 2)国会は、放送の自主、自立と相容れない放送命令の条項を廃止するよう放送 法を改正すること。
 3)NHKは、自主編集放送と命令放送との区別を明確にするとともに、最終的 には一切の放送命令を受け入れることなく、国際放送をすべて自主的に編集する よう目指すこと。

6 総務大臣は、放送界を巻き込む国策的なプロパガンダ国際放送組織の立ち上げ は断念すること。また、NHK施設活用等の「しおかぜ」支援策についても白紙 撤回すること。

2006年10月30日

梓澤和幸 石川 明 岩崎貞明 桂 敬一 醍醐 聰 田島泰彦
津田正夫 野中章弘 服部孝章 原 寿雄 松田 浩

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     [JCJふらっしゅ] 2006/10/30 1210号


 締め切りは 11月6日(水) です。
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