チャチャヤン気分

《ヘリコニア談話室》後継ブログ

金星シリーズ

2009年08月16日 00時00分00秒 | バローズ
エドガー・ライス・バローズ『金星の海賊』厚木淳訳(創元文庫67、原書34)
エドガー・ライス・バローズ『金星の死者の国』厚木淳訳(創元文庫68、原書35)
エドガー・ライス・バローズ『金星の独裁者』厚木淳訳(創元文庫69、原書39)


 本シリーズは、おそらくヒトラーの台頭に触発されて書かれたのではないでしょうか。ナチスが第1党になったのが1932年7月の総選挙。一方『金星の海賊』は1932年アーゴーシー9月掲載です。

 ナチスはこのあと、33年1月末に組閣するが早いか2月には国会議事堂放火事件を起こし、7月には1党独裁を確立し、公然と再軍備化を開始します。第2巻『金星の死者の国』はまさに1933年3月アーゴシーに掲載されました。

 そして第3巻『金星の独裁者』初出はアーゴシー38年連載。前作より実に4年ぶり、久々の金星シリーズとなります。
 その間現実世界では、37年ラインラント進駐、38年オーストリア併合があり、翌39年には独ソ不可侵締結・英仏に宣戦布告と突き進む歴史の転換期で、バローズが久々に続篇を思い立ったのも、そしてまたそれが前作以上に直接的なナチス戯画であったというのも頷けようというものです。【つづきを読む】

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