ジャズとレコードとオーディオと

音楽を聴く。人によって好みが分かれるでしょうが、このブログでは主に女性ジャズボーカルを紹介させていただきます。

ただGWEN STEVENS1曲を聴く為のアルバム

2009年01月06日 | 女性ボーカルS
GIG/GLP-100/GWEN STEVENS/SUBTLE SOUNDS/

このアルバムを知った経緯が思い出せません。ネットで見たのがキッカケではなく何かの雑誌か特集本で見たような記憶があるので、心当たりの2~3冊をパラパラと捲って見たのですが探し当てる事ができずそのうちに諦めてしまいました。このアルバムには同じジャケでのEP盤もあるのですが、EP盤もLP盤も値段は似たようなものだったと思います。僕はLPでもEPでも良かったのですが探し当てたのが本LPアルバムだったというわけです、言い換えれば僕に縁があったのはLP盤だったのでしょう。
 本アルバムは本来JOHNNIE PATEが主役でGWEN STEVENSは本アルバムで1曲のみを歌っているだけで、1曲の為にアルバムを購入するというのは冷静に考えれば、まるで銭形平治のように今日も飛ぶ~飛ぶ~銭が飛ぶ~♪という感じですが、入手を決めた段階からそれは覚悟している事なので当の本人にしてみればバッカじゃないのと人に言われようと“ハイ、馬鹿です(笑)”と答える以外に返答はありません。
 僕にとっての主役は1曲を歌っているGWEN STEVENSなのでジャケ裏のノートから彼女の事を読むと乏しい情報がほんの少し補われました。彼女は多分シカゴ生れでシカゴの高校でアマチュアとして歌っていましたが、本アルバムの収録2年前にプロ入りしました。本アルバムが何年に収録されたのかが僕には不明ですが、アルバム収録前の1950年にHARVEST MOON フェスティバルでアマチュア部門で賞を得たようです。ベースを担当しているJOHNNIE PATEについても同じように僕には知識がありませんが、ノートを読むと作曲と編曲もしたようで、彼の作曲編曲がジョージ・シアリングやカーメン・マクレエに使われたと記してあります。このGIGというレーベルもシカゴのレーベルだと記されているので分かった程度で、悲しきかな僕にはそれ以上分かりませんでした、いつもレーベルで分からない時は、RECORD LABEL GUIDEやBOTH SIDE NOWに尋ねるのですが載っていないので小さなレーベル会社かプライベート的なレーベルなのでしょうか(?)
 パーソナルは、GWEN STEVENS(vo), JOHNNIE PATE(b),RONNELL BRIGHT(p), CHARLES WALTON(ds)というメンバーでのアルバムですが、肝心のグェン・スティーヴンスのボーカルはというと、B面のI WAS A FOOLで登場するだけですが、サラリとした可憐な歌い口が魅力に溢れています。せめてもう2~3曲彼女のボーカルを聴きたいと思うのですが、この1曲というのが残念です。インストのJOHNNIE PATE TRIOの演奏は気軽に聴けるA-1のDANNY BOYからスイングして聴かせるB-6のTHOU SWELLまで11曲が収録されていますが概して聴きやすいライト・タッチの演奏です。このアルバムでしか聴けないGWENのボーカルを聴きたいというボーカル好きの方にはお薦めしたいアルバムですが、なにせ1曲だけですからそこは覚悟してくださいませ。


収録曲/A面/1, DANNY BOY/2, WIILL YOU STILL BR MINE/3, NANCY/4, JEFF/5, SOMETIMES I'M HAPPY/6, MOOD FOR MILT/B面/1, THE REAL MC COY/2, I'VE GOT A CRUSH ON YOU/3, THINGS AIN'T WHAT THEY USED TO BE/4, THE CONTINENTAL/5, I WAS A FOOL/6, THOU SWELL/

PAULA CASTLE

2009年01月05日 | 女性ボーカルC
BETHLEHEM/BCP-1036/PAULA CASTLE/LOST LOVE/10inch/

このポーラ・キャッスルの唯一のアルバムと言われている本盤ですが、幸いなことに昨年、オリジナルを入手できましたので改めて記事を書き加えさせていただきます。以前に記事でオリジナルは相当高価なのではないかと書いていますが、実は思っていたほどの値ではなく海外から入手できました。盤も傷がほとんど目立たずセラーのEX+に偽りはなかったと安堵した代物です。本盤と再発盤では音の濃さとか粒立ちが違います。特に際立つのがフルートの音色の生々しさはかなり違うと思います。このフルートの音色だけでも楽しめるのではと思います。それにドラムのブラシの音もかなり違って、音が立っています。先日に針を交換しましたからその効果も倍増のような気がします。↓ジャケット裏の写真

↓以下は以前の記事です。
BETHLEHEM盤でPaula Castleの“LOST LOVE”1955年録音or発売です。このアルバムは再発の12インチ盤だろうと思っているのですが。オリジナルは10インチ盤という事ですが未だお目にかかった事がありません。もしあったとしてもとんでもない値段だろうと思います。彼女はN.Y.生まれで、N.Y.のクラブで歌っていたとボーカル本にはあります。ライナーノーツにもcity kid in N.Y.と紹介されていますし、今でもそこに住んでいると当時のノートには書かれています。また彼女は楽譜が読めなかったのですが一度聴いた音楽をすぐ正確に歌う事ができたとありますので日本の美空ひばりと同じような才能があったようです。ジャケットは再発盤ですので色合いがもう一つですが大きな噴水の右端に白く剥げたように見えるのが失恋して横たわっている男性らしき像です。
 収録内容は実に素晴らしい演奏で私のお気に入りの一枚です。彼女のややハスキーで暖かみがある声に潤いと安らぎが感じられ非常に味わい深いアルバムと思います。パーソナルは下記にあるとおりですが、Sam Mostのフルートが主として彼女のボーカルの相手を務めているのですがお互いの掛け合いにより彼女の歌の味わいがさらに高められています。このフルートがまたいい旋律を奏でるんですよ。Ronnie Selbeyのピアノや Herb Wassermanのドラム, Chet Amsterdamのベースも主張し過ぎず且つしっかりと演奏してボーカルを引き立てています。録音も非常に良いと思います。一聴の価値あるアルバムと思います。

パーソナルは, Paula Castle(vo), Sam Most(fl), Ronnie Selbey(p), Chet Amsterdam(b), Herb Wasserman(ds)
収録曲/A面/1, I'm Shooting High/2, Yesterday's Gardenias/3, Here I Am In Love Again/4, Moutain Greenery/B面/1, Lost Love/2, You Don't Know What Love Is/3, Love Is A One Way Street/4, Why Can't I ?

実は1枚だけじゃないョ GENIE PACEは

2009年01月04日 | 女性ボーカルP,Q
BRIGHT/BRLP1001/GENIE PACE/HERE'S GENIE/

ジニー・ペイスと言えばこのアルバムが有名で人気盤でもあり且つレアで知られています。ジャズ批評2000年版女性ジャズ・ボーカル入門でも1993年ジャズ批評No78女性シンガー大百科でも JADE/LOVE IN A MIDNIGHT MOODの一枚だけが彼女のアルバムと思っていました(↓のジャケットのアルバム)。
ところが昨年の夏頃に本アルバムを見つけたので半信半疑で入手しました。表と裏を読んでみたのですがライナー・ノートにはあのLOVE IN A MIDNIGHT MOOD以来のアルバムと記されていますから、彼女のセカンド・アルバムに違いないと思います。レーベルはBRIGHT RECORDSとなっていてニューヨークで製作されたアルバムのようですが少し調べてみたのですが僕の手には負えないようです。どなたかBRIGHTレーベルなるものをご存知の方がいらっしゃれば教えていただきたいと思います。このアルバムはジャケットをご覧になってお分かりいただけるように, JADE盤からかなりの年月が経って発売されたものと思えます。ジャケットにもレコードにも製作年は記されていないので僕には検討もつきません。ジャケットの写真を見るとそれなりに歳を重ねた彼女が窺えますが、なにせ彼女の生まれ年も僕は知らないのでお手上げです。見た感じは本ジャケットは50歳前後ぐらい?JADE 盤の時が20歳後半~30歳始め頃といった印象なんですが如何でしょうか?ジャケット裏は素っ気ないものです。
さて本アルバムの内容ですが彼女の声質はあまり変わりないように思えます。アレンジはMATT MATHEWSで, 彼の名前を聞くとBETHLEHEMのCARMEN McRAEのあの唇9つでジャケットが飾られていたのを連想して、さらに期待は膨らむのですが、やや残念ながら本アルバムではJADE盤のしっとり感や女の切なさを訴求するようなアルバムのつくりになっておりません。本アルバムでは彼女のボーカルは相変わらず切なさという感情は伝わってきますが、ややテンポが早い為にしっとり感は薄れています。JADE盤の最初の曲WE SMALL HOURSと聴き比べてもすぐに感じる事ができます。本アルバムが劣るという事ではなく、それだけJADE盤が秀逸なアルバムだという証明でしょう。本アルバムでは比較的スローに歌われる PRETEND, HE'S FUNNY THAT WAYやJUST FREIND. NEAR YOUに彼女の女心の切なさが表現されていて聴けるアルバムです。

収録曲/A面/1, TONIGHT I WON'T BE THERE/2, LET ME GO LOVER/3, ANGEL ON MY SHOULDER/4, PRETEND/5, TOMBAY/6, HE7S FUNNY THAT WAY/B面/1, ADDIO AMORE/2, JUST FREINDS/3, NEAR FRIND/4, MY LITTLE CORNER OF THE WORLD/5, UH HUH OH YEAR/6, STRAGER IN PARADISE

NORMA BENGUELL

2009年01月03日 | 女性ボーカルB
(BRAZIL)ODEON/MOFB-3112/NORMA BENGUELL/oo00OOH NORMA/

今日はDENON102の針を替えました。しばらくサボって交換を先延ばしにしていたのですが交換して聴いてみると目から鱗が落ちるというか耳から耳栓が外れたというか全く音がイキイキして特に高音の伸びが違います。針の交換は惜しみなく早めに交換しないと駄目ですねぇ(苦笑)。ステレオ針は使用頻度が少ないのですが、こっちもこれから替えておきます。

このノルマ・ベンゲルというブラジルの女優さんは1935年リオ・デ・ジャネイロ生れのブラジルの女優という事は分かるのですが、どんな映画に出演したかとかは僕は知りませんし多分過去に観た事もないのではと思います。セクシー系の女優さんでそれを売りにしていたんじゃなかろうかと想像しています。そもそも本アルバムを入手した経緯も以前にどこかのネットでジャケットを見てジャケ買いしようと思ったのが発端です。このアルバム入手した時はジャケットが完全に4枚にバラバラに剥がれていました。すなわち台紙2枚と表1枚それに裏1枚の計4枚です。ブラジルのジャケットはこういうのが多いんですが、それを自己流で張り合わせてセルフ修復しました。このアルバムは以前に再発盤も見かけましたが、再発盤がどこから出されているのかは知りません。本アルバムは発売にあたってジャケットの写真で揉めたらしいですが、ゴネ得したというか彼女はそのトラブルによって本レコードの権利を得たとも聞きました。色気だけではなく腕の立つマネージャーがついていたんでしょうね(笑)。この1959年録音の彼女のファースト・アルバム、ちなみにセカンド・アルバムは1977年ですが一度ネットで見かけた事はあるのですがジャケの魅力は既になかったです。彼女のボーカルはというと、まず英語は相当下手っぴですが、そこが辿々しくて可愛ゆいのです。歌っている曲はボサノバやジャズのスタンダードですが、セクシー系ボーカルのブラジル代表と言った感じでしょうか。最初は英語で歌っていると即座に判別しにくい程に英語の下手さに唖然としますが、そこかしこにコケテッシュで可愛ゆく歌うTHIS CAN'T BE LOVEやON THE SUNNY SIDE OF THE STREETもお気に入りですがC'EST SI BONはその中でも好きですね。B面-1のSENTEやHO-BA-LA-LAやYOU BETTER GO NOWそしてTHAT OLD BLACK MAGICも聴けますよ。ボーカル好きなら入手して決して後悔しない一枚だと思います。↓ジャケット裏の写真です。 

彼女のEP盤もジャケ違いで、本アルバムより4曲が入っています。傷みがあるジャケですが写真を載せておきます。
収録曲
A面/1, SUCEDEU ASSIM/2, THIS CAN'T BE LOVE/3, EU SEI QUE VOU TE AMAR/4, ON THE SUNNY SIDE OF THE STREET/5, EU PRECISO DE VOCE/6, C'EST SI BON/B面/1, SENTE/2, FEVER/3, HO-BA-LA-LA/4, YOU BETTER GO NOW/5, THAT OLD BLACK MAGIC/6, DRUME NEGRITA/


柔らかさが素晴らしいSTAN GETZ

2009年01月02日 | ジャズ全般
ROOST/LP423/STAN GETZ/SPLIT KICK/10inch

ご訪問いただいた皆さん、新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

元旦の昨日は僕の地方でも霙模様の寒いお天気でした。家にいる日は一日2回、足が弱った父が歩行補助器を使用して自宅裏の駐車場で散歩する介護をしているのですが、昨日は一回にとどめました。年老いた父と共にイチニと声を出しながと歩くのですが、どういう訳か昨日は父が戦時中に満州へ行った時には最初から生きては帰れぬと覚悟していたとか、寒さで瞼が凍りつきそうになるんだとか話をするので戦友の分まで生きにゃおえんぞなどと言いながら歩きました。

今日は元旦に聴いたアルバムの内の一枚です。僕がSTAN GETZを聴くに至ったのは高校生の頃に、ASTRUD GILBERTOのVERVE/THE SHADOW OF YOUR SMILEの輸入盤を少ない小遣いの中で購入して聴いて気に入り、次に買ったのがVERVE/GETZ GILBERTOでその後にCHARLIE BYRDと共演したJAZZ SAMBAでスタン・ゲッツを聴いたわけです。当時の僕にとっては毎月コンスタントにレコードが買うなんてとても無理な事でしたので、今でもこの入手順序はよく覚えています。当時はサンバとかボサノバの第一次ブームだったように思いますが、当時の僕自身はスタン・ゲッツを聴くというよりもボサノバとしてのゲッツを聴いていたようです。最近になって国内盤に飽き足らず入手した10インチ盤の本アルバムを入手できて聴くことができたのですが、ゲッツのサックスの音色はJAZZ SAMBAで演奏した時と同じように柔らかさと優しさに満ちあふれているのです。彼の奏でるサックスの音色の柔らかさは彼独特の持ち味なんでしょう。本アルバムでの、OUT OF NOWHEREはHORACE SILVERが22歳の初録音としても有名です。僕のお気に入りはピアノがDUKE JORDENのFOOL RUSH INやピアノがホレスのIT MIGHT AS WELL AS SPRING、OUT OF NOWHERE あたりでしょうか。ゲッツのクールだけども熱く柔らかい演奏が聴けるアルバムでやはり名盤の一枚だと思います。