『陰陽師』
夢枕 獏
遠い昔の話が好きです。
嘘とも真実ともわかりかねるような、
こんなことありえない、と思いつつ、どこかに真実がひそんでいるような。
灯りの輪から一歩出ればそこには本物の闇があり、
その闇に鬼や物の怪が巣食っていたそんな時代。
「闇」とか「鬼」などというものが、人のすぐ身近に在ったころの物語。
去年の夏、長女が高校の図書室で漫画『陰陽師』を借りてきて、
ふたりですっかりハマッてしまいました(*)。
たまたま最近小説に手を伸ばし、軽い気持ちで読み始めたら、
これがまた漫画より読みやすくておもしろい。
それでいて、簡潔な文章なのに情景がありありと目に浮かぶのです。
まあ、漫画をさきに読んでいたせいかもしれませんが。
『陰陽師』、いわずと知れた安部清明の物語です。
簡単に言えば、
友人である源博雅と鬼や物の怪を退治する話、
ということになるのでしょうが、
果たして、その鬼や物の怪というのは一体何なのでしょう。
いつの時代の人々にも潜む心の闇。
愛が執着になり、怨みになり、その心が鬼になってしまう。
行き場を失って彷徨うその怨みや心の鬼を、
清明はなだめ、納得させ、あるべき場所にもどしてやる。
だからでしょうか。
鬼や物の怪の話といっても、おどろおどろしくはなく、どこか哀れ。
愛も、怨みも、もともとは哀しい人間の性から生じたものですからね。
本のほうも漫画と同じく、
謎めいた清明に、飄々とした博雅の組み合わせがイイです
ふたりで荒れた庭を眺めながら、
酒を酌み交わす場面がいいなあ・・・。
私も、清明の式神にでもなって、
鮎なんぞ焼きながら、その場でお酌でもしたいくらい
漫画は途中から宇宙観みたいなのがでてきて難しくなるのですが、
本のほうは会話も多く、今のところすごく読みやすいです。
文章ごとに改行がしてあって余白が多く、
それが「間」を感じさせます。
文章は簡潔なのに、行間から情景や色彩が滲み出てくるようです。
シリーズがたくさん出ているようなので、
この夏は、平安の都にショートトリップもいいかな~
私もですよん。
小説、あの二人の間がいいですよね~
そして、映画、テレビシリーズ、晴明神社、そしてお墓まで・・・というのは、おととしあたりからブログに赤裸々に(爆)かきましたので、もしかしたらおめに触れていたかもしれませんが・・・・
友人で、とっても真剣に晴明さんを信仰している人もいます。
御利益があるのだとか。
はいはい、jesterさんの陰陽師関連のブログはすべて読んでますよ~。
私、漫画に圧倒されたので、小説のほうは読むつもりはなかったです。
たまたま単行本を100円コーナーで見つけ、閑なときにでも読むつもりで、しかもそのまま忘れてたんですよね~
ところが、読み出したら漫画の、あのままの二人じゃないですか。
またもや清明ワールドに浸ってしまいました~
今、長女が(受験生なのに)「小説もおもしろい」と言ってハマッています。
わたしゃ、知~らない。